こんな様で73回目の誕生日を迎えるなんて正に最悪。悪夢であれば時間と共に元に戻れるのだが。昨年5月に狭心症を発症。その治療過程で黄疸になり、地獄を見た。

とにかく痒かった。いまにして思えば、痒さだけで片付けられれば小さい事です。でも、現実の俺は毎日命を懸けて一世一代の勝負をしている。

8月、弘大附属病院ですい臓ガンステージⅢ、手術不可、余命六カ月の最終診断。こんな残酷なことがあるかよー！覚悟は出来ていたつもりだったが、淡くも崩れ去った。一瞬、思考停止状態。「頭の中が真っ白」とあのような状態なのか。

当時はすい臓の位置さえも分からず、病気に対して全く無知でした。只々、「なんでだよ」とネガテイヴに思う毎日。そんな時、偶然YouTube で「すい臓がん治療」を目にし、前向きに考えるようになった。

それ以来、俺のデスクトップ、妻のラップトップ、居間の55インチテレビのYouTube で毎日すい臓がんの勉強に没頭してきました。

二人の結論は、標準治療（外科手術、放射線治療、抗がん剤治療）を受けることで一致。理由は、保険適用範囲内でのガン治療に専念するということです。

最近は、様々な免疫療法がネット上に氾濫しています。うたい文句から言えばつい魅かれてしまいがちですが、莫大な費用を要します。しかも、治験数とその効果には科学的根拠が乏しいためオプジーボ以外は保険適用になっていません。

高いお金をかければそれなりの効果が出る人はいるかもしれません。でも、俺は70歳を超えて所得はゼロ。抗がん剤治療で最大限の効果を上げる方法を選択した。

最終的に行きついたのは、賢い患者になることでした。患者力を磨くことです。主治医の言うことに「先生に全てお任せします」では決していい結果は出ないでしょう。主治医と対等に話し合い、よく理解した上での治療方法を選ぶべきです。

YouTube はあらゆる分野を網羅しており、その中に「公開セカンドオピニオン」があります。現役の腫瘍内科医が懇切丁寧にガン治療法を説明しています。また、その場で各患者の病状と今後の対策等を指導してくれるという画期的な番組です。

この番組は、すい臓ガンだけではなく、すべての分野を対象としており、とても参考になります。もちろん、ワイルドライフ、スポーツ、ロック、政治・経済問題等何でもありです。

平成25年以降製造のテレビでは、YouTube や映画専門チャンネルのNetflix が装備されており、音声検索も出来ます。例えば、テレビに向かって、「がん治療」と言えば、様々なガンの治療方法を解説する番組名が出てきます。

但し、活用するには設定が必要になりますので、IT に詳しい人か有料ですが販売店の人にお願いする方が良いでしょう。

俺の通院している総合病院には、ガン専門医がいません。だから、教室で習ったマニュアル通りの治療しか期待できない場合が多いと思います。

そこで大事なのがガン専門医との個人面談です。これをセカンドオピニオンと言います。CD-ROM に画像等を収め、病歴等の書類を持参しての個人面談になります。通常、診察はありません。保険適用外ですので、一般的には、30分で20,000 円位でしょう。ガン治療を始めたら是非セカンドオピニオンをお勧めします。

俺の主治医は、若くて美人の女医さんです。考え方に柔軟性があり、俺がセカンドオピニオンを申し込んだら喜んで手続きをしてくれました。かなり嬉しかったですね。

12月11日、大阪大学医学部付属病院ですい臓ガンの専門医と1時間面談しました。今後の戦略的治療方針が中心で、結論は現在の主治医とかなり近く、主治医に対する信頼感が増したと妻と一緒に喜んだものです。

結果は、文書でまとめ、主治医に提出しました。これは、後日公開できると思います。もちろん、阪大の専門医からも主治医宛てに文書で報告がされているはずです。おこがましいことですが、このような経験を経て若い医師が育っていけば、これほど嬉しいことはありません。

全ての病気に共通していると思いますが、主治医と良好なコミュニケーションを維持することは治療効果に大きく影響すると思います。俺の場合は、診察の前に質問用紙1枚とエクセルで作成した26項目にわたる体調管理表を提出しています。

最初は、あまり関心を示してくれませんでしたが、最近は、特に体重の増減、食欲、胸・腹痛、排便等を丁寧に確認して、投薬への配慮をしてくれます。

昨年の9月10日からTS-1 という抗がん剤を服用しています。効果はすぐに数値として現れ、ガンの深刻度を示す目安の一つ腫瘍マーカーCA19-9 が、8月の883 から11月には108まで下落しました。

ただ、悲しいことに、TS-1 の効果は約4カ月と言われており、直近の腫瘍マーカー数値は190まで上昇しています。もう次の抗がん剤に切り替える時期です。

28日から2週間入院して次の抗がん剤フォルフィルノックスを点滴方式で受けます。副作用がかなり強く、患者には超難敵という噂ですが、頑張るのも俺の仕事の一つと認識しています。

最後になりますが、他のガンは別にして、すい臓ガンの生存率は極めて低く、治るとか治らないとかの次元ではありません。

大事なことは、現在のQOL(生活の質)を維持してどれくらい生き延びられるかです。これは延命治療とは全く違います。俺の場合は、幸いにも治療の選択肢がまだ2つ残されています。

ガン治療は、基本的には在宅療法になっているので、家族の絆が治療の効果を大きく左右すると言っても過言ではありません。南国出身の妻と二人三脚でこの難局を乗り越えようと必死に取り組んでいます。このブログを読み、皆様から率直なコメントを頂ければ大きな励みになります。今後ともよろしくお願い致します。

余命半年をしぶとく生き抜いています.