猛暑の時に赤十字に入院となった。
入院前から、大きく張り出たお腹に圧迫されて、横になるのが辛く、悩ましかったが、病院のベットがリクライニング可能で、頭を起こして寝る事が出来たのが最高に嬉しかった。
長期入院となってしまい、汗ばむ時期。
寝巻きが足らない事に気がつき、旦那に買いに行って貰った。ついでに産後のパンツも。旦那は恥ずかしさのあまり、有る物を手に取り買って来たのが、ハートで一杯のピンクの寝巻き。
私は産科で一番お腹が大きく、ピンクのハートの寝巻きを着てたので、目立っていた。
寝巻きも、暑さも我慢出来たが、ご飯が凄くお粗末でガッカリした。
ご飯が入院中の唯一の楽しみなのに、美味しく無く、隣の妊婦さんの所には大家族で毎日見舞いに来て、差し入れのフルーツを食べ、その方が出産退院するまで、私はラジオの様に横でカーテン越しに家族の楽しかった話題を聞いていた。
ただ旦那が毎晩、仕事帰りに「スープストック」「チャウダーズ」のスープを買って面会に来てくれた。
その時、旦那が私が居ない時間何をしてるのか想像をした事が無かった。
ただ、1ヶ月ちょい位の入院時に使うシャンプーや、身の回り品を買って来て欲しいとお願いした時、旦那はおかしかった。
でも私は子供が産まれた後の事が気にかかり、忘れてしまっていた。
毎晩、夫婦で
「子供が産まれたら○○させよう」
「名前は何にしよう」
など会話して普通に過ごしていた。
最初にかかった個人院で「男の子」と分かってから、息子とキャンプに連れて行きたいね、など。
入院して暫くして、病院には無料のお茶が配られてる事に気が付いた。
「ご自分のコップをお持ちなら、入れますよ」
と、おばさんが言った。私は持って無い。お向かいに住むイギリス人の奥さんが、メールで「何か必要な物が有ったら、持って行くよ」と聞いてくれたので「マグカップが欲しい」と伝えたが、まさか無料のお茶が飲めないとは思っても無いみたいで、私は退院するまでお茶が飲め無かった。
毎日、看護師さんがお腹の張り、心音を朝チェックに来てくれて、妊婦の心の平穏を保ってくれた。
毎朝、医師の受診も有った。
何も問題が無い訳では無いけど、入院時に大きな壁を破らないといけない事があった。
私には持病で入眠障害が有り、眠剤を飲んでいた。主治医は妊娠中飲んでも大丈夫と言ってくれていたが、精神科の薬は他科ではタブー。誰も薬の仕組みが分からない。
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を皆恐れていたのだ。
私も勿論恐れていたが、どうにもこうにも寝れないので、飲んでいた。
そして37週目を迎い、3日おきの点滴交換のストレスで、顎関節炎になり、医師から退院して良いと言われて帰宅する事になった。
入院中、大抵満月の日に赤ちゃんが生まれて、小さな赤ちゃんを抱いて、廊下を歩いてる方を見て、ワクワクドキドキしていた。
切迫早産の方特有の、
「もう産みたい」
と悲しくなるモードにもなった。
ナースステーションで、泣きながら
「早く産みたい。ダメですか?」
と言い寄った事も有った。
退院して、もういつ産まれても大丈夫ですよ、と太鼓判を押されたのが嬉しくて、自宅へ戻った。