メーカー:KORG
型番:microKORG [MK-1]
製造年:2002年~(現行品)
[主な仕様]
音源方式:アナログモデリング
鍵盤:ミニサイズ37鍵
同時発音数:最大4音・シングル/2パート完全レイヤーモードあり
エフェクター:ディレイ・MOD(Flanger/Ensenble/Phaser)・2bandEQ
その他:アルペジエイター・ボコーダー搭載
製品情報:
http://www.korg.co.jp/Product/Synthesizer/microKORG/ おそらく世界唯一の「単三電池で動くアナログモデリングシンセ」。
同時発音数4音でマルチティンバー不可というのは最近のシンセにしては厳しいかな、とも思うけどそんなことどうでも良くなるくらいに良い音。
先発されヒットしたアナモデシンセ
MS2000 の中身をそっくりそのまんま(MODSEQ機能のみ非搭載)ミニ鍵盤ボディに突っ込んでパッケージング変えて「はい、新機種ですっ!」というスティーブジョブスも苦笑いしそうなこの作戦、フタを開けてみればその可愛いルックスと税抜き定価5万を切ったリーズナブルな価格設定に加え、アルペジエイターやらボコーダーやらも付いてるという事でライトユーザーや女の子にもびんびんとアプローチ。
結局発売から4年以上経った現在もバリバリの現行機種というロングセラーを記録してしまった。
楽器店のシンセ売り上げチャート上位にいまだに入ってたりするし、楽器店のみならずヨドバシカメラなんかにも普通に置いてあるくらいだし。
で、このシンセ具体的にどういう風に良いかというと
■出音がコッテリ なんだかよく分らないけどどんな音を作ってもコッテリした音になる。アナログシンセとしては基本中の基本な機能しかついてないのに。
ノコギリ波にほんのちょっとだけレゾナンスをかけつつカットオフを開くだけでやたらギラギラする。
このエッジの立ち具合はClavia 初代
nordlead のそれに近いものがある。もちろん全く同じじゃないけど。
波形の素音はそんなに尖がってる訳じゃないんだけどなぁ。
■レゾナンスが綺麗 レゾナンスの乗りがめちゃめちゃ良い。ソフト・ハード含めて世に出ているアナモデシンセの半分以上は、レゾナンスのかけ方や音量に気を使わないとすぐ「ピー!バリバリバリ」と割れるものが多いけど、こいつは実に気持ち良くレゾナンスが鳴く。
発振させたままカットオフを上げて可聴外域に振り切れる瞬間まですごく綺麗に伸びてくれる。
D/Aが良いのかスペック以外のところでの努力があるのかよく分らんが、これも
nordlead のキャラクターと非常に近い感触。不思議だなぁ。
このフィルターとレゾナンスのおかげで、デジタルなんだけど絶妙にレトロで有機的な音色が作れる。
最近
MS2000 の後継的に出た
radias とはまるで正反対のチューニングになってると思う。
■やっぱりデザインが良い チープなミニ鍵とピンクに光るボタン、80年代的な配色にサイドウッドを取り付けた懐古的なルックス、賛否両論あるけど僕は好きだ。
確かにミニ鍵のタッチは最悪。白鍵がカパカパで黒鍵がボワンボワンだからこの上なく弾きにくい。
でも標準鍵盤にしてたらこのデザインは破錠してたな。ツマミ類も昔のエフェクターみたいで良し。
■エフェクト類が意外と充実 ディレイやコーラス系など基本エフェクトばかりだけど、Ensembleという往年のKORGシンセ必須エフェクトがついているのが嬉しい。
これをかけるとストリングスやパッドがいきなりリッチになる。ユニゾンがかってしかも感触がやわらかくなる感じ。
あとアンプ部にはディストーションがついてて、ON/OFFしか出来ないながらもなかなかうまいセッティングになってる。
そして特筆すべきは2バンドEQ。これはものすごく重宝する。音作りした後にベースなら低音を、リードなら高音をちょっと足して仕上げたり、ライブ中に耳ざわりな音域が出ている時にカットしたり。
安いからあんまり良い部品使ってないんだろうけど、こういう機能でチープさを補ってるから出音で他の機材に負けないんだと思う。
逆に悪い点もいくつか。
■モード切替がダイアル式 エディットツマミが5つしか無いからページ切り替えはかなり頻繁にするんだけど、これがガチャガチャダイアルなんで使えば使うほどわずらわしくなる。
しかも液晶画面も無いからダイアルをいじりたいモード(FILTERとかAMPとか)に合わせたあと、パネルのマトリクス表(文字がすごく小さい)を見て
「えーとフィルターの時にはこのツマミはどんな機能だったかな?」
と確認しながら回さないといけない。
確かに良く使う場所は段々覚えるけど、こんなのマトリクス表の左端にずらっとランプつけて、上下ボタンで切り替えた列のランプが光るようにすればもっと使いやすいのに。
これは絶対コストじゃなくて見た目優先でダイアルにしてるんだと思う。残念。
■ツマミ数値を元の場所まで戻さないと音色が変わらない これが一番問題。メーカーいわく「パラメータを切り替た後につまみを動かした時、位置と数値のズレから急激に音色が変わるのを防ぐため」だそうだ。
そのためパラメータ表示されてる数値の位置までいったんツマミを動かしてからじゃないと、その部分の音作りを開始できない。冗談じゃないって。
これは「SHIFTボタンを押しながらつまみを回すとダイレクトに数値を変えられる」とか、またはその逆でも良いから絶対修正して欲しい。
ソフトのバージョンアップでなんとでも出来る問題だし、ライブなんかでもこの一手間がほんとにわずらわしくてイライラするから。
そのくせ音色切り替え直後にツマミにアサインされてる機能(カットオフやレゾナンス)はダイレクトに変化する。開発のポリシーがいまいち統一されてないような…。
という訳で文句も書いたけど総合的には90点!4パートマルチだったら120点あげてたかも。
ところどころに書いたけど、出音が初代
nordlead によく似ているのにビックリした。
定価で5倍ほども違う楽器なので甲乙つけられるレベルじゃないけど、恐らく開発陣はNordを相当研究したんじゃないかと。
とにかく耳障りで不快な要素を極力排除した上でコッテリギラギラした音が出るという、ある種理想に近い形のシンセなんじゃないかと思う。
安いし置く場所もとらないので思わずもう一台欲しくなる楽器。