怒りのあまり、テレビの内容がよく分からなかった。
テレビに映ってる人が何を言っているのかも、全く理解できなかった。
彼がお風呂から出てくるまでの間、私は全く他の事を考えられないでいた。

彼がピンサロに行っていた。
その事実のみ。

慌てて出てきたのか、頭から滴をポトポト垂らしながら彼が部屋に入ってきた。

その直後。。
「本当にごめんなさい」と彼が深々と頭を下げた。

謝られても、ねぇ、、

私「もう信じらんない。。絶対うそつかないって約束したでしょ?」
彼「ごめんなさい。もう絶対うそはつきません」
私「でも、信じられないもん。すごい軽蔑する」
彼「。。。もう二度と行きません。許して下さい」
私「いいよ。別に。行きたければいけば?でも別れる」
彼「絶対いやだ!行かないし、うそもつかない。約束する」

男って。。。なんなの?

彼「一生信じてもらえなくても、万が一、今別れることになって別の人と付き合ってもこれからは絶対しない。だって、こんな思いさせるのもこんな風になるのも絶対いやだもん!」

いやだもん!ってこっちがいやだっつーの!

彼「今は信じられなくてもいいから、お願いだから一緒にいて。札幌帰るなんて言わないで!」

男って。。。なんて自分勝手な生き物なんだろう。

でも、あまりに一生懸命なので可愛くて可哀想になってしまった。
私は年下に騙されるタイプなのかな~

私「で、何したの?」
彼「胸をちょっと触った」
私「それから?」
彼「お話してた」
私「はぁ~!?うそつけぃ!!」
彼「ホントにホントだよ!今更うそなんてつかないよ!女の子が脱ごうとしたから断って、話すだけでいいって言ったら『変わってますね(笑)』って言われて、先輩に無理矢理連れて来られたからホントいいですって、、、そしたら私も仕事ですからって、手を持たれて触らせられた。。。それだけ」
私「もったいないね。結局こんなに攻められたんだから、してもらえば良かったのにね。高いお金払って。。。」
彼「先輩が出した。そうゆうの、俺ホントにいやなんだってば。。会ったばかりの知らない女の子にしてもらうのとか、その人の前で脱ぐのとか。。」

じゃあ、最初から先輩に強引に誘われたとしても断れよ!!
まぁ、浮かない顔してたのはそのせいなのね。
でも、最後は「ほぼ、何もしてないからバレてもこんな怒られるなんて正直思ってなかった」って
ホントにバカか!?

その日の夜は、強引にくっついて抱き寄せようとする彼に
「他の女の胸触った手で触らないで!汚らわしい!」
とキツ~イ一発をお見舞いして、彼に背中を向けて体を離して寝ました。
しばらく、後からは「ううぅ。。。」という悲しげな彼のうめき声が聞こえていたけど、
お仕置きとしてね。ちゃんとしとかないと。
結局は、寝てから抱き寄せられてしまったけど。。

まぁ、今回は信じてあげるか(笑)



いつものように仕事から帰ってきた私。

彼の母親が作ってくれた夕食を食べ、

世間話(ほとんど彼の母親のテニス仲間の話だが。。)をして2階の彼と私の部屋へあがる。

テレビを見てウトウトしていると、

いつもより早く彼のバイクのブルル。。という音が聞こえてきた。
これが彼の帰ってきた合図。

少し早い帰宅に嬉しい私はニコニコして彼を出迎えた。

浮かない顔の彼が
「前話した最近出てこなくなった後輩のとこに今から話に行く」
という。

嬉しい私は一転して寂しくなってしまった。

「ごめんね。話すだけだから早めに帰ってくるよ」
と彼はまた、今度は家の車で出掛けて行ってしまった。

少し遅く帰ってきた彼はますます浮かない顔になっていた。

「ごめん。遅くなった。ファミレスにずっといて話が長くなった」
と言った。

シャワーに入りにいった彼の後を追い、洗面所で歯を磨こうとした私は、

彼の脱いだ洋服の脇にピンクの小さなカードを見つけてしまった。。。

なんだこれ?

手にとって見てみると。。そこには今日の日付と女の子の字で
『このまえはいっぱい触ってくれて嬉しかったです。またきてね』
という文章が書いてあった。

状況が解らない私はお風呂場の戸を思いっきり開けた。

素っ裸でビックリモジモジする彼。

「これなに?」
とピンクのカードを突きつけた。

彼「あ~なんだ、それ?それは結婚してる先輩が持って帰るとやばいから俺に捨てといてって。。」
私「○(彼の名前)が持ってたら私に見つかってもっとやばいでしょ?」
彼「どっかにすぐ捨てればいいと思って。。忘れてた(笑)」
私「カードに今日の日付書いてるけど。。」
彼「え!?」(顔色豹変!目が泳ぎ出す)
私「今日!行ったんでしょ!」
彼「。。。。。行きました」(案外素直に認めたな~)
彼「デモデモ(;´Д`)。。ホントに違うんだよ!あぁ!やばいもん見つかっちまった。。」
お風呂の湯気の中、素っ裸で頭を抱える彼。

一体何が!どう!違うのか!!

バタン!!

怒りで手が勝手にお風呂場のドアを思いっきり閉めた。
何がどう違っても、サラッと私にウソをつこうとしていた根性が気にくわない!

私はこいつの為に家族と友達と離れ
遙々札幌から出てきて彼の両親と同居までしてるというのに
この仕打ちはいったい。。

やっぱり、年下はだめか。。

今まで信じすぎていた分、一気に怒りが体中駆けめぐり頭が熱~くなるのを感じた。

この後、部屋で修羅場を迎えたのは言うまでもない。
11月っ!!

パニック障害になったのをいい事に日記をサボりすぎてしまい

気づいたらもう木の葉が舞う季節。。。

10月の私は一体。。日記をこまめに書く誓いを立てていたのに(;´Д`)


日記を続けるって大変なことなんですね。


彼の実家で両親と一緒に過ごした1年と2カ月の日々。。

そんな生活から抜け出すときがやっと来た!!

いよいよ、彼との二人暮らしがスタートする。

そんなかんなで10月の私は病院、物件周りと忙しかった。

やっと物件も決まり、引越の日程も決まった。


そんな今だからこそ彼の両親とあちこち行った思い出が蘇る。。

春はガーデニングフェアを夏には花火やひまわり畑を

秋には紅葉見物や釣り、登山をしにと

彼はいなかったが両親と3人楽しくあちこちに行った。。

そんな彼の両親と離れると思うと、ものすごく寂しい気がする。


最初は私的に絶対反対!!だった彼の両親との同居。

結婚もしていないのにって自分の親や友達からも反対された。

でも、彼の熱い説得と

私ならうまくいくんじゃないか?そんなに悪くないんじゃない?

なんて、半ばみんなに反抗するように札幌から一人出てきた私。

そんな私をまるで、今までも一緒に過ごしていたかのように

自然にとけ込ませてくれた両親に、今とても感謝しています。

この日々は思い出になっていくのかな。。
彼の東京の実家に私が住んで1年経った。

正確に言うと、1年と5日。

来てすぐのバイク事故以来は、ほとんど大きなトラブルも無く(パニック障害にはなったけど…)

彼の実家で両親と住めているのは自分にとって奇跡に近い。

最近は彼なしで両親と旅行にも行くし、釣りにも行くし、夏の花火も3人で見に行った。

色々な話もするし、彼より彼の両親のスケジュールを私の方が分かってるくらい。

「干渉し合わない」という事が大前提のような私と彼の母親の関係も別にうまくいっていた。

「その日にご飯がいるかいらないかさえ教えてくれれば何をしててもいい」

「たまに家にいたらご飯一緒に作ったり、家事を手伝ってくれたら助かる」

と彼の母親は最初に一緒に住む時に言っていた。

彼は一人っ子でつまり彼の母親は女の子を育てた事がない。

女の子の親は家事だの礼儀だのうるさい。

けど男の子の親は結構、放任主義みたいなとこがある。

基本的に20代の男の子が家で何か手伝ってる話を聞かない私としては

もしかして、重宝がられちゃうんじゃない!?

みたいのがあった。

そして実際一緒に住み、私がちょっと何か手伝うと

「男の子はしてくれないからね~」なんて嬉しがられちゃって

いい気になってた気もする。

実家にいるより楽でいいやって思ってた。


ところが問題はやっぱり起きてしまった。

最初は頑張って土日に家にいる時はなるべく手伝うようにしていたが

最近は「ちょっとでもいい」みたいなのがあって、たまにしか手伝っていなかった。

仕事が忙しかったせいもあったけど、それは言い訳なのでしょうか?

彼も「両親と気があってくれてホントに嬉しい。最近は俺より俺の親に詳しいもんね」

なんて言って目を細めてたけど、

なんだかんだやっぱり最近、私の甘えは度を超えてたのかな?

昨日彼の口から「母さんがあの子はホントいい子なんだけど、家庭的じゃないのがちょっとね」

みたいな話があった事を告げられてしまった。


『家庭的じゃないのがちょっとね』ってさ

家庭的じゃないから、結婚はまだちょっとねって事でしょうか?

家庭的じゃないから、彼の嫁には不合格?

それとも家庭的じゃない事くらいしか気にならない?

どういう意味なのでしょうか?

確かに私は料理ができない。

家事も好きじゃない。

でもそんなの始めから言ってましたよ。

しかも私は一人暮らし歴が長いから

イヤでもやってましたよ。

彼の両親(特に母親)とはなるべくうまく行くように、

出来ない料理もやるように

したくない掃除もなるべくするように努力してきたつもりな分

私のショックは大きかった。

毎日のように和気あいあいとしゃべっていたけど、やっぱりそう思われていたのかと。

1年経って、やはりより相手の事が分かりだすと

確かに色々な問題も起きるものだ。

私だって決して一つも不満が無い訳ではない。

でも、彼に言うほどの事じゃなく我慢できていた。

それがかえって、彼に言うほどだった彼の母親の事を考えると悲しくなった。


なんとなく世の嫁姑の仲が結婚もしていない私に分かり始めてきた気がする。

姑は最初はお嫁さんが色々手伝ってくれて、手伝ってくれる事自体に感謝するが

だんだん慣れてくると、当たり前になり、より上を上を求めてくる。

(付き合っている恋人同士と同じなのかな?)

最初は手伝っただけで、あんなに喜んでくれたのに。

うちの親とは大違いって思っていたけど、

結局女の子を持ってる親の方が女の子の実態を知っているので

本当は楽な事に今更気づいてしまった。

男の子の親は、ちょっと料理を手伝うと

「そうよね、女の子だから出来てあたりまえ」

ってなっちゃうし、それよりも手に負えないのが

お嫁さんに対して理想を求めている事に気づかない事。

例えば料理は出来て家事も完璧。きれい好きで、いつも可愛らしく。

両親にも従順で旦那の事もきちんとバックアップする嫁。

みたいのが普通にゴロゴロいると思ってる?

いねーよそんな完璧人間!!

女の子の現実はそんなもんじゃない!

家事できない、きたない、ルーズざらにいます!

私はきっとそんな女の子としての完璧を求められているようでならない。

この壁を乗り越えていけるのだろうか!?

でも結局は自分の甘えが招いてしまった結果なのでここは。。。

ちょっと頑張ってプラスを稼ごう!

いや、待てよ。。。

頑張ったらやっぱり、上を求められてしまう。

私はこれぐらいしか出来ない人間ですって開き直った方が本当の自分なんだからいいのでは?

そうすると、私の息子とは結婚させられない!に今更なるのだろうか?

というか、彼の母親に聞きたい。

あなたの息子は私の親には合格ですか?と

人間、向き不向きがあって当然な訳で、女の子の価値は家事だけではない訳で、

完璧な人間はあなたを含めてほとんどこの世にいない訳で。。。


祝 1年!なのに初めて彼の両親の事で悩み始めてしまった私なのでした。

これからどうなんのー!!
札幌に帰省して3日目…

朝から昨日起きたドキドキが気になっていた。

でも、その日のお昼は友達と髪を切りに行く予定だったので

午前中から家を出た。

朝から少し息苦しかった。

髪を切り終わり、その友達と別れた後、

何となくまた私に不安がのしかかってきた。

一人になって色々考えちゃうとダメなのかな…

なんて思った。

前の会社の友人との飲み会があったので、そのままそこへ向かう事にする。

みんながいるから大丈夫。

そんな事を思う時点でもうダメだったのかもしれない。

エレベーターで13階…

突然エレベーターが恐くなった。。。

初めてのこんな気持ちで戸惑ったが、

みんなが待っていると思うと乗らなくてはならなかった。

早く、早く着いてほしい…

エレベーターに乗っている間、だんだんドキドキが大きくなり始め、

とうとう冷や汗が出て、手が震えてきた。

店に着き「予約の××です」という声もかなり震えていたと思う。

案内される間の記憶は『それどころ』じゃないのでほぼ無く、

案内された席は窓から夜景がよく見える、普通なら“絶景の席”だった。

高所恐怖症ではないのに、高い所にいる、恐い、『ここで倒れたら助からない』

そんな風に考えてしまったのだ。

久々の友達に会い笑顔で挨拶したものの、店内が暑いのか寒いのかさえ分からない。

「久しぶり~!」「ちょっと!彼の実家での生活はどうなのさ!」

なんて気心の知れた友達の笑顔がそこで待っててくれたって言うのに

私は『それどころ』ではなく、

「ちょっと気分が悪くて」っていうのが精一杯だった。

胸のドキドキはどんどん大きくなり、手の震えは最高潮に達していた。

息苦しく、大きく吸わないと息が出来なくなった。

しまいには耳がキーンとなって、みんなの声が遠くから聞こえてくるようだった。。。

かなりヤバい。。。自分でそれが分かる。

「大丈夫?」「横になってな」「顔色すごく悪いよ」

と心配してくれる友人たち。

でも、後少しここにいて我慢していたら気が狂いそうだった。

食事にも飲み物にも手をつけられずに、みんなの話も聞いていられないほど

私は切羽詰まっていた。

「ちょっとトイレ…」と言って席を立ち、心配する友達に手で大丈夫と挨拶して席を立つ。

トイレに行っても収まらず、その狭い空間がますます恐怖心を増長させた。

このままここでパニックになり運ばれるより、帰った方がいい。

半年ぶりにあったみんななのに、会ってすぐ帰るのは本当に気が引けた、が

やっぱり今は『それどころ』ではなかった。

トイレから戻り早々にみんなに訳を話し、帰る事にした。

「本当にごめん」を連呼して泣きたい気分で店を出た。

帰りのエレベーターで足が震え立っていられなくなった。

下まで着いてきてくれた友達にタクシーに乗せてもらい

「また、いつでも会えるから」

って涙が出そうな言葉をもらって一人家に向かった。

「ふぅ~」一安心。。。

タクシーに乗って大丈夫と思いきや、ドキドキは全然収まらず

タクシーの中でパニックになったらどうしよう!

と次から次ぎへ不安が襲いかかる。

人生で初めて、本当にもう生きていけないかもしれないと思った。

大丈夫、大丈夫と頭の中で自分を励まし

窓を開け顔に外気を当てて、何とか家までたどり着く。

お勘定の間の運転手さんの手際の悪さ一つにもパニック寸前だった。

「早く、早くして、早く出してくれー!!!!」

家にはタクシーに乗ってすぐメールをしていたので

心配した両親が起きて待っててくれた。

両親に相談すると、両親は『家庭の医学』という本でいろいろ調べていたが

多分私には「パニック障害」ではないか?という予感があった。

前に友人からちらっと聞いた事があったからだ。

「心臓とかではなく心の病気だと思う」と両親に素直に説明して

次の日、心療内科という心を見てくれる病院に行く事にした。

病院に行くと言う事が決まって少しは楽になったものの

寝る前のお風呂も歯磨きも『それどころ』じゃないので出来なかった。

布団に横になって早く不安と恐怖から解放されたかった。

しかし、息苦しさと不安と恐怖でその夜は一睡もできなかった。

次々襲ってくる不安と恐怖、、、打ちのめされた方が楽になるかとも思った。

でも、パニックで自分がどういう風になるのか想像もつかなかった。

ここには家族がいる。

パニックになってはダメだ!こんなことで負けるもんか!と思い直した。

「大丈夫」と「実家という一番安心できる空間にいる」と「明日病院で診てもらえる」

というのを一晩中代わる代わる思いながら(少しでも忘れるとパニックになりそうだから)

なんとかパニックにならないように一生懸命頑張って布団で過ごした。

朝が来るのが本当に本当に長い夜だった。。。
このブログを長い間書けなかったのには理由がある。

先月のお盆に私は久々に実家のある北海道に帰省した。

彼と少しでも一緒にいたくて東京に出てきて働き始めた私。

しかし彼の母親の意向で彼の実家に住む事になり

しかも肝心の彼は休みがなく仕事で夜も遅かった。

友達が東京にいるわけではなかったので、もっぱら彼の両親と遊びに出かけていた私。

もちろん今年の花火大会も彼抜きで彼の両親と見にいった。。。

そんな私が実家も友達もいる北海道に帰れる!!

嬉しくて小躍りしながら連日連夜遊ぶ予定を立てた。

初日から夜遅くまで友達と遊びまくり

2日目も朝から出かけていた。

その夜。。。

居酒屋で女友達と2人、なんだかんだ話していたとたん突然の胸のドキドキが私を襲った。

なんか変だぞ!

心配すればするほどドキドキはどんどん早くなっていった。

店には人がいっぱいいてカウンターの狭い席に座っていた私。

その狭さにも恐怖が生まれた。

やぱい!やばい!

息も出来なくなり次第に気が遠くなり始めた。

どうにかなっちゃうんじゃないか!とものすごい不安に襲われ手も震えてきた。

話なんかうわの空で突然、

「ちょっと空気すってくるわ!」と店を飛び出した。

ふぅ~と外で深呼吸する。

すると少し落ち着きドキドキが収まってきた

「さっきのは何だったんだろう。。またなったらイヤだな」

と思いながら少しして店へ戻った。

幸い店は一階で道路に面していたので、

「またなったらすぐ外に出れば直るだろう」

と思いもどると友達が

「かなり顔色悪いけど大丈夫?」といってきた。

その言葉でさらに不安になる私。

どうかしちゃったのかな?

東京でほとんど知り合いもいなく友達と遊び歩くなんて久々だった私。

過密スケジュールのせいで少し疲れたのかな、なんて思いながら

幸い最後のオーダーも出た後だったので店をでることにした。

でもさすがに怖くて、その後また飲みに行く事ができなくなっていた。

友達にあやまり、少し早めに札幌での2日目を切り上げて家に帰ったのでした。


彼が家に帰ってきて、まず問題になったのは“お風呂”だった。

片手が完全にギブスの為、体を洗うのがかなり大変だということで

誰が一緒に入って彼の体を洗ってあげるか家族会議になった。

……もちろん、彼女である私でしょ?って感じだったけど、なかなか言い出せず、、、

彼の母「母さんが洗ってあげるか?」

(私の心の声)はぁ~(゚Д゚)?

彼「……」

彼の母「じゃあ、お父さんに頼む?」

(私の心の声)はぁ~(゚Д゚)?

彼「……」

彼の父「じゃあ一体どうしたいんだよぉ~?」

彼の母「一人で洗えるの?」

(私の心の声)無理だろ(゚Д゚)

彼「いや、無理だと思う…」

(私の心の声)だよねぇ~(゚Д゚)

彼の母「じゃあ、どうするの!?」

(私の心の声)はぁ~(゚Д゚)?

私には決して話を振らない両親……

な~ぜ~?

その話の和の中でただ一人無言の私。

おかしいだろ?

怒りでフツフツと肩が震えた。

普通、彼女である私だろー!!馬鹿かお前らー!!

しかし「私が洗います」と言おうとするたびに、空想のソープ嬢が頭の中でチラチラする。

きっと両親も私が言うとチラチラするんじゃないか?と思うとますます言い出せない小心な私。

彼も私に洗ってほしいとは両親の前でなかなか言い出せないのか、

無意味に長~く話し合いは続く…

あまりに同じ押し問答の繰り返しなので、

しばらく「私が洗います」の後の両親が想像するであろう場面を私が想像してみた。

裸になりはずかしそうな彼、石鹸を泡立て彼の体の隅々をいやらしくなでるように洗っていく私。

耳の後の首筋から両肩、右腕、左腕、脇、そして胸から下半身の方へと少しずつ手を滑らせていく…

…とそこで、彼のお母さんの「じゃあ彼女に洗ってもらう!?」の一言で現実に引き戻された。

私がした想像を彼の両親がするのではと思うと顔が真っ赤になってしまい、ついつい

「いや、そんな事は…」と口走ってしまった。

彼の母「え?彼女、イヤなの!?(彼に)どうする?」

(私の心の声)あぅぅ…(´Д⊂

彼「そうする…」

(私の心の声)あはっ!(・∀・)

蚊の鳴くような声とはこのくらいの小ささかと思うくらい、彼の声は小さかった。

彼の母「何が!?どうするの!?聞こえない!?」

はっきり言って拷問に近い彼の母親。

どうしても大声で彼の口から誰に洗ってほしいのかを聞き出したいらしい。

ふっふっふ…(w

さっき、私って言ったじゃん!!

待ちきれなくなった彼のお母さんが

「じゃあ、彼女に洗ってもらうのね!?」

と大声で言うと、

「そぅするょ!ってさっきも言っ…(モゴモゴ)」

と彼がさっきより少し頑張った声で応えた。

よく言ったー!!!!!(^∀^)

よくやったー!!!!!(^∀^)

zama-miro-!!!!!(・∀・)

と心のなかでガッツポーズを決める私。

はぁ~、でも「母さん」って言わなくて良かった~(´~`;)

万が一、彼が母親に洗ってもらうと言った時点で、私は本気で北海道に帰るつもりだった。

良かった、良かった!

しかし、変な想像をしてしまった為、両親がいるのに彼と二人でお風呂場にいるのが気になってしょうがない…

長いパンツの裾を膝までまくり上げ、トレーナーを脱ぎTシャツになり

彼に悪いと思いながらも「早く脱いでよ!」と乱暴に指示をだし、

恥ずかしそうに裸で立つ彼の頭へおもむろにシャワーを浴びせ、

驚く彼を尻目にものすごい勢いで彼の頭をシャンプーし、

全身をタオルでさっさと洗ってあげてから、すすぎもせずお風呂場を飛び出した。

その間約10分…。

もちろん、そんな状態なので甘~い感じになど一切ならなかった。

慌てて出てきた私に、ちょうどトイレから出てきた彼の母親が一言、

「もう洗ったの!?早かったね~!」

ガーン( ̄□ ̄;)!!えぇ!?もっとゆっくりでも良かったの~?

トホホ…

やましい気持ちから、行動が早すぎてしまったらしい。

怪しまれないなら、もっと丁寧にゆっくり洗ってあげれば良かった…ごめんね。

しばらくしてゲッソリした彼が部屋に戻ってきた。

「全身が少しヒリヒリするぅ…(;_;)」

って、本当にごめんなさい。
彼の退院が近づいてきたある日…

彼からメールで

「医者から手術も終わったし、入院しててもしょうがないって言われた。今日明日には帰れるかも(^-^)」とメールが届いた。

私はあまりの嬉しさに小躍りしながら階段を下りてリビングにいる彼のお母さんに目を輝かせて報告した。

「今日明日にも退院できるみたいですよ!(^∀^)キャ♪」

すると…

「えー!?やだ~!」

と、おばさんはブルドック並のイヤそうな顔をした。

な~ぜ~???

「腕の不自由な病人がウロウロするなんてイヤよ~。じゃまくさいし、誰が面倒みんの?大変じゃ~ん(゚Д゚)」

って、おめ~の子供だよ!!

呆気にとられてたたずむ私の前で、おばさんは息子が家に帰ってくるのがどれほどイヤかを力説する。

一生帰ってきてほしくないくらいの勢いだ。

もしかして、拾ったのか?橋の下で…(゚Д゚)

このままじゃ、

医者が良くても母親のせいで彼が帰って来れないのではないかと、一抹の不安を覚える私。

まぁ、実際帰れるってなったらそんな風には言わないだろうと特に気にもせずお見舞いに向かった。

病室につくと真っ先に彼が母親に

「いても仕方ないって言われたから、ちょ~ヒマだし今日帰る」

といった。すると病室中に響き渡る大声で、

「えー!!やぁだー!!」

と…なぜそこまで?彼女を拒絶に駆り立てるものはいったい!?

しかも、しまいには、

「お願いだから大人しくもう少し入院しててよ!家に連れて帰っても大変なだけだし、後1週間ぐらいいなさいよ。別にお金は保険で下りるし、消毒だっていちいち通院するより入院してた方が何かと便利じゃない!第一、誰が面倒見るの?ねぇ?」

と、おばさんは私にすがるような目を向ける。

私は散々彼に帰って来てほしいと言っているのに、そうですね、面倒ですねと同意するとでも思ったのか?ありえない…

おばさんという人が分からない…

「私が面倒みますよ…。」

というと、途端に信じられないという驚きの表情になり

「何言ってんの!?こんな病人大変だよ!」

と、これまたビックリ発言の連発だ。

どうしたものかと、ボーっとしていると彼が一言

「なんでそこまで帰ってきてほしくないの?」

と確信をつく一言を口にした。私も聞きたかったけど聞けなかった一言だった。

彼の悲しそうな顔を見たおばさんは焦りながら

「いや、そうゆう訳じゃないのよ~。何かと大変だから(;´Д`)ノ分かった!分かったから退院は明日にして!」

まだ言うか…おばさん。

何が分かったのか…おばさん。

私には分からない。

さすがにイライラしたのか彼は、

「分かった。退院は明日にする。今日は外泊届けだして家に帰る。明日病院に来て退院届け出す」

と荷物をまとめて、引き留めるおばさんの言葉を無視し退院届けを取りに行った。

親子二人して何やってんの?

そこ、そんなに言い争うとこじゃないよ。

と思いつつ私はホッとして彼と一緒に帰って来たのでした。

その夜は、東京に来て2回目の一緒の夜。

久々に一緒に寝れたけど、彼の右腕は完全ギブスなので仲良く手を繋いで寝ました( ̄▽ ̄;)トホホ…

料理なんてほとんどしなかった私。

一人暮らしは長かったのになんでここまで出来ないのか自分でも不思議だ。

昔、家庭科の授業で味噌汁を作った時、中学生にしてダシをとったかつお節をお湯から出すことを知らなかった私。私たちの班だけ妙に具だくさんだった…

他の何品かもことごとく失敗した気がする。

言い訳だけど、それから料理が嫌いになったと思う。

そして、今まで料理を覚える気にさえならない日々が続いた。

とりあえず食べれればいい的な食生活だった。

にもかかわらず、そんな私が毎日のように料理をしなければいけない状況に陥った。

事故の通院の為に就職できず、しばらく家にいることになったからだ。

作ったことがあるものなんて数少なく、最近は包丁に触れてもいなかった。

ちょっとはやっときゃ良かったぁ~!!!

実は昔から”将来は料理できる人を逆につかまえればいい”と思っていた。

そして、今の彼は板前なので安心しきっていたのだ。

これは、かなりの大ピンチだ…


彼が入院している間の私の生活は、ものすごくワンパターンだった。

朝(といっても11時くらい)に起きる

おばさんと昼ご飯を作る

12時おばさんと二人で食べる

2時くらいにおばさんと病院(彼のお見舞いと自分の検診)

4時くらいにおばさんとスーパーで買い物

5時くらいに帰っておばさんと夕ご飯を作る

6時半くらいにおじさんも帰ってきて3人で夕食

部屋でゆっくりする

2時くらいに寝る

ほとんど毎日、この繰り返しだった。

私の生活は彼のお母さんを中心に回っているといっても過言ではない…

そして、2回もある…ご飯作りタイム。

毎日、ドキドキしていた。

おばさんに”ちょっとも出来ない、若くないのに””お嫁さんにはしたくない”と思われたくなかった。

頑張らねばっ!!

こんな時のために新品のエプロンを持ってきていた私。

逆にできなさをアピールしてしまったのか!?

「このキャベツ、みじん切りね」

「はい!」

返事は短く元気良く。

切ることなら大丈夫。失望は免れる。と思いきや…

包丁を持つ手は左右にグラグラ動く。

太さはまちまち、たまに全然切れて無くて表面をタンタンしてしまう。

小心者だから見られるかもと思うとキンチョーしちゃうのよね。

汗が噴き出す。

左手の意識はほぼ無い。

…と次の瞬間、かなり厚~くスタンッと入った。

ヒ~!アブね~!!

「危なっかしいね~(゚Д゚)」

「はい(;_;)」

返事は短く元気なく…

ばれるのは時間の問題でした。
東京に出てきて3日目・・

彼と私の交通事故の後、私は彼のいない彼の実家で両親との生活がスタートしたのだった!

その時は帰りたくてしょうがないっていうのが本心。私も一緒に入院すれば良かったとも思った。

だって、何が悲しくてほとんど知らない彼の両親と暮らすのか分からない(しかも、彼抜きで)。

「とりあえず帰ってこい!」という両親・・とりあえずって、

事故った彼をほっぽりだしてとりあえず帰るって言うのは、二度と戻ってこないってことだと思った。

でも、その時の私はかなりへこたれていた。

このまま札幌に逃げ帰れたらどんなに楽だろうなんて思った。

助けを求め、友達のシブちんに電話をすると・・

始めは事故の話ですごく心配してくれたシブちん。

私が帰りたいと泣き言を言った瞬間、豹変した。

「ちょっと!あんたの決意はそんなもんだったの?そんな事でっていったら悪いけど板前捨てて戻ってくんだったら、とっとと捨てて戻ってくれば?え?お?ん?」

ガ~ン!!!( ̄□ ̄;)

へこたれた私に、とどめの一発が入った・・ぺしゃん

でもでも、そうでした・・軽~くビューンと東京に来たけど、それなりの決意があったはず。

忘れてました。

シブちんありがとう。

こうして私は、この試練を耐えてみせると一時は心に固く誓ったのでした。(一時?)