本日は小野正利「You're the Only...」(1992年リリース) です。

小野正利さんは中学生の頃に聴いたCHAGE and ASKAを聴いて音楽に目覚めるようになりますが、高校生の頃に聴いたハードロック・ヘビィメタルバンド「LOUDNESS」を聴いたことで衝撃を受け、以降ハードロック・ヘビィメタルを嗜好するようになります。洋楽を主に聴くようになりますが、邦楽ではLOUDNESS以外にもBLIZARD(ギター・松川敏也さんとベース・寺沢功一さんが在籍していたハードロックバンド) やTHE ALFEEにも影響を受けたそうです。とはいえ、音楽で生活できる望みは薄かったため、大学に通い、教員を目指して教員免許の取得を考えていたそうです。

1989年に当時在籍していたインディーズのバンドで、当時バンドブームを牽引するキッカケとなった音楽番組「三宅裕司のいかすバンド天国」(TBS) に出演。勝ち抜きとはなりませんでしたが、小野さんはベストボーカル賞を受賞し、その後のメジャーデビューに繋がっていきます。

そして、1992年に「ピュアになれ」でメジャーデビューし、その年にリリースされたのがこの「You're the Only...」でした。

この曲は吉田栄作さん主演のフジテレビ系ドラマ「君のためにできること」の主題歌として起用されました。

「君のためにできること」のワンシーン。

このドラマは、当時日本でも流行したアメリカの映画「ゴースト/ニューヨークの幻」(Ghost) を下地にした、いわば日本版リメイクのような形で作られた作品で、恋愛ドラマで人気の「月9(月曜9時枠)」のドラマとして制作されました。また、主演もトレンディドラマの代表格だった吉田栄作さんが務め、南野陽子さんが相手役、若手で人気急上昇していた石田ゆり子さんや、東京に進出して多くのレギュラーを持ち、俳優業にも進出してきた森脇健児さんなどが出演しました。

この「You're the Only...」は、小野さんが自ら作詞を手掛けました。純粋なラブソングとして作られています。

「真夜中君と二人砂浜波の調べ」

「見上げた空にはほら星のシャンデリアさ」

真夜中に君と一緒に海岸へ出掛けた僕。砂浜には波の音が聞こえるだけ。そんな場所に2人で腰掛けます。波の音だけが聞こえる空間、そんな中で上を見上げると、無数の星たちがキラキラと輝いています。この輝きを「シャンデリア」と例えるロマンティックな表現。ムード満点です。

「I love you tonight」

「時が止まればいいね」

そんなロマンティックな空間で僕は君に向かって愛の言葉を囁きます。そして、この時間が止まって永遠にこのままでいればいいのに、と君に話します。

「流れ星きらめく」

「想いを伝えたいすぐに」

無数の星たちの中には、流れ星も。そんな中で君にさらなる想いを伝えようと、ドキドキしている僕。

「いつまでも二人このまま強く抱きしめて Fly away」

「輝いてる君の瞳僕のすべて映してよ」

そして二人は真夜中の海岸で抱きしめます。星が君の瞳に写ってさらに美しくなる君。その瞳で僕を見てほしいと懇願しています。

「My song for you.Just,only you」

(君だけに歌うよ、君だけにね)

「君だけを愛しているのさ」

君だけに贈る愛の歌。それは君の心に必ず届くはずです。

作曲は作曲家の柘植由秀さんによるもの。小野さんの声質を生かした、素晴らしいバラードに仕上がっています。アレンジは笹路正徳さんによるもので、至極のピアノバラードとなっていますが、曲後半は小野さんの本来の嗜好であるロックに寄ったアレンジとなっています。(間奏がハードなギターソロ) ピアノ・キーボードは笹路さんによるもの、ドラムは湊雅史さん、ベースは岡沢茂さん、ギターソロを含めたエレクトリック・ギターは土方隆行さんによるものです。小野さんはコーラスにも参加しています。

特筆すべきはやはり小野さんのハイトーンボイスでしょう。4オクターブもの声域があり、そして澄み切った高音は小野さんの持ち味です。この曲ではサビでそのブレないハイトーンボイスを聴くことが出来ますが、いつ聴いても惚れ惚れする声です。

デビュー初年ながら、この曲はいきなりミリオンセラーとなるなど、小野さんの代表作となりました。君に届けるラブソング、女性に贈りたいバラードです。

澄んだ高音のバラード。小野正利「You're the Only...」