2017年印象に残っている映画のひとつが下記です。

現在、明日放映される第75回ゴールデングローブ賞にノミネートされています。

 

 

Lady Bird(2017)

 

Saoirse Ronanが演じる主人公レディ・バードは

自分に正直です。

 

自分のやりたいことをやって、

母親が注意しても悪い部分を

素直に直そうとはせず、言い返してばかりです。

 

(本名シィアーシャ・ローナン/本人は

自分の名前は伝統的なアイルランド読みではなく

「サーシャ」だと話しているようです)

 

 

反抗期を体験せず、

すんなり大人になった人には

さっぱり分からない映画では

ないでしょうか?

 

かなり観客を選ぶ、狭い層のための映画。

 

典型的な分かりやすいハリウッド映画ではないのに、

アメリカでは観客の評判が良いです。

 

しかし、偏見になってしまいますが、

どう考えても、平均的な日本人がこの映画を、

良作だと思うのか疑問です。

 

サーシャ・ローナンが演じる

クリスティン・マクファーソンは自分を

Lady Birdと呼んでいます。

なぜそんな名前なのか、理由は特にないみたい・・

厳しいカトリック系の学校に通っており、

サクラメントの田舎臭い雰囲気に

辟易している感じです。

 

9・11の余波で職を失った父の代わりに

一家の大黒柱である母親は仕事に毎日追われて疲れています。

 

 

 

 

だからこそ、未来がある娘に期待をしており、

真面目に学校生活を送って欲しいと考えています。

 

二人は仲が良いのか悪いのか・・

車の中で、

「怒りの葡萄」のオーディオカセットを聴き、感動する母親と娘。

似ているから、けんかしちゃうのかな。

 

母親が運転しながら、娘に説教をはじめます。

その後のエピソードが強烈です。

 

 

 

主人公の言動を見ながら、

自分の身勝手な十代を思い出し、

気恥ずかしくなりました。

 

姪が現在、大学生になり、

バイトや課題がない日は、

クラブへ行って踊るのが好きらしい。

 

大学寮で姪は暮らしています。

養女として育ててくれた私の両親(祖父母)も

高齢で、これ以上、姪のために世話はもう出来ない。

私の父はまだリハビリの真っ最中ですし。

それで高校卒業した後、

姪は大学の寮生活を始めました。

 

姪が可愛いのは、祖母の注意を聞かないといっても、

必ず、帰宅したとメールを

祖母へ送信しているのです。

 

私の母(姪にとっては祖母)は、

姪が大学生なのに

勉強をきちんとせずに、

バイトしたり、踊ってばかりだと・・・

文句のメールが私の元へと届きます。

姪にしてみたら、やっと年老いた養父母から

離れて、開放的な気分なのでしょう。

それでも彼女なりに、努力して奨学金を貰っています。

毎年、条件をクリアすれば、全額免除なのです。

だから、少しは気晴らしをしていいと思います。

 

私はお世辞にも100%品行が

良い高校生ではなかったから、

姪のほうが高校時代はまともだったと思います。

 

自分は高校時代、

カムデンタウンのナイトクラブへ内緒で遊びに

行っていました。苦笑

普段はEast Sussexの海の前にある寮制の学校で

勉強に励んでいたものの、

長期休暇やハーフタームは

ロンドンへ戻って、

のびのびと街探検できるのが楽しみでした。

 

そのかわり、学校では自習時間があり、

勉強勉強勉強の毎日でした。

殆どの先生が黒板に講義内容を書いては

くれないため、気が抜けず、講義中は

集中して書き取りをしていました。

 

海辺にあった学校は、周囲にスーパーもなくて、

高齢者ホームが2つ、

そして教会が2つしかないのです。

 

映画のサクラメントの街より、更につまらない場所でした。

歩いているのは高齢者ばかり。

だから新鮮さを感じない上に、

退屈だと思っていました。

 

退屈で狭い世界から、

レディ・バードがNew Yorkへと

羽ばたきたい気持ちが

私には分かるのです。

 

 

↓シスタージョアンに、スカート丈が短いと叱責される。

カソリック系の学校は厳しいですね。

 

 

私の学校はChurch of England(イングランド国教会)系でした。

ロンドンのインターナショナルスクールはわざと

制服を短くしていましたが、

私の学校では短いスカートは絶対に駄目でした。

膝にかかる程度の長さではないと×です。

 

靴下も決められた物を履いて、くしゅくしゅに下げたら

注意されます。

透明なリップクリームはOKでも、

マスカラなどのメイクは禁止です。

派手な色でなければ、ネイルカラーはOKでした。

規則を守らないと、

唯一の楽しみである週末の買出しが出来なくなる上に、

detention(ディテンション居残り)させられたり、

大量の宿題を罰として増やされました。(体験しましたね・・)

 

日本は学校によって、

下着が見えるくらい短いところもあるし、

メイクをしている生徒もよく見かけます。

ずいぶん、ゆるい学校なんだと驚きました。

きちんと成績を維持して、

勉強をすればいいのでしょうけど・・・

平日の学校帰りにファーストフード店や

カフェに寄ったり、

渋谷や新宿で買い物をするなんて、

寮生の自分にはありえないことでした

 

 

レディ・バードが出来るだけサクラメントから

遠い大学へ行きたいと考えたように、

私は実家から遠い、港区にあった

音楽関係の会社へ勤務すること自体が

ささやかな反抗と自立の一歩でした。

 

現在は東西線も延長して快速が千葉の奥まで

行きますが、私が就職したばかりの頃は

まだ延長しておらず、早朝と夜のラッシュアワーのみ

津田沼まで行くという変則的な運行でした。

1人暮らしを始める資金を貯めるまで、

実家から通いましたが乗り換えが3回の上に、

最寄駅までバスかチャリ通でした。

 

そんな田舎だったから、表参道や

六本木へも歩いていける場所で

勤務するというのが楽しみでした。

 

仕事量は半端なかったです。

(今の基準なら、明白なブラック企業w)

 

姪に事件には巻き込まれて欲しくないから、

周囲に注意を払い、

自分の身を守ることを姪に伝えています。

でも、冒険するな!遊ぶな!

とは注意できない自分がいます。

 

この映画でレディ・バードが好きになる

男子の役を、有名な若手Lucas Hedgesが演じます。

 

彼は、Manchester by the Sea, Moonrise Kingdom,

The Grand Budapest Hotel, Labor Dayなど・・

評価の高い映画に数々出演しています。

ハンサムではないのに、1度見たら

忘れられない顔。

色んな役が似合いそうです。

 

 

 

 

Beanie Feldstein(ビーニー・フェルドスタイン)は、

主人公の親友役ジュリーを演じています。

自己主張をあまりしないので、

主人公のレディバードに振り回されっぱなしです。

 

 

 

Greta Garwickは女優でもあり、監督、脚本家でもあります。

 

彼女が出演した、Greenbergという映画は、

日本で上映されず米国でも限られた上映でした。

Ben Stillerと恋人になる役をGreta Garwickが演じます。

大した事件が起こらず、

会話もつまらないと考える人が多く、

ハリウッド映画が好きな人には、

評価されなかった映画です。

私は共感できる部分もあり、印象に残っています。

 

 

今回のこの作品ではGretaは監督と脚本を担当しています。

ハリウッドの批評家の間でも、それぞれの登場人物の

会話や行動が現実的で、新鮮に感じるとのこと。

 

この映画の終わりかたは、John Hughes監督が描いた、

Pretty In Pinkとは違って、人生はそんなに簡単には、

うまくはいかないという意味合いが含まれています。

 

今後の作品も注目される映画監督だと期待しています。