鉄は産業のコメ。今、NHKで「坂の上の雲」やってるけど、あの時代、日本は近代製鉄技術を導入しようと躍起になった。そもそも鉄は溶融温度が高く、古代ではその精錬法は秘中の秘だった。古代アルメニア未開種族の秘技。それを独占したヒッタイト。三千数百年前のこと。

秘技を独占したヒッタイトは、それを持たざる国に比して強大な軍事力を持った。日本は白兵戦や精神論でかたずけてしまいがちだけれど、戦でものを言うのは戦術と技術、そして数。それにまわりの状況が色々加味されて勝敗が決まる。

日露戦争だって28サンチ砲が持ち込まれなければ戦局はどう展開していたやら。ただし、その成功体験が巨砲主義を生んだとすればそれもまた皮肉。成功は得てして失敗の母となる。。

最近の日本は亜鉛メッキ鋼板やハイテン鋼材(高張力鋼鈑のこと)など、付加価値の高い製品である程度、安泰だった。けれど、それは今やアジアの地場鉄鋼業でも作れるようになってきた。無方向性電磁鋼板はまだ競争力ありそうだけど、どれだけノウハウ的に難しいんだろ?

日本の製鉄産業の行方は、日本の競争力に大きな影響がある。はたして新日鉄と住金の合弁がどう影響するのか。先行きに注目したい。

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公取委が新日鉄と住金の合併を条件付きで承認 異例のスピード
ロイター 12月14日(水)15時37分配信
[東京 14日 ロイター] 公正取引委員会は14日、新日本製鉄<5401.T>と住友金属工業<5405.T>の合併を条件付きで承認したと発表した。両社が5月末に合併審査を申請してから約半年でのスピード承認となった。承認取得により、来年10月1日の合併に向け大きく前進する。国内粗鋼生産1位の新日鉄と3位の住金の合併により、生産規模でアルセロールミタル<ISPA.AS>に次ぐ世界2位の鉄鋼メーカーに生まれ変わり、海外展開の加速などにより世界市場でのプレゼンス拡大を狙う。
 公取委が問題視したのは、自動車や家電向けのモーターに使われる「無方向性電磁鋼板」とガス管を道路に埋める「高圧ガス導管エンジニアリング業務」の2分野。ただ、会社側が提示した問題解消措置を行うことで、「実質的に競争を制限することにはならない」と判断した。
 具体的には、無方向性電磁鋼板で合併会社の国内市場シェアが55%に高まり、競争を制限する恐れがあると判断。このため、両社は、新たな競争者として住友商事<8053.T>を選び、合併後5年間、住金が現在販売している国内顧客向けの全製品を利益を乗せない生産コストベースで提供する。さらに住商に対し、住金の同鋼板の国内顧客向け商権も譲渡する。
 高圧ガス導管エンジニアリングでは、合併会社のシェアが約60%となるため、新規参入者に鋼管を安定供給したり、自動溶接機を譲渡したりすることで問題を解消する。

<異例のスピード承認>
 両社は今年2月に、来年10月をめどに合併するとの方針を発表し、5月31日に公取委に合併審査を申請。公取委は6月30日に1次審査を終了し、来年2月7日までに2次審査を通じて合併の可否を判断する予定となっていた。
 審査を担当した公取委の深町正徳上席企業結合調査官は「この規模の合併審査は通常1年程度かかるが、今回は届け出から半年程度で結論が出たことになり、早かったと思う」と述べた。要因は公取委側が迅速な審査に努めたほか、資料提供などで申請会社側の協力があったためと指摘した。
 ある外資系証券の鉄鋼アナリストは「承認は年明けだと思っていたのでスピードは想定以上だった」と語った。「生産設備の能力削減など踏み込んだ条件が含まれるかと思っていたが、テクニカルな条件にとどまったことも意外だった」という。両社は、統合後3年程度で年間1500億円の収益を改善する目標を掲げているが、「公取委からの条件が少なかったため、コスト削減計画の策定で会社側が主導権を握れることになったことも好材料。今後は1500億円をいかに上乗せできるかに注目している」(同アナリスト)と述べた。
 公取委の承認により、新日鉄と住金は合併実現に向け、大きなハードルを1つクリアしたことになる。両社は海外10カ国程度の独禁当局にも合併審査を申請しており、既に米国、ドイツ、ロシア、ノルウェー、ブラジルの5カ国から承認を得た。今後は残りの承認取得に向け、手続きを進める。
 国内での承認取得を受け、両社は「短期間のうちに精力的に審査を進めて頂き、各取引分野の競争実態を十分に踏まえた審査を行って頂いた」とのコメントを発表した。今後は具体的な統合準備をスピードアップし、来年4月の合併契約締結、6月開催の株主総会での承認を経て、10月に合併する予定。(ロイターニュース 大林優香;編集 宮崎亜巳)(引用:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111214-00000093-reut-bus_all 記事部分の著作権は配信元に帰します)