僕は自分の年齢がうまく思い出せない年齢になっていて、正直なところ自分が体験した出来事を正確に書きつける自信がない。僕は歳をとりすぎていて、僕の目には全てが濁って見えてしまう。例えば、4月には桜が咲き、澄み渡るような青空の下で甲高い声で笑い合えるようなそんな天気でさえもそれらは全て若者の手の中にあり、僕から遠く離れていって随分と時間が経ってしまったようだ。僕は幾つの星空を眺め、幾つの銀河の香りを嗅いだのだろう。僕が生きていたのはそういう悠久の時の流れの中なのだ。
僕はうまく喋ることができない。さっき起きたばかりだというのにもう既に瞼が落ちそうになっている。今日はうまく歯磨きができるのだろうか、うまくお風呂に入れるだろうか、僕は毎日が不安だ。今日は飛行機に乗る日だからそうは言っても早く目覚めなくては。目を何回かこすったあとで僕は2回あくびをして、カーテンを開ける。午前4時の星空は極めてアニメ的で、張り付いてる星が誰かが作ったような胡散臭さを発揮していた。僕は今日28歳になる。今日は僕の誕生日だ。