83歳になる私の伯母は、今年1月「最近膝の調子が悪いねん」という妹(私にとってはもう一人の伯母)からの電話を受け、様子を見に行ってあげようと1人電車に乗って妹宅へ向かう途中、駅で転倒して骨折し、妹よりひどい怪我をして入院したのですが(サザエさん的展開)入院先で胃の病気が見つかり、転院してから入退院を繰り返し、5月になってやっと自宅に戻ってくることができました。
何度か一時退院して妹(まだ膝が痛い!)宅で療養している時に会いに行ったのでそれほど久しぶりではなかったのですが、昨日は子どもたちをオットに頼んで、私1人で会いに行ってきました。
伯母はすっかり元気で、ちらし寿司と焼き魚(鰆)とトマトと温野菜を並べながら「お吸い物いる?」と聞くので「いや、食べ切れへんわ」と辞退し、栄誉たっぷりのお昼ごはんを食べながら伯母の病院での武勇伝を聞きました。
伯母は耳がとても遠いのでこちらから話題を振ってもあまり明確な返答がありません。
なので私はなるべく聞き手に徹し、返答するときはなるべく簡潔に!大きめの声で!オーバーリアクションで!を心がけます。
伯母は看護士さんが意地悪だったことや、リハビリの先生が男前で親切だったこと、リハビリ時間中他の人の倍は頑張ったので治りがはやかったこと、転院先の先生がリハビリの先生に輪をかけて男前だったこと。(「最近の若い人はみんな男前やわ!!」だそうです。)
リハビリするお部屋の座布団カバーがボロボロだったので、編んで(伯母は編み物が得意)持っていったら喜んでもらえたこと、などなど話し続け「あー喉かわいた!」と言うので、二人で珈琲を淹れて飲みました。
座布団カバーの件は、本当は患者さんから何か受け取るというのは禁止されていると思うので、やめたほうがいい。迷惑やと思う!と散々妹に止められ「やめたほうがいいやろか?」と伯母からの電話で聞かれたのですが、座布団カバーはすっかり出来上がっていましたし、何より伯母が「先生と約束してん。作ってあげるわ、と言ったら、『ほんま?待ってます!』って言うてはってん」と言って、とても持って行きたそうだったので、うーーーん。。。と暫く悩んで「いいんちゃうかな?持って行ってみたら?」と背中を押してみました。
今日聞いたら、先生は快く受け取ってくださって「ほんまに作ってきてくれたん?ありがとう!!僕これ家で使わせてもらうわ!病院では使わへん!いいかな??」と仰ったそうで。。。
まあ!なんてお年寄り女性の気持ちを掴むのが上手な先生!!と思いましたし、もしかすると本当はやはり患者さんからは何も受け取れないルールがあって、病院で使うわけにはいかないし、かといって突き返すとこのおばあちゃんがしょんぼりするだろう、という配慮からの「家で使わせてもらう!」だったのかもしれません。
患者である他人のおばあちゃんが作った座布団カバーなんて普通は自宅に持って帰って使わないと思う。でも笑顔で受け取ってくださった若い先生に、私はお会いすることもないと思うけどここでひっそりお礼を言いたいです。
男前でそのように優しい先生なら、綺麗な奥さん(か彼女)がそばにいてきっと幸せな毎日だと思うから私がここで祈るまでもないと思うけど。。。思うけど。。。
先生が久しぶりにチョコボールを食べたら、金のエンゼルがでますように!
もしスターバックスでカフェモカを注文するなら店員さんの手元が狂ってチョコレートシロップがいつもより多く入ってしまいますように!
もし先生がYou Tubeに自宅でできるリハビリ体操をアップされているのなら、なにかのキッカケで登録者数が急激に増えますように!
陰ながら先生の日々の小さな幸せをお祈りしております。
15時になって私が「じゃあそろそろ帰るね」と言ったら伯母はまだ話し足りなさそうな顔をしていました。
次はいつ来られるかなぁと頭の中でカレンダーを捲りつつ大和川の橋を渡って、ここからの景色がめちゃめちゃ好き!と思いながら渡り切る頃にはもう今晩のおかずを悩み始めていて、でも半分は伯母のことをあれこれ思ったりもし、なんだか体が透けそうなのでした。
