息苦しい
気管がつまって
気をぬいたら
向こう側へ
行ってしまいそうだ
喉元の
ヒューヒューは
死神の歌

座ったまま
夜を明かしては
他人の命より
自分の命が大切だと
つきつけられる
わかってるのは体の方か
死を拒否するのは体だから
喉元のゼーゼーは
命の削れる音

ただ大切だと思った
偽りは無いけど
信じてもらえなかった
ただ大切だと思った
それがいけなかった
今の人々は
心のどこかで
自分が他人と違う事を
望んでいる
恋愛でも仕事でも
生きていく方針でも
違う事を異常だと言い
違う事をたたえた
結局君のモノサシは
曖昧だった
ティッシュペーパーだけ
すり減った

できることが増えて
動く事が増えて
はじめて笑えたりする
はじめて明日を考えたりする
はじめて未来について
思ってみたりする
それを
息苦しいど真ん中では
できないんだと気づけるだろうか
部屋の中
座る事で
現状維持して
苦しい事を
立ち止まっては
受け流して

病気の先端は
いつも綺麗なんだと思う
明確な問いを与えられた
人間ほど考えて
考えて動ける

息苦しいど真ん中で
部屋の中
なるべく安全な場所で
生き残る為に
呼吸した
苦しく無いように
生きてる事を嫌いになって
生きてる事が楽しかった
そんな
気管支炎の夜