狐が笑う空の中
車の中でハンドルを握る
途中で買った缶コーヒーが
「ぬるい」に変わる頃
一通りの音楽を聴き終えた
静かなエンジン音
普遍的な不評
下手くそな想い
失って当然だ
鳴きながら動く車は
天と地の間を
スピードを出しながら
走っていく
張り付いた落ち葉
しがみつく理由に
火花散る



歩いている
色鉛筆の虹を
真っ黒に塗り潰す
鉛筆の芯を探しながら
ライターにオイルが無い
もう一つも
ガス欠ライター
お茶の空き缶を投げて
自分に帰ってくる
サッカーボールの先に
迷宮がある
夕陽は優しくない
あんなに赤いんだから


ハンカチを忘れた
前準備ができなかった
一日がアウトと判断する
完璧主義者ではないが
こだわり最前線主義者だから
今日は
頭の上にヒヨコだな
半分ピエロな気分
こんな日は
アルコールの日
炭酸で割って
飲み干す
忘れ物ごと忘れる一日
ふと気づく
隣の席にお一人様
カウンター席で
一人飲みの醍醐味
知らない人のやり取りは
宝探しゲーム
連絡先の交換と
次飲みの約束は
お酒の席の逆サイフォンの法則


握りしめた休日
部屋の掃除と時計
時間割りを頭に張り出し
心の中で指差し呼称
ニュースと新聞
香り立つミルクティー
ゆったり流れる風
玄関に鍵
海辺を歩く
二人で歩く
少し笑いながら
日常に存在する事を
許した存在に
なったんだって
気づいた日


価値観が変わるのは
二人で歩くから
見るモノが変わるから
気づかないモノを
お互いが見つけるから
驚きと笑顔の化合物
作り出したモノを
何と呼ぶか

今はまだ
このシフォンケーキに
甘えていたい
変化は
常に襲ってくるから
甘い砂時計は
いつか
ひっくり返るかもしれないけど