なんで、

やる気の無い演技を観て、

「やる気が無い」

と言ったら、

それが「侮辱」になるのか。

全然分からん。

フィギュアスケートの記事は、

荒れ易い。

それもこれも全部PCSとGOEのせいだと俺は思います。

いや、

「思います」ではなく、もう断言してしまっていいね。

PCSとGOEのせいです。






フィギュアスケートは他の多くのスポーツと違って、

芸術を採点するという非常に難しい事に取り組んでいるスポーツで御座います。

明確で画一的な評価の基準、というものが与えられていないスポーツで御座います。

例えて言うなら、

そうだなあ、

ボクシングや柔道、レスリング等の格闘技に於ける、判定。

その判定の結果が議論を巻き起こす事は屡で御座いますが、

フィギュアスケートは全試合「判定」なので御座いますよ。

KOや一本に相当するものが無い。

んで、

野球やサッカーのように点数(スコア)を競うスポーツなので御座いますけれども、

その点数の基準が二つ有るので御座いますね。




一つは技術点に於ける「基礎点」。

これは分かり易い。

野球で言えばランナーがホームに還ったら1点、

サッカーで言えばボールがゴールネットを揺らしたら1点といったように、

「その技が決まれば、その技の難易度に見合った点が入る」

という、

至ってシンプルなもので御座います。

その技の難易度に見合った点、の部分では未だ釈然としないものが御座いますが、

非常に分かり易い。

いいと思います。

問題はここから。







点数の基準の二つ目は、

「その演技がどれだけ見事であったか」

という、

見事さ具合を点数に換算しようという試みで御座います。

こんなもん、

ね、

もう書いててもアホかと思うほど、

誰の目にもむちゃくちゃでしょう。

演技を芸術として見て、それを評価する試みで御座いますけれども、

ジャッジが、

「あ、これはいいね!」

と思ったら、

点が入るワケで御座いますよ。

ジャッジが、

「あ、これはちょっとね」

と思ったら、

点が低かったり、或いは引かれたりするワケで御座いますよ。

ほんで、

それじゃあんまりだろというコトで、

その見事さ具合をどうやって計っているか、

それを文章にしたものが一応与えられているので御座いますが、

これも酷い。

何が酷いって、

分かり難い。

分かり難いという事は即ち、

いろんな人がいろんな解釈を持ってしまう、

画一的な、共通理解が得られない、

というコトで御座いますよ。







例えば3回転ジャンプは2と3/4回転以上をクリアしたら成功で、

回転の不足分が1/4回転以上1/2回転未満であると軽度の回転不足でアンダーローテーション、

回転の不足分が1/2回転以上であると重度の回転不足でダウングレード、

なので御座いますけれども、

これはまだ許せるとしましょう。

回ったか回ってないかの「技術」の話なので。

問題は、ビデオ判定を導入しているのかしてないのか、

スローで見たらどう見ても回ってる(或いは回ってない)にも拘わらず、

回ってない(或いは回ってる)と評価される場面が少なくない事。

「ジャッジも人間ですからね」

などと言うのであればこんな採点方法やめてしまえ!

最初から予測出来るだろ!

1/4回転とか、肉眼で判断出来るかなあ

って最初から思えよ!

バカか!

ジャンプの回転不足一つを取ってもこれだけ分かり難い。

更にジャンプを芸術として採点しようとすると、

高さとか速さとか着氷後の流れとか空中の姿勢とか、

踏み切りのエッジがインサイドなのかアウトサイドなのかフラットなのかとか、

(あ、これは技術の話か)

いろんなものが加味されますからね。

そうなるともう、

例えば10人の人が10人同じ評価をするジャンプなんて、

存在し難いのが道理で御座いますよ。

んで、これはジャンプというたった一つのエレメンツのお話で御座いますからねえ。

ステップもスピンも有るよ。

画一的なルールに基づいて採点されている筈なのに、

一つも画一的じゃないじゃないのさ。

それがGOEで御座います。







でもこれはまだアレですよ、

野球に於ける、審判によってストライクゾーンが違う、

サッカーに於ける、主審が笛を吹く判断が異なる、

まだ、そういうレベルの話だと思います。

(十分に問題なんだけどね)

更に問題なのはこっち。PCS。

構成点で御座います。






PCSは5つの項目(ファイブコンポーネンツ)から成ります。

その5つとは、


・スケート技術(Skating Skills)

・要素のつなぎ(Transitions)

・演技力/遂行力(Performance/Execution)

・振り付け(Choreography)

・曲の解釈(Interpretation)




なので御座いますけれども、

まあ曖昧で御座いますね。

「あの人はスケーティングが上手だ!」

という人に、

一人は8点を付けて、一人は9点を付けた。

どっちが正解でどっちが間違いなのか。

フィギュアスケートの採点法に於ける判断は、今の所、

どっちも正解。

これが相対評価だったら分かるんだけどね。

例えばスケーティングが上手な人がA,Bと二人居て、

Aの方が少しだけより上手に見えたとしましょうよ。

んで、Aのスケート技術に、一人は8点を付けて、一人は9点を付けた。

更に、Bのスケート技術に、一人は7点を付けて、一人は8点を付けた。

これだと理解出来ます。

でもフィギュアスケートは相対評価を用いてないのよ。

選手一人ひとりに絶対評価なのよ。

そしたらさあ、

一人は8点を付けて、一人は9点を付けた。

っていうのがおかしくなってくるのよね。

繰り返しになりますけども、

画一的なルールに基づいて採点されている筈なのに、

一つも画一的じゃないじゃないのさ。

「いや、ジャッジも人間ですから」

などと言うのであればこんな採点方法やめてしまえ!

分かるやろ!

「俺は見事だと思ったぜ」

「そう?私はそうは思わないわ」

の異なる二つの意見が、

どっちも正解になるのは分かるやろ!

最初から!







んでね、

これもアレじゃないの?

野球に於ける、審判によってストライクゾーンが違うだとか、

サッカーに於ける、主審が笛を吹く判断が異なるだとか、

そういうレベルの話じゃないの?

と思われる方も居られるかも分かりませんが、

PCSはそんなぬるい話じゃないので御座います。

PCSはトータルスコアの約半分を占めるんす。

GOEが±2の世界なのに対し(これでも十分に大きいのですけども)、

PCSは、高い人でSP、FS合わせて100点ぐらいになります。

GOEが他のスポーツに於ける「有利(or不利)な判定」に止まるのに対し、

PCSは勝敗を決定してしまう、

順位を決めてしまう程の影響力が有るので御座います。

それだけの影響力が有るものの中身が、

「俺は見事だと思ったぜ」

「そう?私はそうは思わないわ」

どっちも正解!

という、

もう、

テメーコノヤローと、

フラストレーションの溜まるものなので御座います。








要は、それだけ評価が各個人の判断に委ねられる部分の多いスポーツなので御座います。

この不明確さは歪みの素となります。

ジャッジは、これだけ採点が各個人の判断に委ねられているにも拘わらず、

「自分だけ変な点数を付けないように」という、

間違った横並びの意識が働いているのは、

事実だと思います。

少なくとも世界中の多くのファンがそう思っております。

一度高い点数が出た選手亦は演技には、

その後も引き続き高い点数が出る傾向が御座いますし、

不可解にPCSが低い選手も事実居るように思います。

その歪みは、選手を苦しめるに止まらないので御座います。








フィギュアスケートは多くのファンに支えられているスポーツで御座います。

フィギュアスケートの採点法に見られる、

評価が各個人に委ねられる

という特性が、

ファンを歪めるので御座います。

明確に画一化された評価の基準が与えられてないので、

各々が自分の判断の正当性を主張してもそれが許されてしまうので御座います。

例えば浅田真央という稀代の名スケーターが居りますが、

彼女がよい演技をすればPCSは高い。

彼女が悪い演技をすればPCSは低い。

そんな当たり前の事も、

判断出来ない程にファンは歪んでおります。

浅田真央を「選手」として認識している方はそんなコトないと思われますが、

彼女を「アイドル」として見ている人は、

彼女がどんな演技をしようが「PCS低いぞー!」と、

声を上げているようで御座います。

人気投票じゃねえんだよ。

スポーツなめんな。

と、

思うので御座いますけれども、

それもこれもPCSとGOEに見られる、

評価が各個人に委ねられる部分が大きいというのが発端だと思います。

それがフィギュアスケートをスポーツとして不健全なものにし、

ファンを歪めている最たる原因だと思います。






フィギュアスケートをきちんと「スポーツ」として長く観て来ている人、

特定の選手だけでなく数多くの選手の演技を観て来た人であれば、

やる気の無い演技を観て、

「やる気が無い」

と言って当然。

俺は昨年の世界選手権のキム・ヨナの演技を観て激怒した。

オリンピック以降のキム・ヨナの演技には、

度々怒りを憶えずには居れん事が御座いましたよ。

そんなんで一生懸命練習して来た選手達と同じ舞台に立たないで欲しいと思った。

それぐらい、

オリンピックまでのキム・ヨナの演技は素晴らしかったし、

それ以降の質の低下は酷かった。







特定の選手が好きとか嫌いとかの話をしているんじゃなくて、

演技の話をしているのだ。

その判断が付かない程に、

ファンは歪んでる。

好きなスポーツの話題なのに、嫌な気分になるのはイヤだな。

と、思います。