日本刀剣鑑定会の入口 -3ページ目

日本刀剣鑑定会の入口

学芸員を志す上で、鉄工芸品、特に日本刀剣に惹かれ調べてみたものの業界全体の持つあまりに参入し辛い空気に四苦八苦した思い出を書き連ねていきます。

またせっかく鑑定会に行くのなら是非刀の「鑑定」にも挑戦していただきたいと思っています。ただ、あまりにも的外れな事を書くと書いた刀がそもそも何時の時代の何なのか答え合わせする側がわからず首を捻っている事もあり、それがしばしば私には辛かったです、仕方のない事なのですけどね。

基本的には少なくとも刀剣博物館で行なわれている鑑定会では、鑑定提出用紙は鑑定用の刀の脇などに束で置いてあります。見ている人の妨げにならないように必要な数回収しましょう。一つの刀につき挑戦できるのは三回までで、早い段階で正確に時代や地域をあてたほうが点数は高く、毎月参加者の方々はこの点数で競い合っています。普通は鑑定刀が5本用意されているので、権利を最大限に活かすのならば一人15回のトライが可能というわけです。

用紙には基本的に自分の名前と刀工の名前を出して答え合わせをしてくださる専門家の先生に提出します。

自分が書いた刀工の名前と、実際に鑑定刀を作った刀工の時代がまず違えば「時代違」などと書かれて帰ってきます。刀は大きく「古刀」、「新刀」、「新々刀」の三時代に分けて考える為、一回目の回答で「時代違」を貰えば次は残り二つの時代に活躍した刀工を書く事になります。
また「否」や「イヤ」などと返ってきた場合は、刀が作られた時代はあっているが地域が異なるという事です。
刀の生産地は東海や山陰といった全国に8つある街道で分別されます。その為「否」をもらったら、今度は別の街道の刀工に目星をつける事になります。
「候」を貰えば同じ時代の同じ街道あるいは同じ国まであたっているという事なのでもう一息です。あとは刀工やその一族を絞り込んでいくだけです。
尚、鑑定は作った本人をぴったり当てる「当」、あるいはその一族などを当てる「同然」「準同然」をもらった時点で正解となります。

挑戦できる三回の間に如何に正解の刀に推論を近づけていくかがこの鑑定会の醍醐味です。