私の父親は大の女好きの酒飲みだ。
私が物心ついた頃から家にはほとんどいなかった。
一緒に遊んだりどこかに連れていってくれる事はなかった。
母親が家を出てすぐに、おばさんと名乗る人が家にやって来て一緒に暮らす事になった。
私の事を自分の子供のように育ててくれた。
とても厳しい人だったが今では感謝している。
父親は、おばさんが家に来てからも夜出かける事が多かった。
ある日おばさんが、私の事お母さんと呼んでいいと言った。
私は、おばさんのままでいいと言った。
私が大人になってから分かった事だが、おばさんは父親の内縁の妻だった。父親の女癖の悪さから籍は入れなかったのだろう。
父親は相変わらず夜飲みにいっては酔って帰ることが多く、おばさんと喧嘩している声がよく聞こえてきた。
おばさんが、父親の事が好きでは無くなっていくのは子供の私でも分かった。
多分おばさんは、私がまだ幼かったから父親と別れるのを我慢したのだろう。
おばさんには、高校卒業したらはやく家を出て自立しなさいと、何回も言われた。
私は大学に行きたかったが、これ以上苦労かけたくなくて就職する事にした。
家から離れたところに就職したため、何年も家に帰ることはなかった。
やがて父親は定年を迎え、住んでいた家は会社の借家だった為引っ越す事となった。おばさんも私が就職してすぐ父親と別れた為、私の帰る場所はなくなった。