いつからだろう あの男が豹変していったのは
気に入らないことがあると 私に当たり散らす
気が済むと泣いている私を抱きしめ ごめん俺が悪かった
と 優しくキスをする
もうこんな生活から解放されたい 消えてしまいたい
友人の一人がドメスティック・バイオレンスと教えてくれた
専門相談にも同行してくれた
でも 好き 一緒に居たい
自分自身がわからなくなる
もう 相談するのは辞めよう 私さえしっかりすれば・・・
そんな時だった 新しい命の芽生えに気付いたのは
男も喜んでくれる これで優しい父親になってくれる
そんな淡い期待も裏切られた
それどころか よりによって相談に乗ってくれた男性との
関係を疑い 自分の子供ではないと言い出した
増々 暴力はエスカレートしていった
そして 新しい命は消えてしまった
絶望の中で友人から伝え聞いた
男が相談者の男性に お金を要求したことを・・・
これ以上騒ぎ立てたくない 金額も大したことない
そんな思いから支払いに応じたのだと
それがダメだった
男は要求を繰り返した 段々金額も増えていく
気が付けば 男性の生活を圧迫するまでになっていた
そう もう耐えられない 消えたい
私を支えていたものは崩れた
新しい命も 心優しい男性も
騒ぎに巻き込まれるのを心配した友人も距離を取り始めた
もう消えよう 私さえ消えればみんな幸せになれる
最寄りの駅からターミナル駅への電車に乗ったのは覚えている
そこからどうやってここへ来たのだろう
財布もない 携帯もない
消えるつもりなら どこか途中で捨てたのだろう
いつの間にか雨が降りだし 夜になった
知らない道を あてもなく歩いていた
山の奥深くで 誰にも知られずに消えよう
