私は昔から父に肉体的・また精神的な暴力を受けた為か、男性恐怖症っぽい所があった。
小学校・中学校くらいの頃は、男の子が怖くてろくに話もできなかった。
その反面、「近づきたい」と思う気持ちも強く、あった。
その二つの矛盾した思いを解決するために私が知らず知らずのうちに身につけた策が、「男性に媚びること」であった。
媚びるなんて言うととてもズルイ女・悪女的女をイメージさせてしまうかも知れないが、そういう感じではなく…何と言うか。
「男性には好かれておけば、まず私に被害を加えないし、むしろ守ってくれるハズ」
という…なんとも弱い私の心が編み出したワザだった。
しかしそのためには条件がいる。
それは、私に対する絶対的な愛だ。
私がどんな私でも、どこまでも包み込みそのすべてを愛してくれる人。
それが私の選ぶ人の条件であり、私が愛する人は皆「私を愛してくれるひと」だった。
つまり、相手が自分に興味がないとわかったら、もう何の興味も持てなくなるのだ。
その前はどんなに「この人が好きだ」とおもっていても。
「愛してくれるから、愛する」
それが私の恋愛の定義ともいうべきものであった。
あの人は。
今私の胸の中に強く存在しているあの人は。
生まれてはじめて、自分から選び取ったひとなのだ。
彼が私を拒絶し背を向けても、「友達でいたい」と言われても……
私の思いは変わらず、あの人に向けられ続けている。
彼は、一体何者なのだろう?
なぜ、ここまで私の心の中の深淵に突き落とした哀れなもう一人の私に、手を差し伸べてくるのだろう?
誰もできなかったこと、そして誰もできないと私も思っていたことを、なぜ彼は。
なぜ彼は、いとも簡単に…。
私の痛みにそっと、触れてくるのだろう。
彼に出会えて、私、こんなに幸せなら…
大好きな英文学の勉強を諦めざるを得なかったことも。
家庭内がいろいろな意味で崩壊寸前という現実も。
心を蝕む苦しい病も。
何もかも、なんとも思わない。
ちっぽけなこと。
悩むことなんてない。
顔をあげて、私の生きる道を、ひた走るのみ。
幸福って、生きていることそれ自体が、つまり、私がこの世に存在すること自体が幸せなんだと感じられる…そう、本物の幸福って、それなんじゃないかと思う。
お金があることでも、社会的地位があることでも、願いが何でもかなうことでも…ないのではないかと。
苦難は糧になる。
私の人生の真価は、デカイ苦難が来ることによって、そしてそれを乗り越えていくことによって、本当の輝きを放つのだ。
苦しみのない人生に、真の輝きはないのだ。
乗り越えていくために…。
もう少しだけ、力をくれますか?
愛しいあなたへ。