2014年04月19日[土]17:00@よみうり大手町ホール
【海峡の光】


今年の3月末にオープンした読売新聞社屋内にある
「よみうり大手町ホール」のこけら落とし公演です。



巷のニュースでなにかと話題になっている
辻仁成さんによる脚本と演出、音楽監督をSUGIが務める作品。


大手町駅は地下鉄各線が乗り入れているのですが、
ホームの場所がてんでばらばらなので意外と大変・・・
半蔵門線なら直結ですが、東西線だと徒歩10分みたいな(汗)

完成したばかりのホールなので超キレイです。
導線の細さが少し気になるところですが、
400人ちょっとのキャパならなんとか大丈夫っぽい。

SUGI宛てのお花はGLAYから。
それと辻さん宛に“深愛”(ファンの方々?)なんていうのも。

ロビーではグッズ販売のほかに
一部の出演者の生写真販売(番号記入式)とかもあったり。

客席は1階のみで1列20人ちょっと×21列で、
ちらほら空席はありますが、まんべんなく埋まってる感じ。
前日に当日引き換え券を申し込んだところ、
中段上手通路側というなかなかの良席。
・・・どころじゃなくてものすっごい神席でした。

舞台セットは大きな石の台座のようなものと椅子ぐらいで、
ステージ奥は何段か段差があって、
両袖には赤いカーテンと牢屋の柵の様に鉄の棒が並んでいます。
スクリーンにはシーンに応じて映し出されていき、
砂漠と赤い太陽、青函連絡船、日本国旗、流れ落ちる砂、
広大な海に眩く輝く太陽の光などのイメージ。


5分押しで暗転。
そして汽笛の轟音とともに開演です。

するといきなり通路を勢いよく駆け下りてくる人たちがいて、
びっくりしていると囚人の方々です。

   『はい』という素直な心
   『すみません』という反省の心
   『お陰様で』という謙虚な心
   『私がします』という奉仕の心
   『ありがとう』という感謝の心

訓戒の斉唱が終わると同時にライトがフラッシュする中、
超絶ロックなインストが流れるから再びびっくり。
[Unlikelihood]のリズムに[Be Awake]のテイストを加えた感じ?

オオーw(*゚o゚*)w 予想外な始まりにテンションが急上昇で、
ここからオープンニング的なものに突入するかと思いきや
音楽がピタっと止まって一瞬で終わるという・・・

この生殺し演出は幕間に何度も繰り返されます。``r(^^;)ポリポリ


物語の方はウィキであらすじを予習した程度なのですが、
それだけで十分過ぎるほどネタバレになっちゃいます(苦笑)

原作を読んでいないのであれば、
むしろ何も予習せずに観た方がいいかと思います。


そんなわけでストーリーの中核は花井修(中村獅童)が
仲間の囚人たちに語る踊り子・ダリアの場面ですw

表現が妙にリアルな上に艶かしくて、
これR指定でしたっけ?と確認したくなるというか、
もうこれ官能小説の生語りです。(*ノェノ)キャー

やたら“臀部”にこだわっていて相当のお尻フェチみたい(笑)

トドメに踊り子さんの衣装をくるくる紐解いて、

  「おやめくだされ、お殿様」
  「よいではないか、よいではないか」
  「あーれー」

でお馴染みのあの宴会芸みたいなのを再現・・・(゚o゚;;


一方で中学時代に花井からイジメを受けていた齋藤(片桐仁)は、
職場の刑務所では花井に再開することで
過去のトラウマに苦しめられ、
妻には見放されて絶望の淵に追いやられて救いが一切なし。

青函連絡船の最終便で妻が青森へ帰ろうとする場面では、
ヴァイオリンによる[蛍の光]がもの悲しく流れています。


そして実習船の夜、花井が一人船室を抜け出すところでは、
上手の通路をゆっくり歩いてくる花井・・・

自分のぴったり真横で立ち止まったーΣ(・ω・ノ)ノ!

やや視線を落として上手側を向いているところに
下手通路にいる齋藤から声を掛けられて振り返ります。

臀部が、花井さんの臀部が目の前にぃぃぃ!!!←

ちなみに30cmもない距離なので目線が合ったら、
その瞬間に変顔でもしてみようかなと思っていたのですが、
誰をも見るわけでもなく終始虚ろな目をされています。

そして勝手に船室を抜け出すのは禁止だと怒る刑務官に対し、

 「でも齋藤先生が許可をくれました!」

という花井の一言は、中学で齋藤を、刑務所で蜂屋を、
そして今度は看守になった(ことに気付いたので)
齋藤さえも孤立させてやるぞ、と暗に脅しているようで、
これは齋藤の立場からしたら恐怖でしかないです。

この場面、前方の観客は後ろを振り返ることになります。
大勢の観客が一点に向かって首を回す動きが、
さながら津軽海峡の波のように見えるらしいとか。


基本的にドキドキワクワクが一切ない沈鬱なスト-リーなので、
いろいろ考え込むことが好きな人には合っているかもしれませんが、
起承転結のハッキリした活劇を求める人には向いていないです。

・・・というのが一般的な見方だったりするのですが、
SUGI監督が良いお仕事しまくっているおかげで、
むしろ[海峡の光]という曲のミュージックビデオを
ドラマ仕立てにして生の舞台で鑑賞している気分です。('-'*)フフ

おかげで音楽に集中しすぎて台詞が飛ぶこともしばしば(苦笑)


あと、数少ないお笑い要素の中で
ブッ込んできたのが実習船の船長(勝矢)さん。

 「は~るばるきたぜ、函館~♪
  オッス、オラ船長!」

畳み掛けてのややウケw


それからなんといっても囚人の佐藤&生徒B(玉城裕規)の
オネェキャラが際立ってます。

 ・ありがと?
 ・パチンコパチンコチンコチンコチンコのことしか頭にないわ~!
 ・競輪行きたいわよぅ!!
 ・娑婆、シャバ、シャバダバ~♪
 ・ちょっとアンタ!(多用)
 ・どうやって口説いたのよ、そんないい女!?
 ・こんな感じ?(と、セクシーポーズ)
 ・出たー!(雌ヒョウ)
 ・ダリアばんざーい!
 ・すみましぇーん・・・
 ・もっとダリアの話を聞きたいわ。そうでしょう?どうでしょう?

とても初めてとは思えない、
むしろ演技とは思えないハマリっぷりです。(゚m゚*)プッ



休憩なしの1時間50分で終演。

暗転の後にキャストが一列に並んでお辞儀、
いったん捌けた後に獅童さんだけ再登場してのお辞儀。

“自由を捨てることで自分の居たい場所にいる自由を謳歌している”

そんな花井は果てして自由と言えるのか、
何を以って自由となり得るのか、を考えさせられる作品でした。