本日はZARD「揺れる想い」(1993年リリース) です。

1991年にデビューしたZARDは、デビュー初年からヒット街道を歩むようになります。デビューシングル「Good-bye My Loneliness」がオリコンチャートでトップ10内にいきなり入るスマッシュヒットを飛ばし、1992年に入ってからは「眠れない夜を抱いて」「IN MY ARMS TONIGHT」が立て続けにヒットします。この頃はテレビ朝日系「ミュージックステーション」に出演するなど、音楽番組にも顔を出していましたが、多忙から来る疲れや、元々の体調があまり良くなかったことから、1993年以降は音楽番組にも出演が徐々に無くなっていき、最終的にはテレビ出演が無くなりました。こうした背景から「露出しないミュージシャン」としてZARDのプロモーションが行われていくようになり、ZARD自体の人気が上がっていきました。人気を博していくようになってから、ビーイング系列のミュージシャンはZARDと同様にテレビ出演やライブ活動を戦略的に避けるようになっていったと言われています。

1993年に入ると、J-POP史に残る大名曲「負けないで」がZARD初のミリオンセラーとなり、一気にZARDをスターダムに押し上げることとなります。そして、「負けないで」に続くシングルとしてリリースされたのが、この「揺れる想い」でした。

この曲は一色紗英さん出演の大塚製薬「ポカリスエット」のCMソングに起用されました。

歌詞は坂井泉水さんによる、タイトルの通り「夏に揺れ動く少女の想い」をテーマにした、坂井さんの乙女心を前面に出した歌詞となっています。

「揺れる想い体じゅう感じて」

「君と歩き続けたい in your dream」

サビからスタートするこの曲。いきなりタイトルから入ります。伝えたいことがリスナーに一発で伝わりますね。「わたし」がずっとあなたに対して抱く想い、それは元々は尊敬とか友達としての想いが、「恋心」に揺れ動く様子がわかります。そして君とずっと一緒に居たいと思っています。

「夏が忍び足で近づくよ」

「きらめく波が砂浜潤して」

青春を謳歌する季節、そして距離が近づく季節、夏。徐々に近づくことを「忍び足」と表現する坂井さんの遊び心満載の歌詞に脱帽です。そして夏になっていくと波が輝き、打ち上げられた砂浜は潤いを増してきます。

「こだわってた周囲(まわり)をすべて捨てて」

「今あなたに決めたの」

「揺れる想い」の意味には2種類あると私は思います。1つは先にも出した「恋心に変わっていくもの」、そしてもう一つは「別の人に想いが変わっていくもの」だと思います。この歌詞では色んな男の人がよりどりみどり選べて、どの人にしようか迷う中、あなたに揺れ動いた様子を描いています。

「こんな自分に合う人はもう」

「いないと半分あきらめてた」

この歌詞を見るだけで、彼とわたしの相性はかなり良いのでしょう。諦めかけるくらいなので、相当良いのだと思います。

「揺れる想い体じゅう感じて」

「このままずっとそばにいたい」

サビに戻ります。会う度に「相性が良く」「自分に合う」彼は、友達付き合いというよりも、恋心に変わって揺れ動く想いが感じ取れます。

「青く澄んだあの空のような」

「君と歩き続けたい in your dream」

夏の透き通った澄んだ青空。彼はまさにそのような人で、好青年のような出で立ち。そんな彼と一緒に居たいとわたしは思うのです。

作曲は織田哲郎さん、アレンジは明石昌夫さんによるものです。ここまでキャッチーなメロディーを書けるのはやはり織田さんならではの手腕。全てのメロディーでキュンキュンするような、そんな曲です。そして、アレンジの明石さんですが、明石さんの特徴的なアレンジが、この曲にも多く見られます。

2拍目にクラッシュ・シンバルを配する
ドラムのフィルが8分3打によるものが多い
ギターのサウンドが前面に出る

明石さんは「攻め」のアレンジと話しており、「うるさいもの」になると自己評価していますが、夏の爽快感を出すのにピッタリのサウンドだと個人的には思っています。このサウンドが無ければ、この曲がここまで代表作とはならなかったのでは、とさえ思っています。基本的にはギター以外は全てコンピューターによるものとなっています。また、コーラスで大黒摩季さんが参加しており、坂井さんの指名で務めたそうです。

この曲も「負けないで」に続いてミリオンセラーとなり、ZARDを代表する曲となりました。夏に聴きたくなる名曲です。

女性の想いを乗せた夏うた。ZARD「揺れる想い」