SHOWBOAT~舞台船~ -4ページ目

  SHOWBOAT~舞台船~

   明石智水公式Blog

  役者として舞台を中心に活動している明石智水の仕事の事だったり
  日常の事だったり、考えていることだったり。。。徒然草です(*'‐'*)

8月10日に顔合わせがあって、久し振りの舞台の稽古が始まります。

9月21日〜24日
『ミュージカル ターニングポイント』
銀座博品館劇場






ハート盤ダイヤ版のダブルキャスト構成ですが、私はシングルキャストで出演します。

個性豊かな楽しい出演者ばかりで、稽古前から楽しい作品になる予感しかありません。

先行予約は8月17日まで。
一般予約は8月18日からとなります。

今回は、私のプロデュースNaughty Blossomから、中村こずえもハート版に出演します。

ご予約はこちらから。

ハート版ご観劇の方は「中村こずえ」、ダイヤ版ご観劇の方は「明石智水」を選んでご予約下さいませ。


この作品は、一昨年出演予定でコロナのため延期となった『ダンスレボリューション』の姉妹作のような作品で、私の役柄は変わってしまいましたが、延期となったダンレボで私の娘役だった子とも顔合わせで嬉しい再会!
顔合わせ後

「ママだと思ってたらママじゃなかった…」

と言われてしまいましたが(笑)、延期後のダンレボ時期は別舞台でアラフィフなのにアイドルやっていたので💦今回再会できて嬉しい限り。

本当に素敵で愉快な出演者ばかりで、これから稽古も楽しみです。

色々と暗いことも多いこのご時世ですが、楽しいひと時を過ごしにぜひ劇場にお越しくださいませ。


バーベンハイマーのミームとバービー公式の反応に関して問題になっていますが、私が個人的にこの件を受けて思ったことは

「戦勝国の方が、国による戦時中の洗脳から脱するのが難しい」

ということです。

歴史が好きだったり、戦前戦中のことを調べたことのある人には分かると思いますが、戦時中はどの国においても例外なく、情報統制が行われます。
アメリカの情報統制は、日本のそれより強力でした。
それは戦後の検閲を見ても分かると思います。
日本人がやる検閲はせいぜいが黒塗りなのに対し、そこにアメリカ人の意思が絡むと、ほんの一言ダメでも発禁という厳しさに変わるのです。

日本では戦時中、「鬼畜米英」といった言葉があったように、連合国の人達は日本人とは違うことを教えこみました。
同じ様に、アメリカでも「日本人は我々とは違い野蛮な生き物だから、殺してもかまわない」と教育していたことを、東京大空襲に参加したパイロットが語っている映像を見たことがあります。
彼はこうも語っていました
「戦後しばらくしてから家族と日本に旅行に行った。東京の街には我々とちっとも変わらない普通の人達が生活していた。この時私は初めて、自分は普通の人達を殺してしまったのだと気付いた」
彼は語りながら泣いていましたが、逆に言えば、日本に来ることがなければ洗脳されたままだったということです。

「原爆は戦争を終わらせるために必要で、多くの人の命を救った」
というアメリカ人の原爆観も、当時のアメリカ政府の洗脳が続いている例だと言えます。
敗戦国は、外からも内側からもこの洗脳を崩されるので、正気に戻るのが早いと言えますが、戦勝国はそれを崩すことで勝利に水を指すことになってしまうので、本来国内向けアピールのはずだった嘘でさえ、撤回することが難しくなるんでしょうね。

民衆というのはバカなもので、この国内向けアピールを国外に向けてまで発信します。
そして、今その欺瞞に満ちた原爆の正当化を利用しようとしているのがロシアです。

そりゃそうですよね。
「戦争を終わらせるためには核兵器が有効であり、その為の核兵器利用は正義だ」
と、洗脳の解けないアメリカ人は言い続けているわけですから。
アメリカは良くてロシアはダメなんてダブルスタンダードも良い所。
元々が嘘なので、それを守ろうとすればするほど矛盾が生じてきます。

私は、アメリカの原爆投下には2つの大きな理由があったと考えています。
1つは、実験であり、もう1つはソ連牽制です。
本当に戦争を早く終わらせようと思っていたなら、ソ連に「日本からの仲介依頼を受けろ」と言うべきだった。
その方が早く、平和的に終戦したと思います。
でも、アメリカがしたことは、ソ連と密約を結ぶことによる日本の終戦工作の妨害であり、日本国内の潰すべき軍事施設を無視した一般市民への攻撃であり、密約を結んだソ連にも秘密にしていた最新兵器の、牽制目的での披露です。
現地の捕虜収容所にいた自国民、自国のために戦った人々の命をも犠牲にして。
自軍の兵士の殺し方としては、特攻で殺すよりよっぽど酷い作戦だと思います。
母国のために戦って、敵軍に捉えられ、敵国に収容されて日本の終戦工作で終戦に向かっていたら生きて母国に帰れたはずなのに、母国がそれを妨害して核兵器落としてくるんですよ。不憫にもほどがあります。

日本人のこの件への批判に対する、アメリカ人の
「日本も虐殺をしてきた」
は全く持って頭の悪い反論だと思います。
何故なら、日本人が怒っているのは過去のことと言うよりも、過去のことに対する今現在の態度だからです。

日本人はこれまでこんなに感情的になって「原爆投下について謝罪しろ!」なんて言ってきたこと無いんですよ。
私個人の考えになりますが、何故アメリカによる原爆投下を虐殺だと認識しているのに、今現在のアメリカに謝罪を求めないのかと言うと、これもまた大きな理由は2つで、1つは今現在のアメリカ人がやったことではないと知っているから。もう1つは、憎しみの連鎖より「和をもって尊しとなす」の精神の方が日本人には馴染み深いということがあると思います。
では、何故今回こんなに日本人が怒ったのかというと、今現在のアメリカ人が過去の虐殺を揶揄し、それに大企業が好意的に応えた、と感じられるような事が起こったせいだと思っています。

「原爆は酷い行いだったけど、今のアメリカ人がやったわけじゃないから今のアメリカ人を責めるのは違う。それよりも友好的な関係を築いて行こう」
と思っていたら、今のアメリカ人が
「原爆ウェ〜イ!」
とはじめ、それに対してハリウッドの大手が
「ウェ〜イ!」
と便乗したという感じ。

なので、アメリカ人の「日本も〜」的反論には

では、今現在、日本人や日本企業が過去の悪行を揶揄するように盛り上がっている証拠を示しなさい。

という話です。

脛に傷持たない先進国なんて存在しません。
その傷を、勲章として高々と掲げて盛り上がる、なんてバカげたことをしてるのかどうかって話です。

そもそも日本の悪行とされるものを反論として挙げてる時点で、原爆が悪行であることは認めてるわけです。
悪行だと認めた上で揶揄してると言ってるようなもので、更に悪質ですし、それで反論になると考えている事自体呆れるほかありません。
どちらの方が過去の行為が悪かったかなんてのは話のポイントではなく、それを今現在揶揄することが良い事であると考えるのかどうかって話だと思うんですよね。

バービーは中国寄りと判断されてベトナムでは上映が取り止められましたが、本場ワーナーの態度的には日本も上演中止を考慮しても良いような案件だと思います。

そもそも個人的には、バービーの実写なんて魅力を全く感じないので、端から観る気にはならない映画なのですが。

むしろオッペンハイマーの方が、どこまで描いたのかという面で気になります。
どうやらネット記事などを読むと、事後原爆に批判的な立場になったことが問題視されて、スパイの濡れ衣着せられて公職追放、というところまでは描かれていないらしいのですが…
オッペンハイマーの原爆投下後を考えると、問題になったバービー公式の対応は、公職を追われたオッペンハイマーを嘲笑うかのようにも感じられます。

何がBarbenheimerなのやら……( ´Д`)=3



今回は、英国の舞台系専門学校、オーディションを受ける必要のある学校の、受験に関する少し踏み込んだお話です。
※経験ベースなので、絶対値ではありません。


先ずは学校選び。
これは初めの記事にも書きましたが、自分の希望と自分のカラーに合うかで選ぶのが良いと思います。
日本の受験で言うところの他校との併願ですが、私はした方が良いと思います。
私がオーディション準備していた頃のレッスン仲間にもしていた人は少なくなかったです。

各学校で誰が教えているかについては、最新の情報を学校のウェブサイトで確認した方が良いです。
というのも、私は第1志望がGSAで第2志望がLSCだったんですが、GSAを志望していた理由が、演劇の先生だったんです。
でも、私の持ってた情報が古くて、その先生は私が受験する何年か前にGSAの先生は辞めてLSCで教えていたんです。
私にしてみれば結果オーライなことにはなりましたが、まかり間違ってGSAに受かっていたらLSCは受けていなかったので、「なんでやねん!」となっていたところでした。

併願を勧める一番の理由は、万が一志望校に落ちた時に1年現地で翌年のために準備するとした場合に、第2第3志望に受かっていればその学校で訓練して、翌年2年生からの編入を希望してオーディションを受けられるのに対し、浪人だとまた1年生からの受験になるということです。
もちろん、2年からの編入が叶わず1年からやり直しになる可能性は、第2第3に進んだ場合にもありますが、浪人よりは編入可能性が高くなります。
それに、1年学校にいれば必ず試験を一度は経験してから翌年入学に向けてのオーディションに挑むことになると思いますし、揉まれる環境の分かなり要領が掴めてきていて、自分の持ち味も見えやすくなっていると思います。

日本と同じで、併願されやすい学校というのは、定員よりも少し多めに合格者を出します。
LSCも併願されやすい学校だったので、面接で併願の有無と受かった場合について聞かれました。
私は既に第一志望に落ちてたので、併願はなし(つまり合格したら必ず入る)と答えましたが、第一志望の受験が残っていた場合、併願があることを素直に言っても落ちるとか言うことは無いと思います。
先に書いたレッスン仲間で同じ日に受験したPaulは素直に伝えて受かっていました。
自分が高校受験でやらかした「第一志望受かると思うんで、ここには来るつもりありません」とか言っちゃわない限りは大丈夫かと。
第一志望とそれ以外のオーディション、どちらを先に受けるかは、願書を出すタイミングである程度コントロール出来ます。
年間を通してオーディションしている学校がそこそこあるので、現地オーディションである限り、願書を全て同時期に出す必要もありません。
同時期に出して勝負に行っても良いですし、早目に1校受けてみてその感触で作戦を練り直すことも出来ます。

オーディションの内容の話としては、演技で求められるモノローグですが、これは日本語では独白と言って、1人セリフとか長台詞のことです。
日本ではモノローグの本が本当に無いのですが、英国ではどの本屋に行ってもたくさんあります。
沢山あり過ぎて迷うかもというくらいに。
クラシック、モダン、男性、女性というようにカテゴライズされているので、探しやすいです。
こればっかりは海外から取寄せるしかありません。

ここで、受験でのモノローグの選び方ですが、基本は「自分の持ち味を出せる」物を選ぶのがベストです。
これから勉強するつもりの若者は選ぶべきではないモノローグというものも存在しています。
例えば女性なら「マダムマクベス」
これは、実際にGSAのオーディションでやった子がいましたが、完全に「やっちまったなあ」という空気になってしまいました。
「マダムマクベス」のモノローグというのは、たしかにドラマチックで実力を示せそうですが、先ずは若い人がやる課題じゃないんです。
というか、これをしっかり見せられるならもうプロですよね。しかもそれなりに経験を積んだ実力派の。
そういうのは選んじゃダメです。

有名過ぎる物も、他の人とダブる可能性がありますし、審査する先生も有名な物ほどプロのものも学生のものも相当数見ているはずなので、審査する目が厳しくなります。
古典であっても、極端なテーマのセリフではなく今現在の自分が身近に共感出来るような物が良いです。
この課題選びでコケるとかなり厳しいことになるので、何を選ぶかは他人にも相談した方が良いです。
自分が思い込んでいる自分のイメージと、外から見えている自分のイメージが乖離していることもあるからです。
日本人だからと東洋人の役から選ぶというのもしなくていいし、幅が狭くなるのでしない方が良い。

課題を選んだら、どう演じるか。
ただ台詞を読むだけではなく、演じることが求められるので、自己演出力も必要です。
こういうのこそ、個人指導やコミュニティーカレッジ等で、人に見てもらって準備した方が良いです。
モノローグは学校に入ってからも定期試験で求められますし、プロのオーディションでも求められます。
人に見てもらえる環境の場合、複数用意して、どれが自分にあっているか見てもらってから、合っている方の内容を詰めていくというのも1つの方法です。
作品によっては特殊な訛が必要なものもありますが、それは外国人にはハードルが高いので避けた方が良いかも知れません。
これを日本で準備するのは大変です。
何故日本でモノローグを集めた本がないのかと言うと、日本のオーディションや演劇訓練過程で使われることが無いからです。
これは、指導できる人が日本には少ないということを意味します。

ガラスの仮面という漫画がありますが、この漫画で主人公のマヤが「二人の王女」という舞台のオーディションを受ける話があります。
そのオーディションで「毒」というタイトルの1ページ分くらいのセリフが課題で出るのですが、マヤ以外の候補者達の「それらしく感情を込めて台詞を読む」のが日本で良くやられているやつで、1つの作品としてしっかり芝居にしているマヤのやり方が、モノローグに求められる方向性となります。
マヤがやったのは、1つの作品の中のモノローグではなく、モノローグとして書かれた独立したセリフを自分の解釈で、一つの芝居として演出して演じるというタイプのものです。
昔の漫画なので読んでない方は分からないかも。。。すみません。。。
マヤは細かくパントマイムを入れていましたが、そこまでする必要はありません。しかし、その場面で同じ場に誰か他の人がいることが分かるモノローグであれば、対象が見えるような演技は必要ですし、誰かに話しているモノローグなら、相手役が見える演技にするのか、客(審査員)を相手を見立てるのかなどの判断も必要。
客席に対して語りかける形のモノローグなら、その場に留まって目線や体の向きを変える程度の動きにおさめるのか、自分自身が移動するのか、移動するならどこで動くのか、立っているのか、座っているのか等、考えることが沢山あります。
演劇経験の少ない人が1人だけで準備するにはハードルがかなり高いと言えます。
経験者に見てもらい意見をもらえる環境で準備した方が絶対に良いです。
オーディションで使える道具はイスくらいなので、沢山道具が必要になるようなモノローグは難しいと思います。


誰かに手伝って貰う場合、誰に手伝ってもらうのかというのも、日本では難しい問題です。
日本だけでやってきた人は審査する側も、指導者もモノローグには殆ど触れて来ていません。
役者でも、芝居の中にモノローグがあったとしても、1つの芝居の中の長台詞位にしか認識していないことも多いと思います。
国内で準備する時には、海外で演劇教育を受けたことのある人や、演劇活動の経験のある人、つまりはモノローグを知っている人のサポートが必要です。

向こうの学校での演技はスタニスラフスキーベースが多いですが、オーディションのためにスタニスラフスキーを学ぶ必要は特には無いと思います。
RADA(王立演劇学校)受験の準備してた子が、Method Studioという、一つ前の記事に書いたアメリカのメソッド演技のスタジオのレッスンを受けてた時にいました。
ガッツリActors Studioに所属していた先生に指導してもらってました。
ちなみにメソッドとスタニスラフスキーの違いは以前書いたような気もしますが、スタートはメソッドもスタニスラフスキーです。
日本には英国より米国で演技を学んだ経験者の方が多いと思います。
アメリカでもモノローグはやるはずなので、アメリカで経験してきた人に習うのも選択肢の一つです。


次は歌。
これも、モノローグと同じく選ぶ時点から気を使う必要があります。
当時絶対に歌ってはいけないと言われていたのは、女性はエビータの「Don't Cry For Me Argentina」とサンセット大通りの「With One Look」、男性はジーザス•クライスト•スーパースターの「Gethemane」です。
この3曲の共通点は、役柄が普通の人ではないということと、歌の内容が普通の人からは掛け離れているということです。
オーディションでは初めて合わせるピアニストのピアノ演奏で歌うことになるので、リズムの変化が難しい曲も避けた方が良いです。
「Gethemane」の「I have to know my god.」の部分でピアノと合わずグチャグチャになってしまった子をGSAのオーディションで見ました。
難しい転調の多い歌も、確実な自信がなければ避けた方が無難。

人気作品の人気曲も歌う人が多く、被りがちです。
日本人のミュージカルを目指してる若い人が歌いがちなレミゼの
「On My Own」や「Empty Chairs At Empty Tables」あたりは、私はオススメしません。
有名過ぎて歌う人が多いということもあるのですが、特に「Empty Chais At Empty Tables」は歌としても難しいですし、かなり高い演技力が求められます。
1年生の時に、2年生のかなり歌の上手い先輩が歌うのを聞いた時にも、「あれ?この人ってこの程度だったっけ?ということは、これは相当難しい歌なんだな」と感じた程です。
仲間と共に立ち上がった戦いで、皆死んで1人だけ生き残った男性のPTSDのような部分が歌詞に散見され、オリジナルでこの歌を歌うマリウス役を演じたマイケル・ボールが、精神を病み舞台から降板した程、精神的に深い表現が求められる歌です。
例えば、戦争に行ってPTSDを負った人の心の中のようなものが、今の自分に歌で表現できるのか?と考えて下さい。
難しいと感じたら候補から外して下さい。

声質、音域、キャラクター、これまでの人生経験などを考慮して、自分自身の心を投影できて良い声を聞かせられるような歌が理想的。
心から歌詞の言葉を自分の言葉のような感覚で発せられる歌を選ぶべきです。

プロのオーディションと違い、全く同じメロディの繰り返しではなく、最後の方に聞かせどころが来るような歌は、基本的に余程のことが無ければ最後まで歌わせてもらえます。
そういう歌を選ぶ時には、その聞かせどころが自分の得意な音域にピッタリハマり(つまり自分の得意なところを存分に出せる)、文字通り聞かせどころに出来る場合に限ります。
ミュージカル系の場合、元キーで歌えない歌は歌うべきではないと思っていた方がいいです。
ミュージカル系に限らず、どうしてもキーを変えて歌うなら歌うキーの楽譜を用意していかないといけません。
楽譜を出して「この曲をこのキーで」というのはダメ。
「歌えないのに何故わざわざこの曲にした?」と思われてしまいます。
最悪の場合、元のキーで歌うことを求められる可能性もあります。

日本人はボーカリストでもこれをやる人がいるのですが、本当にダメです。
既存の歌を歌う時にはオリジナルキーで、どうしてもキーを変える場合は、変えたキーの楽譜を伴奏者用に自分で書けないとダメ。

私はGSAでは「The Sound of  Music」、LSCでは「Tell Me On A Sunday」という歌を歌いました。
LSCの方は最後の方に高めの音でフェルマータする部分がありました。
多少調子が悪くても100発100中で安定して出せる音域だったので、そこを聞かせどころにしましたが、GSAの方では聞かせどころを全く活かせませんでした。
向こうの人は練習で出来ないことも本番ではやっちゃったりするんですが、日本人は練習で出来ない事って本番でもしくじる可能性が高い気がします。
緊張しすぎるのかも知れませんが、聞かせどころは得意技を。

歌に関しては日本での準備も比較的容易だと思います。が、歌の個人レッスンはわりと高いですよね。
クラシックなミュージカルソングは、学校に入れば必ずやらされますが、オーディションでは流行りの歌を歌う人が多いため、クラシックなものを歌うと好感度は上がります。
クラシックな物とはいえ、注意が必要なのがコール・ポーターやガーシュウィンの曲。
ガーシュウィンは『Crazy For You』のように日本でも観る機会のある作品があるため、音源を聞いてしまうと思うのですが、ミュージカルではかなり崩して歌っている事が多いため、楽譜通りに歌え無いことで失敗する可能性があります。
楽譜通りに歌う。
これ結構重要です。
なので、楽譜の読めない人は必ず個人指導を受けるなどした方が良いです。
楽譜の読める人は、歌を覚える時楽譜で覚えています。
耳コピで覚えて自己流で挑むと、この点で大きな差が付きます。
耳コピの落とし穴として、他人の表現で覚えてしまい自分の個性が見え辛くなるという問題もあります。

コール・ポーターは人によっては展開が難しいので、その展開の仕方が得意であれば良いのですが、私は個人的に苦手。
セオリー通りではない展開をする曲が多く、自分が間違えてるような感覚になることがあるんです。
楽譜通りに歌ってるのに、あれ?私音痴?みたいな。
日本でコール・ポーター作品に出たことのある先輩にも「分かる〜、コール・ポーターは自分音痴になった?みたいになるよね〜」と言われたことがあるので、この感覚になる人は、オーディションの緊張した状態で歌うとミスる可能性があるかも知れません。
ソンドハイムとか、わりとポイント高めです。
ソンドハイムを歌う子は若い層にそう多くはないので、流行りに流されず良く勉強してますねと言う印象。
ロジャース&ハマーシュタインも良いのですが、シンプルなメロディが多いので粗が目立ちやすい。私は歌っちゃいましたが(笑)
とはいえ、一学年上の先輩で歌う前に実技不合格を言い渡され
「あなた達はまだ私の歌を聞いてない。私の歌を聞いてから決めなさい」
と啖呵を切って『バリハイ』を歌ったというツワモノもいます。(ロジャース&ハマーシュタインの『南太平洋』の歌)
ちなみに、この方日本人です。
その『バリハイ』が凄すぎて受かったそうで、学校の歌の先生がいつもこの話してました。
「キミも日本人でしょ?日本人の凄い子がいるんだよ〜。オーディションの時にね…」
とエンドレスリピート。
ここまで行けるなら何選んでも良しです。
『バリハイ』にピッタリの声と迫力の持ち主でした。


最後にダンスですが、基礎は大切に。
これ、本当に大切です。
バレエ経験者は分かると思うんですが、レッスン形式のオーディションって、国際的な若手向きコンクールでもありますよね。
バーの時点から審査されるっていう。
なので、バレエがオーディション必須科目にあるところを受ける人は、基礎をしっかり意識した方が良いです。
現地でも上級とかプロ向けレッスンより初級、初中級のレッスンを先ずは受けて、先生に「もっとこうして」と難しいことをやるよう求められるとか「上のクラスを受けなさい」とか言われるまでは、基礎に忠実にが当たり前になるようやっていた方が良いです。 
日本も今はバレエ教育が変わって来ましたが、誤魔化すことを覚えてしまっていると、結構不利です。
学校のオーディションでは、上手く見えることを求められていません。
この学校で学んで伸びる子かどうかを見られています。
基礎が歪んでテクニックで誤魔化していると見られると、それで落ちるとは言いませんが、入学後にメチャクチャ矯正されます。
それと、向こうはバレエと言えば必ずピアノの生演奏です。
日本で生演奏でのレッスンを受けていない人は、オーディション前に慣れた方が良いです。


コンテは当時はあちらではグラハムベースの学校が多かったです。
カニンガムも教えたりもしますが、オーディションではあまり使われないイメージ。
アメリカのアルビンエイリーで使うようなホートンなんかは珍しいです。
知っているに越したことはありませんが、グラハムスタイルに付いていけると強いと思います。
バレエやジャズが得意ならコンテは「思いっ切りやる」にかけて、捨てると言ったらまた違いますが、感覚から開放することに集中することですかね。
私はLSCのオーディションで始めてコンテに触れましたが、それで面接の時に「コンテの成績がいい」と言われました。
もう、分からないから思いっ切りやる以外に出来ることがなかっただけなんですが。。。
コンテ経験のない人はバレエの基礎がしっかりしていても、この解放が苦手なことが多いです。
今時はバレエをやっていればコンテにも触れてるとは思いますが、コンテ経験がない場合は、思いっ切り解放を目指して下さい。
コンテがあってバレエがないなんてオーディションはそうそう無いので、バレエでしっかりした基礎を示せていれば、コンテで思い切りすぎても大丈夫。
パーカショニストの演奏で踊ることになることが多いと思うので、リズム感も求められます。
パーカショニストの演奏の仕方によっては、リズムがメチャクチャ取りにくいことも。クラシックとかなり違うので。
こればっかりは広いジャンルの音楽に触れて慣れるしかないです。
オーディションでは分かりやすくしてくれると思いますが、分かり辛くされた場合は自分の中のリズムを信じるのみです。
昨今はミュージカルでも、ライオンキングやウィケッド等でコンテ要素のある振りが使われていますが、コンテの専門学校で無い限り、難しいことをやらされることは少なく、レッスン審査で基礎をやらされるくらいだと思います。

ジャズは、あちらではMatt Mattoxのアイソレーションテクニックが主でした。
GSAのオーディションもそうでしたが、LSCは、私が入った当初、Matt Mattoxの一番弟子がジャズダンスコースのコースディレクターだったので、ガチのMatt Mattoxでした。
このスタイルは、ピルエットの軸足がプリエなので、慣れないと結構難しい。
今時のダンスと言えばストリート系ですが、向こうのミュージカル系の学校でそれはあまり通用しないと思った方が良いかも。
+αとしてそれも得意と合うのは武器になりますが、ストリート系しか経験がないのは弱いです。
そういうダンス自体は基礎が出来ていれば後からでも学べるもので、シアターダンスとしてはクラシカルなバレエ基礎のものが多くなります。
LSCでの一番人気だったジャズレパートリー(クラシックジャズ)のクラスでは、振付でイタリアンフェッテが入ったりしていました。
バレエ未経験者はアウト。出来ません。
マジかよ~って感じですよね。
パイナップルのレッスンでも、プロフェッショナルジャズのクラスで「バレエ未経験者は出てけ!」と先生が怒鳴ったことがあります。
ジャズ未経験でも、バレエの基礎がしっかりしていればその方が強いです。

今日本でシアターダンスを教えるところは減っていると思いますので、日本で準備可能なジャンルだとは思いますが、昔より大変かも知れません。
分かりやすいところでは、元四季や元宝塚、元東宝などミュージカル畑出身の先生はシアターダンスに強いです。


さてさて、学校のオーディションを受ける時に、重視されつつ対策が困難なのがキャラクターです。

前にも書きましたが、キャラクターはとても大切ですが、本人の思い込みはハズレも多く、意識することでむしろ隠れてしまうこともある厄介なものです。

自分はこう言う風に見てもらいたいから、こうやろう。
これは、多くの場合でハズレます。
どう見てもらいたいかではなく、本来のあなたがどういう人かというのが大切です。
というのも、本当の個性は作って見せるものではなく、隠そうとしても滲み出てしまう物だからです。
一番良いのは、その時に与えられた課題に集中して小細工をやめることです。
自分に自分の個性が良くわかっていなくても、無意識の時にこそ、その人の持って生まれた個性は表面に現れやすくなります。
キャラクターの思い違いで、私が良く覚えているのは、初めて演出をした舞台のオーディションです。

殊更に「自分はこの役みたいなキャラクターが合う」をアピールする方でしたが、その方にその役の台詞を読んでもらって魅力を感じることはありませんでした。作った演技が得意なんだろうなとは感じましたが、魅力的ではなかった。
それよりも別の「この役のイメージだな」と思った役があり、そちらの台詞を読んでもらった時、本人はやったことのないタイプの役だと言うので、「どうやって良いかわからない」と、変に造り込んだ芝居もせず本人的には中途半端だったと思ったかもしれません。
でも、監修をしてくれていた方と、やはりこっちだねとなり、本人は経験がないと言っていた役の方に決定しました。
自分のキャラクターを自分で決め付けてしまうことは、幅を狭めることにしかなりません。
キャラクター、個性とは自分の魅力です。
作るものではなく、それまでの生き方、物の見方、感じ方が正直に出ます。
と言うか、正直に出せる人は魅力的です。
表面的に作り込むことはそれを殺すことです。
役者の場合は、その個性が役の個性と重なることで新しい二人分の人間の魅力を持った人間が出来上がります。
自分はこういう人間と決め付けず、その時に感じたことを正直に出すのが良いと思います。

人に聞くことで、言われることが人によって違うということもあるかも知れませんが、自分の個性は一つとは限りません。
「色んな見え方をするのが自分なのだな」
と素直に捉えれば良いと思います。
私も演出家によって「ボケキャラ」と言う人もいれば「悪役タイプ」という人もいます。
「何の悩み事もなさそう」という人もいれば「どんなに沢山のことを抱え込んでいるんだろうと思った」という人もいます。
「非の打ち所がなさそう」という人もいれば「抜けててマヌケ」という人もいます。
どれか1つに絞るよりも、どれも自分と受け止めて、そんな色んな要素が同居してる私って面白いな、と思っていれば良いんです。
色んな要素を持っていた方が、複数いる審査員の先生達の誰かのツボに入る可能性は上がると思いますし。


オーディションを受けるときは、落ちても、合わなかったと考えて必要以上に落ち込まない方が良いです。
学校のオーディションは、多くの場合で上手さを見ているのではなく、可能性を見ています。
ダンス系ではキャラや基礎があっても、骨格の問題で落ちることもあります。
私の受けた当時LSCでは骨格を見られました。
教えたら出来る体なのか、骨格的に無理なのか、厳しい訓練に耐えられる体なのか、怪我のリスクが高いのか。
向こうでは、物理的に難しい条件の場合には、早めに他の道を選んでもらった方が本人の為だという考えがあるので、学校の方針に合わなければ容赦なく落ちます。
でも、全ての学校が同じ方針ではありません。
骨格を見られる学校は落ちても、他の学校に受かった人というのもいます。
つま先のポイントが骨格的に甘くなってしまう人でしたが、抜群の表現力の持ち主で、その表現力で取った学校があったわけです。


それに、このシリーズの初めの記事にも書いたように、学校のカラーに自分が合っているかどうかということもあります。
カラーの合わない学校に入って苦労した後輩の話にも、初めの記事で触れました。
カラーが合わずに落ちることと言うのもあります。
その場合は、むしろ下手に受かるより幸運と捉えることも出来ます。
落ちても自分自身が全て否定されたわけではないということは、しっかり心に刻んでおくことが大切です。


前の記事では、ちゃんと学校に行く場合について、経験を書いたんですが、英国で演劇やダンス、歌を勉強できる場は大学や専門学校だけではありません。

コミュニティーカレッジ等でも学べるんです。

私はLSCにいた間Method Studio Londonという、もうなくなっちゃったんですが、The Method
Studioのロンドン校でも夜間のレッスンを受けていました。
ここはアメリカのメソッド演技に特化した所でしたが、オーディション抜きで入れるという意味では、コミュニティーカレッジでのクラスに近い立ち位置だったと思います。
同じクラスに弁護士の方とかいましたし。
「法廷で説得力を出すために演技習うって怖いわね」
と先生にまで言われていました(笑)
そこはメソッドの学校と言うこともあり、アクターズ・スタジオ所属の先生が教えていました。

コミュニティーカレッジでは、一般の人達も趣味や教養の為に学んでいますが、受験準備の人もいることがあります。
オープンクラスでもそうなのですが、趣味の人もいますが、先生とコミュニケーションを取れば、趣味の人には厳しく見ないようなところでも、プロ志向だと知っていれば厳しく見てくれたりするので、先生に目的は伝えておいた方が良いです。

ちゃんとした学校に行くメリットは現地でのプロの仕事へのリンクと、組合へ加入しやすくなることです。

現地での活躍を目標にしているなら、断然専門の学校や大学を狙うことをお勧めします。

専門の学校に行く利点は、プロを養成するための学校なので全てにおいてそれが前提になっていることです。
LSCの例で具体例を説明すると、選択科目にミュージカル•シアター•レパトワというのがあって、有名作品、その時のヒット作品等の実際の振付を習うんです。
これは何が得かと言うと、オーディションに行った時に、既にそこでやらされる可能性のある振付をレッスンして踊れるようになっているという点です。
他にも、私は怪我で2年時に中退してしまいましたが、3年生になるとオーディション•テクニックというクラスがあり、オーディションに必要な事をプロデューサーや演出家が教えに来てくれます。
これがそのプロデューサーや演出家にとって、めぼしい新人を見付ける機会になっていることもポイントです。
一学年上の先輩が、これをキッカケに卒業後レ・ミゼラブルのエポニーヌ役でデビューすることが在学中に決まり、学校内で大きな話題になりました。
また、これも既に無いのですが、当時存在していたLondon City Balletと言うバレエ団と繋がりが合った為、学生でもバレエの成績が優秀であれば出演のチャンスがありました。
同学年で、同じオープンクラスで受験準備をしていた男の子が出演チャンスを掴みました。
出演がオーディション制だったサマーショーは、外部からプロの振付家などを呼んで作品を作り、Time Outというプレイガイド誌にも掲載され、有料でチケットが販売されるプロ扱いの公演だった為、卒業後まだ1つも芸歴がない人達はこのショーへの出演を芸歴として履歴書に書くことが出来ました。
だからオーディション制だったんですが…

私は高校時代に舞台やTVへの出演が少しとはいえありましたし、同じクラスには子役で「王様と私」に出たことがある等、芸歴がすでにある子もいましたが、無い子の方が多い。
卒業時点で芸歴が書けるというのは大きかったと思います。

他にも、ダンス系の学校ながら音楽理論の授業が全員必須でした。
卒業後ミュージカルに出演する可能性を見越してです。
向こうのミュージカルは殆ど全てオーケストラの生演奏なので、オケと合わせる段階になると指揮者が楽譜に沿って指示を出したりします。
その時に何を言われているか分からないようでは困ってしまいます。

最も大きかったのは、英国の組合に加入するのに有利だったことがあります。
卒業後2年以内にプロの仕事を取れれば加入資格を満たすというのが、当時でした。
今はどうなんだろう?
大きく変わってはいないと思います。
向こうの俳優が、大学の演劇科や専門学校などで専門教育を受けている人ばかりなのにはこんな理由があります。


でも、英国で活動というより、日本で活動するつもりだけど、日本の学校はレベルに不安を感じるし海外で学びたい、実力付けたいという人や、英国のスタイルが好きでそのスタイルを身に着けたいという方は、コミュニティーカレッジやオープンクラス、個人指導とかで良いと思うんです。
ダンスのオープンクラスなんて、レッスンによってはプロも受けています。
実際、向こうの人でも専門教育のオーディション対策にコミュニティーカレッジで学ぶとかあるので、プロ志向の人は学校にしかいないわけではありません。

前の記事に書いたように、オープンクラス等にはプロを育てた経験のある先生も、プロに教えるという経験のある先生もいるんです。
語学学校に行きながらこういった所でレッスンを受けたり、ワーホリで行って空いた時間にレッスンを受けたりも出来るわけです。

3年間学校に通うほどの財力は無いという方や、期間的に制限があるという方も、諦める必要はありません。

歌や演技を学びたい場合は個人レッスンというのも手です。
私がパイナップルで受けていた、歌のグループレッスンをしていた先生には、その後個人レッスンも受けていましたが、教え子にはロンドンのミュージカルに出演していたプロの方や、当時人気のあった女性アイドルグループのメンバーもいました。
ダンスワークスで受けていたバレエの先生のクラスなど、途中からアシスタントで加わった先生が映画『FAME』のメインキャストの一人として出演していた、元NYCBのソリストだったりと豪華でした。

ちょっとオープンクラスでどれくらい掛かるのかということで、Central School of Balletの大人向けクラス(予約制)の値段を見てみたんですが、£6とかでした。
£1=185円で計算しても¥1110です。
体験レッスンかよ!
パイナップルやダンスワークスは少し高めで£11〜£14くらい。
それでも、3000円を超えるようなレッスンは無いわけで、一流の先生にこの値段でレッスン受けられるって、ちょっと凄いと思います。
£14でも2600円に欠ける位ですから。
歌の個人レッスンも調べてみました。
かなり高レベルのプロでも£35(1時間)位のようです。¥7000もしません。
演技の個人レッスンの相場も似たようなものでした。
日本で良くわからないワークショップやらを受けるより良いと思うんです。
ワークショップと言いつつ、自分の自慢話とか偏った知識とか、洗脳みたいに自分の手下作ろうとするような人が沢山いますからね、日本は。


英国ではオープンクラスや個人レッスンでも良いと言えるもう一つの理由は、英国では教えるのに資格が必要だという点です。
日本のように「〇〇のバックダンサーやってました」程度では教えられないんです。
オープンクラスの先生で名前の後にBA(演劇やダンスはこれ)、BMus(歌はこれ)等付いていれば、学位を持っています。
学位の後に(Hons)とあれば、いわゆるオナーズ。学位を持っているだけでなく極めて優秀な成績で学位を取得したということです。
他にダンスの指導者に必要な認証資格として、英国で有名なのはISTDとRADだと思います。
ダンスは指導者側に必要な知識として、ダンスそのものだけでなく、解剖学等の知識等も求められます。
日本もバレエはその傾向になっていますが、単に踊れる、踊りの経験があるだけで教えれば、生徒を怪我させる恐れもあります。
その事を向こうの先生はしっかり認識しています。
英国のオープンクラスや個人レッスンでは、殆どのの先生が学位を持っているか、もしくは指導者としての認定を受けています。

実力の底上げをしたいという中身重視であれば、目的に合う先生を探してピンポイントでレッスンを受けるというのでも、十分に成果があると思います。
バレエの人なんか、当時も良く来てました。
夏休みにバレエ教室の先生が生徒さんを連れて来るとか、バレエ団で踊ってる方がお休みの時に来るとか。
学校に入らないと勉強出来ないと言うわけでもないので、目的に合わせたピンポイントでの短期留学も結構良いと思います。

指導者認定に関しては、日本で教えたりしている自分としては書いていて「イタタタタ」という感じなんですが、勉強はしてます。
指導には大きな責任が伴う。
これもあちらで学んだことです。

若い頃「ミュージカルを目指すには何を学んだら良いですか?」と良く聞かれることがありましたが、私は自分のメインを決めておくことをお勧めします。
ダンスも歌も一朝一夕で上手くなるものでありません。
日本人は義務教育で音楽を必須で学んでいたり合唱を経験したりしているため、歌に慣れていたり、既に楽譜に触れてきていることは大きな利点です。
英国では選択しなければ楽譜を一度も見ず義務教育を終えていることもあり、LSCのようなダンス系の学校でも音楽理論の授業があるので、そこで苦労するというのを同級生を見て感じました。

ダンスにおいて、舞台系で最も必要になるのはバレエの基礎です。
ミュージカルなどで使われる踊りはシアターダンスと言いますが、日本ではストリート系が流行っていることもありシアターダンスをしっかり教えてくれる先生が限られています。
バレエの基礎を必要とする踊りなので、ダンスが必要かも知れない分野を希望している場合は、日本で出来る一番教えてくれるところが多い踊りとして、バレエが最適です。
体の隅々まで自分でコントロールして動かすことを学ぶ上でも、洋物をやるのであればバレエはやっておいた方が良いです。
向こうのオープンクラスでは、プロの俳優が苦手な踊りを克服しようとレッスンに来ていることもありました。
レ・ミゼラブルのジャベール警部が、オロオロしながらも頑張って踊ろうとしていたり、「同じ実力なら踊れる方がオーディションで選ばれやすい」とレッスンに来ていた俳優さんも。
学ぶバレエのスタイルはワガノワでもフランス式でも何でも構いませんが、モダンよりはクラシックの方が良いです。
演技も必須ではありますが、全ての経験が現れる分野でもあります。
自分の体をコントロール出来ない、音楽の素養がない役者は、上手くセリフが喋れても後々苦労します。
日本にはシステム化されたレッスンも余りありません。
一流と言われるものを観ることでも学べることが沢山ありますし、バレエや歌でも演技力は求められるので、多くのジャンルに触れておくことが大切です。
日本で出来る準備などは、また別記事に書く予定です。

この記事でお伝えしたいのは、英国での活動を目指すならフルタイムのプロ養成学校もしくは大学に、そうでないなら学校以外にも学べるところは沢山あると言うことです。
ご自身の目的に合わせて決めるのが良いと思います。

そうそう、英語についてなのですが、日本の学校でしっかり英語の文法を学んだ人は、うまく英語は話せなくて自信がなくても、語学学校に行く場合には少し上のクラスを狙った方が良いです。
日本人は自分たちが思うよりも、文法面では英語を良く知っています。つまり、基礎があります。
現地ではその基礎の生かし方を学ぶ方が上達は早いです。
特にロンドンは日本人も多い。
私も大学のブリッジングを辞めて、オーディション準備をしている頃、少し語学学校に行ったのですが、学校のスタッフが
「一番下のクラスは日本人ばかりで、2年、3年経っても全然英語語出来るようにならない」
と嘆いていました。
日本人ばかりだとどうしても固まってしまって、日本語で話してしまうんですよ。
外国で同じ日本人に会えばホッとしますし、絡んじゃダメなわけではないです。
情報交換もできますしね。
そういうクラスになっても「学校の中では英語で話す」など、自分でルールを決めてやれれば良いのですが、やっぱり日本語が楽なので日本語を話してしまいがちになります。
結果として英語が上達し辛くなります。
クラスのレベルが上がるごとに日本人率は下がっていきます。
語学留学で学生ビザを取って、オープンクラスや個人レッスンを受けようと思っている人は気を付けて下さい。
語学学校では英国人と友達になるのは困難ですが、色んな国の人がいるので、仲良くなって各国のエンタメ事情など聞いてみるのも面白いと思います。
視野が広がりますよ。

学生ビザだと、時間の制限はありますが、バイトが出来ます。
その為、語学学校でビザを取ってオープンクラスや個人レッスンという人は、私のいた頃から多いです。
今は、私がいた頃に存在していた就労禁止の学生ビザは無いようなので、バイト代を現地での生活やレッスン費の足しに出来るのは大きいと思います。


次の記事では、あちらの学校のオーディション準備について書くつもりです。

自分は英国で舞台系の学校に行ってた訳ですが、同時期や別の時期でも英国の同じような勉強してた人が、自分を特別に見せるためなのか話し盛ってるというか、誤解を与えかねない話し方してるのを見ると、それ勘違いしてこの先行きたい人がそれがリアルと捉えたらどうするの?と思ったりすることがあります。

なので、これまでに学校での話とか書いたことがありますが、今日は英国の舞台系学校に入るまでのことなんかを中心に書きたいと思います。
目指してる方は古い情報もありますが、ぜひ参考にしてみて下さい。

元々は大学の演劇学科に申し込んで、ブリッジングという現地での大学入学資格を取るコースを受けること前提での条件付き合格貰って渡英したんですが、まずはここで必要なこと。

英国と日本は教育システムが違います。
ざっと説明しますと、
日本は小中9年の義務教育、高校3年間の中等教育、大学4年(+α)の高等教育というシステムですが、英国ではこの中等教育の部分は、高等教育を受ける準備期間となり、大学に行かない人は義務教育の後専門の技術系学校を選ぶことになります。
高等教育準備期間に当たる年数は2年。
ここで、志望する大学の志望する選考に合わせた科目で必要な成績を取る必要があります。
向こうの大学には応募するにあたり、例えば国語のAレベルとか、歴史のAレベルといった感じで規定があり、この規定をクリアするための期間が2年間ということです。
この2年間は、日本でいうと大学の一般教養課程に当たるため、大学は基本的に3年制で初めから専門課程となります。
その為、日本の高卒は英国の大学入学資格に満たない。
そういった教育システムの国から来た人のために、この一般教養課程を1年でやるというのがブリッジング、もしくはファウンデーションと呼ばれるコースです。
日本の教育を受けた人でストレートに英国の大学に入るには、四年制大学で2年生まで修了しているか、短大を卒業している必要があります。
高卒での英国大学入学はブリッジング前提での条件付き合格となります。

英国の学校に入る上でもう一つ必要なのが、当たり前ですが英語力。
英国ではIELTSが主に使われますが、TOEFLでも可能な場合が当時はありました。
が、英国に留学するならIELTSの方が良いです。
演劇学校でもIELTSで必要な英語力を提示している所が多いです。
向こうは秋入学なので、夏にIELTSを受験する場合(応募時に英語のレベルを提示できていない場合)は、大学からの条件に必要な英語レベルの取得も加わります。
文系であれば5.0〜6.0位です。
応募時に必ず先に提出しなければいけないのは、アプリケーションフォームと小論文です。
日本から応募する場合、日本の入試のような学科試験はありません。

大学の情報は今はネットで調べられますが、当時はブリティッシュ・カウンシルでした。
アナログでした。
こればっかりは今の世代が羨ましいです。

さて、私はこれで二つの大学から条件付き合格をもらい、IELTSはどちらの大学の分もクリアし、実技が多いと聞いていた大学を選んで渡英したわけですが、その大学が指定したブリッジングで詐欺に合いました(笑)
ちなみに、条件の一つであるブリッジングは大学側が「ここのカレッジで受けて」と指定してきます。

詐欺でその学校を辞めたので、計らずも、専門学校系を現地受験するという経験もしたのですが、これについても参考までに書きますね。

まず必要なことはどんな学校があるか調べること。
今ならググれば良いのでしょうが、当時はネットが普及してなかったのでアナログでした。
舞台系学校なら、アナログで調べる場合は『The Stage』と呼ばれる週刊の専門紙。
舞台専門の新聞です。
今はオンライン版もあると思うので、日本でも読めると思います。
舞台のオーディション情報もここに乗りますが、舞台系の学校の多くがここに情報を出しています。
で、住所とかも書いてあるので遠いとか近いとかはすぐ分かります。
あちらの舞台では、プログラムの出演者の欄に必ず出演者の出身校が書かれているので、これも学校によってどんなジャンルに強いのかを見る参考になります。

向こうの学校って、わりとカラーがハッキリしていて、ダンスのオープンクラスなんかを受けているとその内そのカラーも分かるようになって来ます。
舞台出演者も同じで、この雰囲気の役はこの学校出身者が多いみたいなのが見えてきます。
その内、「あの人○○」っぽいと出身校が読めるようになります。
どの学校を受けるかは、その学校のカラーに自分が合うかというのも大切ですし、自分が将来的にどんな方向に行きたいのかという希望をハッキリさせておくのも大切です。

当然、新聞に記載された住所や電話番号から学校にアクセスしてプロスペクタスと呼ばれる学校案内を取り寄せるのも大切ですし、近くなら直接行ってもらっても良いですし。
学校案内には学校やコースの情報や、受験要項などが書いてあります。
日本と同じですね。
プロスペクタスを取り寄せる時には、二度手間にならないようアプリケーションフォーム(申込書)も取り寄せておきます。
大抵入ってますけど。
受験するにはこれを書いて提出してエントリーしなければならないので。
あちらの学校のオーディションに書類審査は原則ありません。
エントリーすれば全員受けられます。
外国籍だから受験できないといったようなことも滅多にありません。
と言うか、英語力の問題など個別の問題以外で、日本人だから受けられないというような学校の話を、当時聞いたことがありません。
ロイヤルと名の付く学校は英国籍の人のみとか言うこともありません。

ネットで調べて学校案内や申込書を取り寄せるのも良いですが、短期の語学留学等で現地に行ってしまい、現地で調べる方が空気感は分かるかもしれません。
オープンクラスなどに行くと、同じように学校受験の準備でレッスンを受けている仲間と出会えたり、先生がどこかの学校で教えている講師だったりすることもあるので、その学校のことを直接聞けたり相談できたりもするというメリットがあります。

私はパイナップルとダンスワークスという2つのスタジオでオーディション前にレッスンを受けていました。
パイナップルの方で受けていたレッスンは、先生が後に自分の進学先になるLSCで教えていたことがありました。なので、同じ学校を受ける子も同じレッスンに複数いて、オーディションでレッスン仲間と一緒になったり、そのレッスンで毎日会っていたバレエピアニストがオーディションでもピアノを弾いていたりして、とても心強かったのを覚えています。
入学した時には、別日に同じ学校を受けていたレッスン仲間と同じクラスで合流する形になり、外国人で1人ポツンみたいなことを避けられたのも大きかったです。
クラスに日本人は私一人だったので。
パイナップルでは当時歌のグループレッスンもあり、そこでオーディション用の歌をレッスン仲間にも協力してもらって選んだりもしました。

ダンスワークスで受けていたレッスンの先生は、1人がArts Educational Schoolsという、ロンドンでも有名なミュージカル学校の先生で、生徒にはArtsの生徒さんもいました。たくさんお話が聞けましたし、学校選びに関してはこの先生にたくさん相談しました。
もう一人はRambertというダンスカンパニーの当時のリハーサルディレクター。後にロイヤル・バレエに振付などもしています。バレエで一番学びの多かった素晴らしい先生。バレエのタイプはネオクラシックです。
この先生には、自分というより、自分が2年生の時に新入生として入ってきたバレエコースの日本人の子が、先生に「そんな汚い踊りは見たくない!」等なかなかに酷い扱いを受けて転校したいと相談された時にお世話になりました。
先生のレッスンにその子を連れて行き、先生に、本当にそこまで言われる踊りなのかと言うのを見てもらって、とこか悪い所があれば直せるように教えてもらうと言うのが目的でしたが、先生は

「汚いなんて言われるようなところはない」

と、Rambertのスクールの方に話を通して転入のためのオーディションを受けられるよう計らってくれました。
その子に酷い事を言った学校の先生は、その子よりよっぽど下手くそな私にはフレンドリーだったので、恐らくカラーが合ってなかったのだと思います。
その当時のLSCは、バレエコースのみ日本でもオーディションをしていて、その子は日本オーディションを受けての入学でした。
当時のLSCは、先生に多少キツイこと言われても言い返せるような気の強い女の子がカラーとして好まれていたので、言われて泣くとかあからさまに落ち込むとかすると、怒らせようと更に突いていく先生がいました。
私は理不尽なことは先生にでも言い返すタイプだったので、カラーが合っていたのだと思います。

オーディションを受ける必要のある学校に留学を希望する場合は、情報収集や空気感を知るとか、仲間作りという観点からも、現地オーディションを選んでオーディション前に現地で準備するのが、個人的にはオススメです。

舞台系の学校のオーディションですが、学校により違いはあるものの、私はダンス系と演劇学校(ミュージカル科)の両方を受けたことがあるので、一応参考までに。

ダンス学校は基本的にダンスが必須科目になります。
私が進学したLSCは、必須科目はクラシックバレエ、コンテンポラリー、ジャズ。
バレエとコンテンポラリーはレッスン形式で、ジャズは当日振付られた踊りを踊らされました。
選択科目はバレエのバリエーション、ソロ歌唱、演劇のモノローグで、複数選択可能。
実技合格者のみ面接。
バレエコース志望者のみ、選択科目のバリエーションは必須だったと記憶してます。
私はソロ歌唱を選択して受験しましたが、必須科目のみでの受験も可能でした。
LSCのバレエスタイルは英国ロイヤルスタイルですが、その他のスタイルの人も受験出来ます。
当時はパトロンがド•バロワさんという、ロイヤル・バレエの前身となったバレエ団の創設者で、講師もロイヤルのティーチャーズコース出身や、ロイヤルのダンサーだった方が多かったです。
パトロンが誰であるかは、学校の方向性にも関わるので、抑えておいた方が良い情報です。
もう一人いたパトロンはサー•キャメンロン•マッキントッシュという、ミュージカルのプロデューサーでした。
この方は、色んなミュージカルに関わる学校のパトロンになっていたと思います。

演劇学校では、演劇科、ミュージカル科に関わらず、必ず必須で演劇のモノローグが求められます。
私が受けたのはGSAという、ロンドン郊外のギルフォードにある演劇学校のミュージカル科で、必須科目はモノローグ1つ、ソロ歌唱、ジャズダンス。選択科目はありませんでした。
演劇科だとモノローグは古典と現代物の2つが必須になります。
この学校は実技の合否に関わらず全員面接がありました。
この学校のミュージカル科のパトロンは作曲家のライオネル・バートでした。
『オリバー』というミュージカルの作曲者です。

ちなみに先に少し名前を出したArtsという学校のパトロンはサー•アンドリュー•ロイド・ウェバーです。
もうこれだけでも、それぞれの学校の色が少し見えてきませんか?

向こうの学校のオーディションを受ける際に、日本と一番違う考え方として
「ライバルは同じ道を志す仲間」
というのがあります。
ライバルは敵と考えて蹴落とそうとすると、落ちる可能性が上がります。
これはLSC入学後に先生に聞いた事ですが、ジャズだけすごく難しくて、同じ日に受けた殆ど全員が振りを覚えきれない、もしくは覚えるだけでいっぱいいっぱいになったのですが、こういう時、受験者同士が協力し始めるんです。
「今日ここにいる皆で受かろうぜ!」
と。
ここで、例えば嘘を教えて蹴落とすとかしてる人は落ちる。
そういう時の態度も審査対象になっていたと言うんです。
舞台というのは皆で一つのものを作り上げる芸術ですし、向こうはロングランが多く契約の基本単位が半年とか長いので、その期間チームとして同じ作品を支えるという資質が無ければ、適性無しと判断するんだとか。

この話に付随しますが、GSAのオーディションでは、実は緊張しすぎてモノローグのセリフが途中で全部ふっ飛んだんですよ。ド派手に(笑)
当然落ちたわけですが、オーディションの順番がダンス、演技、歌で、このしくじりに落ち込んでいた私を、全員が
「1つの失敗で落ちたりしないよ!君は一番ダンスが上手かったし、先生達もそれは見てたはず。切り替えて次の審査のこと考えよう!」
と口々に元気付けてくれました。
こういうのが適性有りと判断される人達です。
この後歌審査で1人とんでもない歌い手がいて、その場にいた全員が
「何あれ、もうプロじゃん」
と愕然とするわけですが。。。
余談ですが、それは「This Is The Moment」というジキルとハイドの歌を歌った男の子で、上手いとかいう次元ではありませんでした。
眼の前にいきなりプロが現れて歌い出したみたいな。
相当な衝撃でした。全員があまりのレベルの違いに大きなショックを受けていました。
向こうにはそういうモンスター級が、学校のオーディション段階でも登場しますが、結構キツイんですよね。同じ回でモンスターに当たると。。。

GSAは、英国ミュージカル界の大スター、マイケル・ボールの出身校で、オーディションの合間に学校紹介ビデオを皆で見る時間があったのですが、そこにマイケル・ボールが出ていたので、女子の間で「マイケルはイケメンがブサイクか」論争が勃発しました。
オーディション中に何やってんですかね…
オーディションとはいえ、緊張する場面ばかりではなかったりします。

学校受験時に、在校生の先輩が受験生のケアをしてくれるのはどちらも一緒でした。
GSAの時には、お昼休みに
「僕達がいつもランチや放課後に行くお店」
というパブに連れて行ってくれました。

私も二年生の時に「受験生に日本人がいる」という回にお手伝いしました。
その日本人受験者って、現地で知り合った友達だったんですけどね。

オーディションは一回の受験人数が20〜30人程度になるよう複数回に分けて行われるので(何千人単位で受験するため毎週オーディションやってるような学校もあります)、そこまでの大人数にはならないせいか、同じ回に受けた人達同士、仲良くなることは良くあります。
LSCは実技合格者のみが面接だったので、面接の順番発表がそのまま実技の合格発表でした。
「これから面接の順番を発表します」
と言って、呼ばれる人は10人にも満たない。
「呼ばれなかった方は残念ですが」
というパターン。
ここで帰る人達と残る人たちの間で涙の別れが。
去る方は
「絶対に受かって待ってて!来年必ず来るから!」
残る方は
「絶対に受かって待ってるから、絶対に来年来いよ!」
なので、2年生になってからオーディションの手伝いをしたがる子は多かったです。
約束した仲間が戻ってくるのを待ってるし、知り合いがいれば声掛けてあげたいし。
私は2年生の時に友人が二人受験していたので、2回とも気が気ではなかったです。
頑張って〜、受かって〜、大丈夫かな?緊張してないかな?とか、常に考えてしまって。

こういうのは私が特別にそうだったわけではありません。
そういう意味では、現地で仲間を見つけた上でのオーディションは、そういう意味では精神的にも強いと思います。
特に外国人だと、家族が離れたところにいる分、仲間の支えは心強いものです。
もちろん、孤高の天才タイプの方には逆に煩わしいことなのかもしれませんが、そうでない人の方が多いと思いますので、仲間は大切に。

ここまでの情報は当時のものなので、大切な情報として、私がいた当時専門系(ディプロマ)は16歳、学位が取れるディグリーは18歳が入学可能年齢の下限でしたが、現在は専門系の多くが大学と提携してディグリーコースを基本としており、学位が取れます。
その為、入学可能年齢下限は18歳が殆どです。
LSCも私がいた頃はディプロマとディグリーがありましたが、現在はディグリーのみです。
なので、留学の価値はさらに上がったと思います。
エンタメ系でプロになるための本格的な訓練も受けられて大卒の学歴も得られる場所が、日本にはまだ少ないので。
エンタメ系は、海外留学しても物にならなければ学歴もないしキツイと言われた時代もありますが、プロになるための学校に行って最後まで頑張れば、プロになれなくとも学位が付いてくるというのは大きいと思います。

なので、チャレンジしてみたい人はどんどんやってみたら良いと思います。
私の世代って、日本では
「ライバルは蹴落とすもの」
みたいな考えの人が多くて、英国流の「ライバルは仲間」は甘ったれてるとか言われたんです。
これが留学経験組が増えて変わってくれたら良いと思う。
もちろん年配の人でも、英国流の方に賛成の人もたくさんいます。ただ、そうでない人もまだまだ多い。
他人に足掛けて転ばせても自分のタイムが伸びるわけじゃないのにね。
スポーツなんかは、WBCとかで日本もチームメイト同士で情報交換したりと、これまでと違う在り方が注目されましたけど、その世界を底上げする上ではそっちの方が良いと思うんですよね。

この記事を書いたキッカケって、同年代もしくはそれ以降の英国留学経験組の、自分を高く見せるための盛り話で事実と違わない?みたいなのを見聞きして、そういうところだよな〜と思ったので。
別に他人を貶してなくても、多くの人の助けを受けていながら「自分一人で頑張った」みたいにしちゃうとね。
海外の日本人なんてのは狭いから知ってたりするんですよ。
あなた現地の人にも先行組の日本人にも相当助けられてましたよね?って事実を。
今関わりがある人とかではないわけだし、敢えて個別に指摘するつもりはないけど、これから行く人達に、現地はそんなんじゃないよということは、知らせておきたいと思いました。
「一人で行ったら誰も助けてくれない孤独な世界」
と思われるより
現地で仲間は作れるってことや、それが力になるから怖がらずに飛び込んだら得られることもあるぞ、ってことを伝えたいと思いました。

ちなみに留学は長期だけでなく、サマースクール的なのを行ってる学校や、日本語だと大学院に当たる1年のコースをやっている学校もあります。
受験したい学校のサマースクールに参加するというのは、若い世代には良くあることなので、留学してやっていけそうか、そこで合いそうかなどを見る意味で夏場の休み中にそういったところに参加してみるのも良いですね。

後、向こうの俳優さんなんかはフランクです。
劇場で出待ちしてアドバイスもらうとか、わりと出来るんですよ。
現地で準備するのにはこういう方法もあるという一例として。
それと、LSCにいた時には先生や先輩が出ている作品は生徒に招待券が出たりしました。
良いものを身近で観ながら学びたいという人にはロンドンが合っていますが、ロンドン近郊であれば同じように気楽に見にいける距離感なので、ロンドンだけに拘る必要は余りありません。
それと、専門系の学校を選ぶ上で、サマーショーが全員参加のところもあればオーディション制の所もあるとか、卒業生の時の公演が学校のある都市のみで複数の作品をやるか、1作品で全国ツアーをするかなど細かい違いは沢山あるので、こだわりがある場合は先に調べた方が良いです。
現地で準備すると出身者にも会うので、話を聞けて良いです。