日本刀剣鑑定会の入口

日本刀剣鑑定会の入口

学芸員を志す上で、鉄工芸品、特に日本刀剣に惹かれ調べてみたものの業界全体の持つあまりに参入し辛い空気に四苦八苦した思い出を書き連ねていきます。

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私は学芸員を目指そうと思った時に何か一つの「目標」があったほうがいいと思いました。将来的に自分がどのような学芸員になりたいのか、それを考えてみたのです。

その時思い至ったのが、刀を少しでも多くの人に文化として継承していく事でした。私は普通の人に比べるとやや英語が得意なので海外に渡ってしまった刀なども視野にいれ刀をデータ化して行き、日本国内は勿論世界中の人が誰でも簡単に見られるわかりやすい情報に文化を加工していく事を思いついたのです。

何故なら私が刀について調べようと思った時に、この業界のある問題に気付いたからです。それはこの刀業界がとにかく排他的な空気に溢れていた事です。

鑑定会にしてもそうですが、誰も楽しむ事はしても伝えたがらないのです。自分が詳しくなって、良い刀を手元に置き、そしてそこで終わってしまうのです。

今の時代ちょっとした調べ物はインターネットを使えばすぐに知る事が出来ます。しかし刀に関してはそうは行きません。何故なら今の刀業界を担っているのは殆どが高齢の方で、パソコンに向かい情報を配信するといった作業を誰もしたがらない為です。

むしろ「刀の真贋がわかるようになる為には最低10年は必要だ」等嬉々として語る彼らに私は危機感を覚えます。この調子では10年後には誰も刀の真贋がわかる人間が残っていないのではないかと。

刀が文化として生き残るには、刀屋や古物商以外を寄せ付けないアナログで身内だけに優しい今のままでは私はいけないと思います。刀がすごく好きな人や刀に真摯な人だけを相手にしていてはいけないと思います。

そう鑑定会に行く度に私は思うのです。会場を見渡しても私ぐらい若い人は殆どいませんし、それどころか私のおじいちゃんぐらいの年齢層が8割以上を占めているのが現状です。ましてや女性の方など大変珍しがられ奇異の目を向けられます。GF(仮)のような学園恋愛ゲームのまさにあらゆる意味で正反対の世界。

最近歴史に興味を持った女子高生がすぐ好きな武将の刀について詳しく知れる、そのくらいでないと駄目だと私は思うのです。