隣の永田君 -5ページ目

隣の永田君vol.19~金曜日の永田君~

高校時代の僕と永田君は、なかなか彼女が出来なかった。

決してモテなかったと言うわけではなかったが、男は硬派にとか好きな女しか興味がないみたいなのがカッコイイと思っていた。

硬派と言うのはウソだ。

本当は、2人とも女好き。

でも好きな女じゃないとダメ!

それは本当だった。

そんな持論がある上に実は極度の照れ屋な僕と永田君。

好きな人の前ではついつい、いつも以上の馬鹿をやってしまい余計に嫌われてしまう結果に…

そんなこんなで高校生活もあと1年となった頃、周りは彼女が出来ていたり初体験を終わらせている人が続々と現れる。

焦る僕と永田君

もう変なプライドを捨ててやる事はやってしまおうと決意する。

それから、ほぼ毎週の様に金曜日になると、どちらかが女性を含めた飲みが入る。

そんな日は決まって下校の時、

「俺、今週フィーバーだから!じゃあな!」

そう余裕な顔をして飲みがない方に言って帰るのだ。

言われたもう片方も強気で、

「どうせなんもねえよ!」

と切れ気味に返すのであった。

月曜日

決まって、

「おいフィーバーどうだったよ?」

と真っ先にフィーバーコールした奴の元に行って報告を聞くのだ。

結果

・女性とあまり話せなかった。

・盛り上がったけど飲み過ぎて寝てしまった。

・飲み会がなくなった。

・来るはずの女性が来なかった。


などと散々たるものであった。

結局、こんな事の繰り返しで気づけば高校最後の夏休み目前だった。

そんな中、ついに僕は、初体験を終えた。

でも何故かすぐに永田君にその事を告げられなかった。

3日後、2人で東京に買い物に行く途中、意を決して話してみた。

驚いた事に、永田も初体験を終えていてその事をなかなか言い出し辛かったようだ。

お互いつかえていた物がとれ話をしてみると、結局相手は、好きな相手であった。

なんだかんだいっても好きな奴じゃないとダメって言う気持ちが同じで嬉しかった。

■当時の僕の日記には

・永田君はその後6年も続いた。

・実は2人とも照れ屋。

・最近、飲む度に好きな女性の話を聞かされる。

・でも僕の方が付き合いが長いのでその女性の事を知っている。

・そんな僕と永田君の頭には今も『星のラブレター』が流れるのであった。

と記されている。

隣の永田君vol.18~LIVEだ!ダイブだ!永田君!~

当時から僕と永田君は、音楽が好きで良くLIVEを見に行っていた。

僕は、バルザックと言う大阪のホラーパンクバンドが好きで、永田君は、ミッシェルガンエレファントが大好きだった。

ある時、この二つのバンドが対バンする事になりもう1人中学からの友人を誘い3人で徹夜でチケットを買うため並んだ事があった。

そのかいもあり見事3人ともチケットを手に入れLIVEに行く事が出来た。

以前から、ミッシェルのLIVEに良く足を運んでいた永田君。

本当に、千葉ユウスケが大好きでこの日のLIVEは、新宿LOFTという事もあり気分は最高潮に達していた。

いよいよLIVEも始まり最初は、バルザック!!

僕と友人は、前の方でダイブを持ち上げながらのりにのりまくっていた。

バルザックも終わりいよいよミッシェル!!

今まで後ろで見ていた永田君が、前に押し寄せる。

もやしの様な体が人の群れに挟まれ顔は、悶絶永田君。

さすがに大好きなミッシェルだけあってそれでも尚前に進み続ける永田君。

LIVE終了。

3人の体からは湯気が上がる。

いつも以上に激しいLIVEと夢の競演に3人とも大満足!

特に、永田君のテンションはいつも以上に上がっていた。

LIVEハウスを出るためエレベーターに乗り込む3人。

それにしても永田君がうるさい。



何かを持ってひたすら叫んでいる。

どうやら千葉ユウスケのピックを手に入れたようだ。

ただでさえ激しいLIVEで頭がぽ~っとしてるのにうっとうしい。

ああ

うっとおしい。

友人もエレベーター内でしきりに何かを叫んでいる永田君に冷ややかな目。

ドアが開きやっとこの狂気の密室から逃れられる開放感。

一番に僕が飛び出し友人が後に続く。

「あーーーーーーー」

・・・・

さっきまでの喜びの叫びとは異なる永田君の雄たけび。



どうやらエレベーター内ではしゃぎ過ぎて出る時に、ドアの隙間にピックを落としてしまったらしい。

そんなミラクルってあるのか??

なかなかエレベータから離れようとしない永田君を友人と僕2人で引きずり歌舞伎町の夜に消えるのであった。

■当時の僕の日記には

・天罰って本当に起こるのだとその時再確認させられた。

・ドアの間に完全に落ちたピック

必死に指を突っ込んでいたが絶対に届かないのは誰が見ても分かる。

それでも必死な永田君

・明智光秀(三日天下)もきっと同じ心境だろう。

・ピックの所有時間、わずか3分あまり。

と記されている。

隣の永田君vol.17~シンクロ~

高校時代から僕と永田君は、変な所でかぶる事がある。

永田君と僕が初めて言葉を交わしたのも、僕が自分のサイフと間違えて永田君のサイフを貴重品袋から取った時だった

その時だってあまりに似ている財布を使用していたのが原因だ。

ある日永田君が、鼻歌でTHE BOOMの『星のラブレター』と言う曲を歌ってた。

♪君に会いに行くよ~君に会いに行くよ~♪

とフレーズを歌っていたので、僕が続けて

♪愛してます。好きにしてよ~♪

と続きを歌ったら物凄い顔で驚いていた。

この曲は、僕と永田君の世代より上の代の曲で、高校時代、同学年でこの曲を知っている人はまずいないであろう。

そんな感じの曲だった。

僕も何気なしに続けて歌っていたが、良く考えれば永田君の驚いた顔には納得がいく。

結構、そんな事が僕と永田君の間で起こる。

映画にしても絶対に普通の人には分からない映画が好きであったり、同じ日に同じお店で同じTシャツを購入していたりと不思議な事が良く起こる。

しかもこの偶然、合う確率が低い事の方が良く合ってしまうから驚きだ。

同じ日に同じ店で同じTシャツなんて、都内で1軒しかない店で、しかもその店でし買えないTシャツを違う時間帯に購入してるってありえますか??

極めつけだったのが、休日原宿に待ち合わせをした際、僕は遅刻した。

新宿駅に着いた時点で15分程遅刻していたので永田君に、

僕「もうつく」

とメールする。

すぐさま永田君から返信があり

永田君「俺ももうすぐつく」

と返事が帰って来た。

もちろんそんな早くは着かない。

ウソをついた。

いざ原宿方面の電車のに乗ろうとすると見覚えのある姿が・・・

そう

永田君とバッタリ

お互いに

「もう着く」

と言っときながら新宿で鉢合わせ。

一瞬でお互いのウソがバレる。

こんな時の人間のリアルな反応。

僕と永田君「よう!」

まさか新宿で鉢合わせになると思っても見なかった2人。

あまりの偶然に驚いてしまいその一言を交わしたまま、誰も待っていない待ち合わせ場所の原宿まで無言な2人。

月日は流れ6年後・・・

久々に原宿に出かける事にした僕と永田君。

小腹が空いたので、しゃぶしゃぶ食べ放題の店に入る2人。

お互い上着を脱ぐ。

すると

白のロンTの上に黄色のTシャツを重ね着した23才、男2人の姿がそこにあった。

■当時の僕の日記には

・永田君は、多分僕のストーカーだ。

・永田君は、絶対に僕のストーカーだ。

・かぶった時後何故か2人とも無言になる。

・高校時代は、ネタに出来たが正直、23才にもなって洋服がかぶると笑えない。

と記されている。

隣の永田君vol.16~柏手のケン~

僕と永田君が、高校の時にもの凄くはまっていた漫画がある。

それは少年マガジンに連載されていた『将太の寿司』だ。

何故、この漫画にあれ程はまっていたのか未だに分からない。

ある時、僕と永田君の心を強烈に打った人物が登場した。

それは、寿司新人コンクールの回のエピソードで出てくる柏手の安と異名を持つ審査員だ。


この審査員うまいものを食べると思わず手を叩いてしまう変な癖を持つ人物なのだ。

もうお分かりかも知れないが、そう僕と永田君を早速、影響を受けてしまいその日の昼食から何を食べるんでも、

「パチ!」

と柏手を打つようになっていた。

それから1ヶ月。

さすがに、その行動にも飽きてきたので僕は普通にご飯を食べていたが、相変わらず永田君は続けていた。

ある日、普段通り漫画を読んでいると、審査員の最高責任者なる爺さんが出てきた。

この爺さんは、うまいものを食べると眉毛を吊り上げる動作をする。

その日の昼食

「むう!!」

訳の分からない唸り声。

声の方を見ると永田君が、必死に眉毛を吊り上げていた。

誰も気づかない。

僕ですら気づくのに数秒かかった。

誰も行動に触れない。

寂しくなったのか永田君は、いつも通り柏手を叩いていた。

これが我が校の柏手のケンの誕生だった。

■当時の僕の日記には

・眉毛を必死に上げいる永田君のものまねは驚くほど地味であった。

・爺さんの真似が終る度に首をひねっていた。

・何を食べても柏手を打つ永田君。

・僕の知っている限り3回だけ柏手を打てずに吐きだした食べ物があった。

・あれから6年、久しぶり再会し、上野でご飯を食べた際、未だに柏手を打っている永田君の姿があった。

実は味オンチ

と記されている。

隣の永田君vol.15~修学旅行編・VS外国のおじさん~

とんでもないプチホームステイから始まった僕と永田君の修学旅行。

いよいよ最終日。

映画で有名なFOXのテーマパークに行った。

ここオーストラリアに来て二箇所目の映画のテーマパークだ。

またも映画好きの僕と永田君は羽目を外しすぎる。

ここFOXは、最初に行ったムービーワールドと違い映画のキャラクターがうようよ歩いているのではなく、映画の名前にちなんだアトラクションが沢山ある。

しかし僕と永田君の運がないのか?


はたまたFOXが駄目なのか?


なんと目玉アトラクションが3つもメンテナンスにより休止中だった。

ここは、メインがアトラクション。

メインディシュを欠いたフルコースに用はない。

そう思った僕と永田君は、FOXを後にしショッピング街にくり出す。

すぐに目当ての店を発見し僕はシャツを、永田君はスニーカーとフード付きロンティーを購入。

そうこうしている内に空港へ向かう時間に。

心に若干の傷を負ったもののこれと言って大きな事件がなかった今回の修学旅行。

否でも家につくまでが修学旅行だ。

そう自分を戒め機内で離陸を待つ僕。

「お前一体何やってんだ?(英語)」

いきなり前から激怒しながらやってくる客室乗務員のおっちゃん。

どうやら僕と永田君の学校の誰かに言っているらしい。

目線の先をを追って振り返ると…



離陸寸前だと言うのに何故か上半身裸の永田君。

どうやらさっき買ったばっかりのロンティーを着用したかったようだ。

まさかいきなりどなられると思っていなかった永田君。

すぐさま引率の先生が仲介に入り事態は収まった。

どうやら永田君の修学旅行は機内で終わっていたようだ。

■当時の僕の日記には

・終わりよければすべて良しと言うが全然良くない。

・離陸寸前に着替えをしようとしていた永田君。

おじさんに英語で怒鳴られまくって頭に来たのか、

永田君「うるせーよ!くそ外人!何言ってるかわかんねーよ!」

と日本語で応戦していた。

・ずっと機内で

「あのくそ外人が!」

と怒っていたが、向こうからすれば永田君が「くそ外人だ!」

と記されている。