サー・ノーマン・フォスターのデザインした橋! | 三太・ケンチク・日記

サー・ノーマン・フォスターのデザインした橋!

こんなに美しい橋は、そう滅多に見られるものではありません。新聞に写真が載っていたのを見たときには、あまりの美しさにため息が出ました。これはイギリスの建築家、サー・ノーマン・フォスターのデザインしたものです。フランス南部ミヨーのタルン川の峡谷で設置されたこの橋は全長2.5km以上もあり、7本の橋脚で高さ343m、エッフェル塔より高く、総工費3.9億ユーロ以上かかったそうです。この橋、名称はViaduc de Millau。パリから地中海沿岸を結ぶ高速道路の橋として建設されました。ロープの逆三角形のシルエットが美しく、自然の中に建つ巨大な姿は圧巻です。雲に囲まれた姿はもう幽玄の世界です。が、構造的にはしっかりと裏付けられたものであることは言うまでもありません。構造は写真で見る限り、横浜ベイブリッジと同じ構造、「斜張橋」ですね。

サー・ノーマン・フォスターは、1983年に「英国ルノー社部品配送センター」で、柱や梁と構造体を吊るロープを黄色く塗り、その影が建物の外壁に映るという「吊り構造」を試みています。そうそう、フォスターの最高傑作は、1986年に出来た「香港上海銀行」ですね。4本柱にユニットが8個ある「スーパーラーメン構造」で、真ん中に巨大な吹き抜けを持つ、オフィスビルの「頂点」といっても言い過ぎではないでしょう。海側からの眺めは圧巻です。僕も何度か見に行きました、香港返還の前ですけど。そのころはあまりセキュリティーがうるさくなくて、関係者用エレベーターで上階へ勝手に上がっては、ボックスに収納された便所を使ったり、バンキングホールの写真を自由に撮ったりしましたけど。そうそう忘れるところでした。日本で文京区の外堀通りにある「センチュリータワー」を設計しました。

ちょいとここで、思い出すままに橋の数々を上げてみましょう。橋は構造によって、①吊り橋斜張橋アーチ橋トラス橋カンチレバー橋連続桁橋の六つに分けられるそうです。いずれも「スパン」、なんというのかな、「張間」または「梁間」を飛ばすことの挑戦の歴史ですね。「エッフェル塔」でご存じのギュスターヴ・エッフェルの「エッフェル社」は、元々「橋屋」さんなんですね。フランスの植民地に次々に橋を架けていきます。「ドーロ川橋」や「ガラビ高架橋」は、ビックリするぐらい美しいです。その技術が高さを競う「エッフェル塔」になったというわけです。

「橋」の歌で有名なのは、「♪ロンドン橋 落ちる 落ちる 落ちる」のテムズ河にかかる「ロンドン橋」、「♪アヴィニヨンの橋で 踊ろう 踊ろう」のセーヌ川にかかる「アヴィニヨン橋」がありますね。「橋」は、渡ると向こう側は違う世界へ行くんじゃないかという、ロマンがありますね。そういえば「彼岸」と「此岸」という言い方もありますね。ロマンといえば小説、ベストセラーの「マディソン郡の橋」、役作りのために体重を増やしたというメリル・ストリープとクリント・イーストウッドで映画にもなりましたが、屋根付きの木造のトラス構造かな?映画では構造が見えませんけど。ボヤ騒ぎでなくなっちゃったのかな、映画に使われた現物は?

でもやっぱり「橋」は映画ですね。ヴィヴィアン・リーの「哀愁」の「ウォータール橋」ですね。戦火の迫る中で待ってるんですね、ヴィヴィアン・リーが橋の上で。これは確か鉄骨のアーチ構造かな?それから、ジュリエット・ビノシュの「ポン・ヌフの恋人」のセーヌ河にかかる最古の橋「ポン・ヌフ」、クリストによって1985年に「梱包」されましたね。これは石造のアーチ構造かな?「ミラボー橋の下をセーヌは流れ、我らの恋も流れる」と詠われた「ミラボー橋」とか、セーヌ河だけでも幾つも橋がありますから。日本の映画でいえば、今は跡形もないですけど、佐田啓二と岸恵子の、といえば分かりますよね、「君の名は」の「数寄屋橋」ですね。どんな構造だったか?だいたい「お江戸日本橋」が高速道路の下にあるようなお国柄ですから、まあ、仕方がないですね。

最近のニュースでは、「平成の架け替え」が終わったという「錦帯橋」、木造ですから50年に一度掛け替えるんですね。錦帯橋は、日本三奇橋のひとつと言われてます。じゃあ、あとの二つは?山梨県の大月の桂川にかかる「猿橋」、それから富山県、黒部川にかかる「愛本橋」または「木曽の桟かけはし」と言われています。これらはいずれも複雑な木構造の橋です。

「水道橋」も、ロマンがありますね。延々と水を引くわけですから。フランスのニームにある「ポン・デュ・ガール」と、スペインのゼゴビア旧市街にある「ゼゴビアの水道橋」は、是非見に行きたいと思っています。両方とも、石造のアーチ構造ですね。そうそう、思い出しましたよ、ベネツィアの橋「リアルト橋」と、フィレンツェにある「ポンテ・ヴェッキオ」を。今年の初めに行ったときに見てきました。といっても、前にも何度か見てますけど。こうなると、話は横道にそれて、観光案内のようになっちゃいましたね。

「橋」は、都市であれ、郊外であれ、山村であれ、その「風景」を構成している主要な要素です。まだまだ挙げればキリがありません。