この差押えがきっかけとなり、

私たちが進めていた「つなぎビジネスローン」の商品化が、

少しずつ後退していった。

 

銀行って、一度たりとも失敗が許されない組織なのか?

銀行が「差押え」を行うこと自体がイレギュラーであり、

そんなハイリスクなものは、商品化すべきではない。

 

そんな空気感が生まれてきた。

もちろん、そんな空気感の発生場所は審査部。

 

当たり前と言えば当たり前だが、

審査部は、極力リスクを排除して与信判断を行う部署。

 

そんな世界にどっぷり浸かってきた人たちからすると、

私達が商品化しようとしていた「つなぎビジネスローン」は

リスクの塊。

今すぐにでも止めたかったに違いない。

 

しかし、私達を後押ししてくれる上司がいた。

そう。三井住友銀行から出向でやってきた執行役員。

この方は、いつも私たちの背中を押してくれる人だった。

 

頭取との距離も近くて、

「何か逆風が吹いたら、何でも相談してきて!!

必要なら、頭取に直談判すから!!

 

この一言は、とても頼もしく

私達は、とにかく商品化に向けて前に進めるだけだった。

 

(つづく)