三谷 梨穂 28歳
2年付き合った彼氏がいるけど……
「もういい!大っ嫌い!」
吐き捨てて電話を切る。
イライラしながらカバンに仕舞おうとして
ここが人通りの多い場所だった事に気付いた。
ーしまった…大声出しちゃった……ー
下を向いてそそくさと歩きながら壮太との電話を思い出すとまたイライラしてきた。
なにが「忙しかった」よ!
6時半に待ち合わせって言ったのに!
今日会おうって約束したの先週よ?
朝だってLINEしたのに!
都合が悪くなったんなら先に連絡してくれたら良いじゃん!
何の連絡も無くて何時間待ったと思ってるのよ‼︎
それを「忙しかった」の一言で済ませるんじゃないわよ!
緩めると泣いてしまいそうだったから、目に力を入れたまま再びスマホを取り出した。
LINEの送り先は長年の親友、結菜だ。
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「あーあぁ、お疲れ様」
結菜の家に着いた頃には涙が溢れてしまっていて、いい大人がよくこんな顔で歩いてこれたなぁと自分で思うほどに泣いてしまっていたけど
そんな私を予想していたのか、結菜は玄関にタオルを持って現れた。
リビングに通されて、今度はすぐにホットタオルを渡される。
上着を脱がされ、ソファへ促されるとやっと肩の力が抜けて声を出すことが出来た。
「ふっ……うっ…うぅぅ……も、やだ…あんなやつ……」
ポンポンと頭を優しくたたかれ
「よしよし、ほら冷たいからね」
言葉と一緒に今度は冷たいタオルが渡された。
「明日も仕事でしょ?目が腫れてたらそれだけで気分落ちるしね?泣いてていいけど、ケアもしようね?」
そう言って、結菜は返したタオルをまた温めに行った。
すぐ戻ってきてまた交換。その度に頭を、背中を、優しく撫でてくれる。
結菜は優しい。
その優しさに甘えて
しばらくの間泣いた。