気ままに風の跡 by樋口 友治郎

気ままに風の跡 by樋口 友治郎

日々は風のごとく吹き抜けてしまうから、風の跡を刻みたい。
気ままに綴る詩ブログ。 

 

 

 

海域なんてお構いなしさ

水の中を自由自在

どこへでも行ける

どこまでも どこまでも

 

国境ってなんだい?

壁とかもどこにもないぜ

 

静かな夜は水面から顔を出して 

満天の星空を煽ぎ

 

荒波の夜は海底の深いとこで

岩場の影に潜み

 

海流なんかもろともせずに

水の中を自由自在

いってみたいと思えば

どこへでも行ける

 

群れたりもせずとも

理解ある出逢いに救われ

小っちゃいことは気にすんな

広がる世界を泳いでくんだ

 

長い長い 旅路の果てに

辿り着ける

どこまでも どこまでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初霜がフロントガラスを凍らせた

日の出間近の眩い朝に

 

どうしようもない ついさっきまでの真夏の

馬鹿みたいな暑さを思い返してみた

あのうなだれるほどの酷い熱波を

 

だが その気配は微塵にも影を潜め

あの時の支配されてた太陽に今は

燻された冷気が水蒸気となって昇華していく

 

立ち込めた濃霧の向こうに

待ち構えている

いつの間にか冬の匂いを纏った空で

 

差し込み始めた陽光は 寒さの中でも 

凍てつくフロントガラスを そっと溶かしてった

 

どうやら この先 

しばらく太陽は

ボクらの味方だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不思議なもんだな

何故か晴れるんだ

この日だけは

 

憂鬱な日々の合間でも

実に清々しく

今年もやはり青空が広がった

 

ほんの束の間であっても

どこか 心救われるのさ

 

無数のとんぼが 空一面駆け巡る

ただ ただ 今日を精一杯

この空が青空であるために

 

どんなに雨風が強まろうと

この空が必ずそこにはあるのだと

 

間違いないな そんなイメージを

この日は与えてくれるんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いったい なんの意味があるんだろな

人影まばらな公園のベンチに腰掛け

ふと そんなことを考えてた

 

なあ そこから見えてる景色は

どんなだい?

 

知らなくてもいいような

どうでもいい事ばかり  暴き倒されて

知られてほしくないのか

肝心な部分は   捏造で覆い隠される

 

滑稽だよな 傷つけられるのは  

いつも優しさばかりだ 

 

 

いったい どんな話しをしてるんだろな

呼び合いながら帰巣してく カラスたち

羽ばたかせた暮れゆく空に

 

なあ そこから見えてる明日は

どんなだい?

 

あからさまになってみても

どうにもならない時流にのまれ

どのみち この道しかないのなら

どうしようもなく闇が訪れようと

ボクらは夜明けを見つけ出そうとする

 

滑稽だよな どんなに傷ついても

ボクらはいつも 優しさを持ち寄り

明けない夜はないと思っては

乗り越えようとしていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

か細くも さっきより高いとこで 

この夜一番の 花火が鳴った

 

なんにもない夜空に 響いて

小さく咲いて 消えてった

 

提灯灯篭の電球は仄かに参道を灯し

境内からのお囃子と小さく揺れている

 

たぶん あれが最後の花火

深まり過ぎた晩夏の名残とともに

 

虫たちは思い出したように

取り戻した静けさの中で

誰かのためでもなく

勝手気ままに唄い出していた

 

聞こえてる誰かに届くなら

打ち上げ花火と虫の声