子宮卵巣を取った時、俺は悲しくなって泣いた。

胸を取った時には感じなかった気持ちが溢れた。

子供が産みたかった訳ではない。

健康な体の一部をなぜ取らなければいけないのだろうと思ったから。

自分自身の意思に関係なく働いてくれて、今まで女性である体を健康にしてくれていた大切なもの。

男性になるためには、女性の生殖器は必要はないのは事実。

ただ、体の一部をなくさなければ、戸籍上の性別を変えることが出来ない、それが条件であることに腹が立った。

「自分らしく生きること」のハードルを高くしているのも、この条件であるのは確か。

俺の臓器が何か罪を犯したのでしょうか?

存在が危険なものだったのでしょうか?

取ったところで見た目は変わらないのに、なぜこんな条件が必要なのか。

性別は男性なのに産婦人科を受診する、そんな現実が起きてはならないから?

元に戻ることなんてないのに。

手術後も何の支障もなく、至って健康に過ごせている。

だけど、子宮を取ることに対する疑問は消えない。