伊豆の青い空いよいよ本やネットで勉強してきたことを実践に移す時が来た、、春の恵みを想い描き野菜の種を蒔く畝作りに、いざ天国へ、

バイクを降りたらムッとする夏山独特の土の匂いがした、ちらちら揺れる葉っぱの影を踏みつけ坂を登りきった小屋の前は、
ことのほか涼しくて空気が美味い、、

おっ、こないだ作った魔法の暖炉がこっちを向いてるよ、、だから下げてる二つの袋には飯盒推参の仕度がしっかり入ってます、ダハハ、、

サングラスをかけてもクソ暑く見える遠くの初島が、だらっと霞んだ地平線のおかげで空に浮かんで見えている、、

ずっと頭の中に描いてた畝の位置を日当たり、勾配、広さの順で確めてたら、さすがに顔がヒリヒリする陽射しに負け、ミカンの木陰に腰を下ろした、、

、、まずい、いつものボーッとしたがってる自分を殴りつけ昼飯の準備に取りかかった、、

女房に研いでもらった米の入った飯盒に水を入れ、理想とだいぶ違っちゃったワカメスーブとレトルトカレーを、
しかたなく鍋の横に置いた、、

薪を割る斧を探そうとしたその前に、なんと、マッチだけ無いのに気が付いた、

このボケチンが!

家に取りに帰るのは簡単だ、、悔しさが込み上げ、何かないかの執念で虫メガネを
小引き出しに見つけた俺は天才だろう、
理科の実験を思い出し、枯れ葉を揉んでやってみて、すぐ煙が出たその瞬間、
やっぱり、どうにかできる男だとニンマリした、、

伊豆の青い空ところが、世の中そう甘く無かった、なんと、一時間半もの間、手を変え品を変え挑戦したが、ただ、焦げるばかりで煙ばかり、、
もうちょっとなのになぁ~
腰から下は木陰、肩から上は炎天下で虫メガネが集める5ミリの光の点を睨み続けた、、、

もうろう状態の俺はいつしか撫子ジャパンの様になりたいと思うようになっていた、太陽がある限り絶対にあきらめたくないと、、、

とうとうあの、幽助の眩しいばかりの霊ガンに似た先端の白い点が柔らかい粉炭を赤く焼き始めた、
ソーッとソーッと口を尖らせ吹いた、赤い面積が広がってきた嬉しさに思わず指でさわったら、飛び上がるほど熱かった、、


もう、疲れきって、飯盒飯のオコゲの感動はあまりなかったけれど
マッチ1本のありがたさをこれ程思い知らされたことはない、、

うたた寝から覚め、人差し指を舐めてる俺に「なんの種蒔いたの」と、帰ってきた女房は聞くだろうか・・・。