(テレビで聞いた話)

 

 

2006年。俳優の西村和彦さんは、書道家の國重友美さんという方と結婚しました。

なれそめは西村さんのひとめぼれ。

なんとしても結婚したかった西村さんは、何度も友美さんに猛アタック。

その甲斐あって、ふたりはめでたく結婚。ただ西村さんは、どうしても奥さんに頭があがらないんだとか。

奥さまの國重友美さんは、書道家という特殊な仕事をしています。

いったん創作活動に入ると、家のことはまったくしない。その分すべてを西村さんが担当している。

「それでもなんの不満もなく、幸せな結婚生活を送っています」

西村さんはそう言って、テレビで笑顔を見せていました。

そういえばそのとき、西村さんがこんな話をしていたのでご紹介します。

 

(西村和彦、國重友美夫妻。ある日のエピソード)

 

その日も朝から、西村は家事をこなしていた。

奥さんは書道の創作活動中。ここ数日間はずっとピリピリ、多忙がゆえ終始イライラ。

そんな奥さんが、創作の合間にトイレへ行った。

西村が台所にいると、トイレから大きな声が聞こえてきた。

「カズちゃん!」

西村和彦は、奥さんからカズちゃんと呼ばれていた。

「ねぇ、カズちゃん! ティッシュ、持ってきて!」

奥さんから命令がくだる。

西村はそくざに家事の手をとめ、ティッシュを持ってトイレにダッシュ。

ドアのすきまから、西村がそっとティッシュを差しだす。

すると突然、奥さんが怒りだす。

「なによ、これ!」

あわてる西村。

「なにって、ティッシュだよ」

「なんでティッシュなの!」

「だって今、ティッシュを持ってきてって言ったじゃん」

「バカじゃない! トイレでティッシュって言ったら、トイレットペーパーのことでしょ!」

「そうなの?」

「決まってるでしょ。すぐにトイレットペーパー、持ってきて!」

「はい!」

西村は脱兎のごとく走りだし、トイレットペーパーを取りに行く。

ティッシュと言われたからティッシュを持っていったのに……。

そんなじくじたる思いを、西村はぐっとこらえる。

しょうがない。いまは創作活動中。奥さんの言うことは絶対だ。

トイレットペーパーを手に西村はトイレへもどり、それを入り口からわたす。

しかし奥さんは受け取らない。かわりに自分の手のひらをこちらにむける。

奥さんの手は、書道の墨でまっくろ。それを見せながら奥さんが言う。

「ふいて」

「え?」

「私、いま手が使えないの。だからふいて」

「オレが?」

「ほかに誰がいるの? こんな汚れた手じゃふけないでしょ? 早くふいて!」

西村は持っていったトイレットペーパーで、奥さんの股間を丁寧にふいてあげる。

すべての処置が終わると、奥さんはなにも言わずにトイレから出て行った。

西村は汚れたトイレットペーパーを丸め、無言のまま便器へ投げすてた。

 

そんなエピソードを語ったあと、西村さんは笑顔でこう言いました。

「それでもボクは、妻を愛しているんです」

俳優・西村和彦。数々の作品に出演する名バイプレーヤー。

おしゃべりも得意で、バラエティー番組にも出演しています。

西村さんはけして、ヒモではありません。ちゃんとした俳優さんです。

それなのに奥さんにあごで使われ、トイレのあと処理までして、なおかつ笑顔で「妻を愛している」と言えてしまう。

なんてすばらしいダンナさんなのでしょう。

西村和彦さんは、まさに夫のかがみですね。

 

2015年。西村和彦、國重友美夫妻。離婚。

 

いったい、なにがあったのでしょう。

あんなに愛していたはずなのに。まさか別れてしまうなんて。

離婚の原因はわかりません。夫婦のことは夫婦にしかわからない。他人がどうこう言えることではありません。

ただひとつ言えるとすれば、我慢には限界があるということですね。