このテーマで何度文章を書いただろう?政府も、該当自治体も、実行組織も、さすがに、「もう児童生徒の動員はもう諦めます」と言い出すだろうと、希望的な観測をしていました。とどまることを知らない、コロナ感染大爆発と医療崩壊がその理由です。ところが、この計画の実行者の思考様式は私たちの常識とはかけ離れたもののようです。
大会の「無観客」が決まったのがちょうど1週間前の実行4者会議。ただ「学校観戦」は行うという方針でした。流石にそれは理屈が通らないし、当然支持も得られないはずと思うのが、フツーの人たちの思考と感覚でしょう。ところが、4者会議では、実施の判断も地元自治体に丸投げして、「(判断を)急ぐ必要はない。極端に言えば競技開始の前日に決めてもいい」との見解だったそうです(8月11日付「日刊スポーツ」)。すげぇ妄言!
20日には、実行委の専門家会合で「学校観戦」の実施が改めて表明されました。パラリンピックが、無観客開催となりリスクが減った上、子どもが感染して重症化するリスクは「高くない」ので徹底した感染対策を講じた上で実施すべきだそうです。これも、とんでもないたわ言ですね!英語では、こういう人たちのことを、”Loosen screw” と言ったと思います。ネジが(どこのかは言わんときましよう)ゆるんじゃってるんですよ!ちなみに、座長は、川崎市健康安全研究所所長という肩書きの方、感染症の専門家じゃないんじゃないかな。そして、最新の決定、情報は以下の通り。
(学校連携観戦をめぐる現在の状況(8月21日午後10時現在))
競技会場のある埼玉、千葉、東京の3都府県で、合計17万2千人を対象として実施(8月22日付「東京新聞」)する。内訳は東京都が13万8千人、千葉県が3万4千人、埼玉県300人(1校)。当初知事が希望していた静岡県は緊急事態宣言対象地域になったこともあり、実施希望校は無くゼロとなった。保護者が参加を希望しない場合は参加(出席)義務は無いので数はまだ少し動くかもしれない。ただし、学校として参加するとなれば、「同調圧力」は相当に強いものになるだろう。実質的には全員強制参加に等しい。
腹立つ話ばかりですが、極め付けが小池東京都知事のコメントです。以下が概略です。
「小池都知事の発言(8月22日東京新聞による会見報道)」
会見の冒頭、10代以下の感染拡大に触れ、各家庭で毎日、子どもの検温をすることなどの健康観察をし、家族の誰かが体調不良の場合は、子どもの登校を控える事を要請。医療機関を受診して、対策を打つよう万全を期すことを求めた。また、学校に対しては感染対策の取り組み状況の再確認を求めたほか、児童生徒の感染状況に応じて、インターネットを活用した分散登校や時差通学、短縮授業などを行うように依頼した。
一方で、パラリンピックについては「パラリンピアンのパフォーマンス、競技に向けての挑戦を実際みていただくのは極めて教育的価値も高い」と強調。「保護者の皆さま方の意向も踏まえて」と述べながら、参加を希望する自治体などを対象に安全対策を徹底した上で観戦を実施する考えを説明した。記者からは、医療提供体制が非常に厳しい中で大会を開き、学校連携観戦も行うことに都民の理解を得られると認識しているかを問う質問があり、小池知事は「はい。ぜひ理解していただきたいと思います」と答えた。
いかがでしょうか?各家庭や学校には感染予防対策を求めながら、パラリンピック観戦は奨励する。この矛盾に気づいていないのであれば、この人の正気を疑いますが、もちろん分かりきっての発言です。パラリンピックは自己の政治的優位を保つために1ミリも変更するつもりが無いんだな。今後の政局を見越しての対応、子どもの安全や生命よりそちらを優先する。この政治家の冷酷な本質を示していると私は思います。
上に書いた4者会合での「間際に決めればいい」と言われていた安全対策ですが、①チャーターバス(近隣は徒歩)の利用 ②座席の間隔をあける ③マスクの着用等、児童の行動の指導だけだそうです。何じゃそりゃ!というレベル。高校野球の方がよっぽどマシですよ。
さて、ここまでが現在までの経過ですが、ここから先の展開は私には分からないですし、これ以上予想に明け暮れるつもりもありません。来日中のIPC(国際パラリンピック委員会)の会長は「学校連携観戦」に懸念を示しているとか、たった今横浜市長選挙で、与党候補の敗退が確定したとか、様々な事態、展開があるでしょうが、問題の本質は変わらないと思います。この国と我々国民が、最も脆弱で守るべき子どもたち、お年寄り、妊婦の方々を守るために、自分のできることをすること。力は弱くてもそのための努力を行うこと。もちろん、行政の責任が一番大きく権力も実行力も巨大です。彼らにその責任を果たさせるのが私たちの責任でしょう。今、TVで TOKYO MERのドラマ(くさいけど泣けるんだよね)を見ながらこの原稿を書いていたので、つい格好いいことを書いてしまいましたが、先にも書いたようにこの件について論評するのは今回で終わりとします。当面は為政者たちに学校連携観戦中止を要望するメールを送ります。東京都知事、文科省、厚労省、パラリンピック実行委員会、地元選出の国会議員、そんなとこかな。
つまらない結論で申し訳ありません。なんの役にも立たないでしょうが、来週からは仕事も始まるので、そこで自分の責任を果たすために「老骨に鞭打って(笑)」働き、自分の楽しみや家族の幸せのために日々の生活をしていきます。
長々とすみませんでした。
