後一歩で落ちるのに
背中を押す奴がいる
前に進まなきゃダメだよと
背中を押す奴がいる
黒い沼地に堕ちて行くのは
理由はないが原因はある
人として生まれてこなければ
こんな感じ方もせず
早く死ねたのに

色が無いから目的が無い
目的が無いから明日が無い
明日が無いから今が無い
あったかもしれない昨日だけが
黒い泥水に変わる
黒い沼地に堕ちて行くのは
受け入れてくれないから
人が人でいるべき理由が
他の人より少ないから

色とりどりに彩られる世界が
無色に見えるのは
掲げた旗すら失くしたから
空っぽだった容器は
日々の生活で
透明になっていく
存在が無いように
なかった事になるように
世界から消されて捨てられる
リサイクルできないゴミが増えて
片づけようと人のリーダーは言う

黒い沼地に堕ちて行くのは
使えなかったから
頑張った結果の成れの果てが
腐った林檎だったから

黒い沼地に堕ちて行くのは
人の顔が見えないから
反応すら見ずに
自分の道を走ったから

黒い沼地に堕ちたくないのは
幸せになりたいから
幸せって何かわからないけど
今より元気になりたいから

黒い沼地に堕ちたくないのは
大切な人をみつけたいから
大切なのが何かわからないけど
隣に居ないとさみしいから

黒い沼地に堕ちたくないのは
僕が僕でありたいから
自分で自分を認めたいから
良い事も悪い事も僕なんだって思いたいから

黒い沼地に堕ちたくないのは
こんな世界だから
こんな世界に消されるくらいなら
こんな世界を消す為に何かをなしたって良いと思うから

人は黒い生き物だから
そんな人を可愛いと思えたら
いつもより丁寧に生きたら良い
ほんのちょっとだけそうできたらいいな