このフェイクがすごい | 三太・ケンチク・日記

このフェイクがすごい

あの超マニアックな時の人、ママチャリで子供さんを背負いカゴに入れて40数キロ走ってゾウの絵を地上に描くという石川初(はじめ)さん、まあ現代の子連れ狼かな?そんな有名人からトラックバックがありました。トラックバック、なんだそれ?ブログに詳しい知人から、直接本人から?それは凄いことだよ、すぐに返事をしなさい、と言われましたが、なんのことかさっぱりわからない。どうやって返事をするのか、トラックバックを貼り付けなさいと言われても、ただただ困惑。とりあえず貼り付けくれたものを逐一見ておく。

東京ナス化計画」と彼の人となりの全貌が少しずつ明らかになる。どうも調布近辺にお住まいのランドスケープ・アーキテクチャーとかいう職業に就いているらしい?京王線通勤快速都営線直通本八幡行きで通勤しているらしい?もちろん、その時間を利用しての車内観察は怠りない、という人のようである。僕に対するコメントには「ケンチク家も普通の人から見たらマニアックですよね。けっこう。」というもの。いやいや、それは違いますよ。超マニアックな人から言われたら、そんな、僕なんか石川さんの足元にも及びませんよ。

新宿へ行く途中、山手線の中でふと電車の中の「週間SPA!」の吊り広告を見ると、こう書いてあった。深く自戒するところである。

本物も脱帽!か
ニセモノ、パロディ、亜流
このフェイクがすごい
志の低いバッタもんは見習え!? 
 

で、思い出したのが、つい先日見たテレビの再放送のことです。
NHKスペシャル「天才画家・光琳の国宝」謎を解き明かす、というもの。
以前にも見たことがあるんですが、テレビを付けたらやっていて、
またまた偶然、引き込まれるように見ちゃいましたよ。
MOA美術館にある国宝「紅白梅図屏風」のことです。

金箔を張り合わせた屏風にうねった大きな流れがあり、紅白梅が描いてある、というものです。教科書にも載っていたかな?
それが、なんと、東京文化財研究所の蛍光X線分析による化学的な分析の結果、金の存在を確認できなかった、というもの。金箔ではなく、金箔らしく描かれたものだったというのです。金箔を張ると重ね合わせた部分に箔足が出る。金泥を使って箔足を丹念に描いてあったそうです。つまり、別のもので本物らしく見せるという、擬作ですね。
また、流水の謎、銀箔かと思ったら、やはり金属が出ない。しかも、波の模様は着物を染める時に使う型紙を使って描いたいたというもの。
光琳は現代で言えばアート・ディレクター、という役割。光琳一人が描いたのではなく、様々な職人の技法を使って、統括してまとめ上げたもの、ということが出来ます。

光琳の活躍した300年前と言えば元禄文化の絶頂期、金箔を張らずに張ったように見せかける、遊び心いっぱいです。
結局のところ、専門家も長年だまされていた、今までの学説が完全に覆されたという新事実です!
光琳はしてやったりとほくそ笑んでいることでしょう。