「明日は入社式や、お前ら恥かかんように気合い入れて歌えよ!」

研修がスタートしてから4時間が経過していただろうか。ようやく初日が終わった。時計の針は19時を回っていた。皆、疲労困憊という感じで、研修前のニヤケ顔は何処かに消えていた。

各部屋にチェックインしようと総研の中庭に降りると信じられない光景が広がっていた。

そこでは私達と同じような新入社員らしき男女数百名が、夕食を終えてコーヒーを飲みながら緊張感もなく余裕の表情を浮かべタバコを燻らせながら談笑していた。

「アイツら何者?」と同期の人間に声をかけた。
「アイツら総合職で入った連中やで。」


この時初めて日本生命の新入社員は自分たちだけではないことに気付かされた。

総合職コースと営業管理職コースがあることを私は知らされていなかったのだ。

総研に到着した時に、私のネームプレートがなかった訳をこの時ようやく理解することができた。


後に総合職と私達営業管理職候補との待遇、昇進スピードも歴然とした差、というよりも「差別」が存在することを嫌というほど思い知ることになる。


これは事実、私の先輩が本部の総合職から言われた屈辱の言葉である。

「ニッセイの世界では総合職は白人、営業職員は黒人、お前ら営業管理職候補は黄色人種なんだよ。気が付いてないかもしれんが、お前らが付けてるバッチ、よく見ると総合職のバッチとは少し違いがあるんだよ。ハハハ。だからお前らがどんなに頑張っても総合職の俺達に勝つことは出来ないんだよ。可愛そうだけど。それがニッセイの現実なんだよ。」

最悪の会社だ。

続く。