2018年2月10日に開催された「⻘森流テレワーク −地方での稼ぎ方&暮らし方−」に参加してきました。

 

⻘森流テレワーク −地方での稼ぎ方&暮らし方−

http://www.aoit.jp/8857.html

 

もともとの背景を簡単に説明すると、2014年9月に青森・弘前で実施された「プロに学ぶ、電子書籍出版の前に考えるべきこと」にお声がけいただいたのがきっかけでした。そのタイミングで自分の業務である電子出版事業での制作チームの一層の強化という課題と、青森県での新産業創成という課題がうまくマッチし、青森県が実施した「平成27/28年度ギルドモデル実証業務」に、大浦さん、蛯名さん、古川さん、本田さんをはじめとしたAOIT(NPO法人あおもりIT活用サポートセンター)の皆さん、そして青森の皆さんと一緒に取り組みをスタートすることができました。

 

戦略的ニアショアの形成に向けたモデル実証企画を募集します!

http://www.pref.aomori.lg.jp/sangyo/energy/H27guildmodel.html

 

 

こういう背景から、技術評論社としてはAOITを取引先としたニアショア的な展開をしながら、前述の制作チームの一層の強化を目指したというわけです。ちなみに、当時から現在も、弊社の電子出版物の制作に関しては、リ・ポジションさんがエース的なポジションとして全面サポートしていただいており、このときは+αの人材育成という面からAOITさんとの取り組みに至りました(なので、この実証企画にもリ・ポジションさんにはご協力いただいております)。

 

ということで、2015~2017年までの実際の業務、実状、成果、課題といったあたりについて、今回の「⻘森流テレワーク −地方での稼ぎ方&暮らし方−」でお話してきました。

 

ちなみに現在の体制は以下のとおりです。

 

 

成果としては、現在25タイトルの制作を発注し、ギルドメンバーも9名まで増えていて、ようやくスタートラインに立てたと感じています。その最初のフェーズの区切り的にも、今回お話させていただけたのは自分としても非常に貴重な経験となりました。また、電子出版に関わる身として、まだまだ足りていない、電子コンテンツ制作人材が少しでも増えたのではないかとも思っています。

 

ちなみに青森の電子書籍制作ギルドは弊社専属ではなく、今後は幅広く展開していく予定もあるとのことです。もしご興味のある方がいらっしゃいましたら馮までご連絡ください。おつなぎいたします(あるいはWebページ経由で直接アプローチしていただいても問題ないです)。

 

■テレワークとコミュニティについて考えた

さて、今回、テーマはテレワークではあったものの、自分自身がテレワークをしていたわけではなく、青森県内のAOITを中心としたギルド内でのテレワークを活用したものでした。このように、単純に企業内のテレワークだけではなく、業務全体の一部だけテレワークというように、一口にテレワークと言っても、さまざまなケースが当てはめられるということを身をもって知ることができました。

 

このように、テレワークそのもののが多様化しているにはいくつか要因があると思っていて、今回の例で言えば2つのポイントが挙げられます。

 

1つは、何と言ってもインターネット。インターネットがこれだけ発達し、本当に身近に使えることになったおかげで、さまざまな面で物理的距離を縮めることができています。とくにコミュニケーション部分はネットの有無で大きく違うと、僕は思っています(もちろんネットがすべてではないですが)。

 

もう1つ、今回のここまでの成果に繋がった要因と僕が考えているのはコミュニティの存在です。

 

 

今回の場合では、AOITという存在がその核となり、組織(技術評論社)―組織(AOIT)という構図に加えて、AOITを核とした青森県内のコミュニティが生成されている結果、たくさんの方たちが参加できている状況になっていると思います。見方を変えれば僕自身もAOITのコミュニティに、ある種のテレワークで参加させてもらているわけで、東京都内だけでは接することができない人やコトにも出会えているのです。

 

このあたりについては、2年前に書いた「コミュニティやネットワークのことについて考えてみた」でも書いているとおり、おそらく自分自身の永遠のテーマになりそうですが、今回のAOITとのギルド事業で得たテレワーク活用の知見としては、「コミュニティ×ルール」ではないかと思っています。

 

 

インターネットがあたりまえとなり、インターネットを活用したツールがどんどん登場し、便利になっていくと、その一方で、コミュニケーションも多様化し、スキル差・価値観の差が増えていきます。結果として、インターネットの弊害としてのディスコミュニケーションが起きる危険性もあるわけです。

 

今回のギルド事業では、ツールとしてはサイボウズライブを使いながら、関係各位に対して、緩いルールをつくったことで、大枠が外れないよう、1つ1つの案件を進めることができたように感じています。

 

こういった話は、エンジニア系イベントに行くとけっこう「あたりまえ」となっている傾向が強いように思うのですが(あくまで主観で)、実はそれはまだまだレアなことも多いような気がしていて(たとえば、業務ではなく、自分のプライベートのつながりではまだまだネットを使う人ばかりではないですし)、だからこそ、最初の段階で押し付けない程度のルールを用意しておく、ルールを整備しておく、というのがとても大事だと、改めて痛感しました。これって、mixi全盛期のmixiコミュニティにも通じる世界観なのかも。

 

少し飛躍して、今話題のブロックチェーンの仕組みが人と人の関係にも浸透していけば、原理的にはコミュニティやルールなどの補足的な要素はいらなくなるかもしれませんが、おそらく僕が生きている間は、人と人の関係性でそれは無理だと僕は思っているので、核となるコミュニティと核を支える緩いルールという観点から、コミュニティについて考えたり、実際に参加していこうと思っています。あとはコミュニティ間のゆるいつながりなども。

 

話を戻して、今後、もし自分自身がテレワークする側になったときは、ネット活用、コミュニティ、そして、緩いルールを意識したいと思いました(とは言え、まだまだテレワークよりはオフィスで働くほうが心地よかったりもするのですがw)。

 

■テレワークの事例はまだまだたくさんある

だいぶ余談が多くなりましたが、今回のイベントそのものもすごくおもしろかったので、最後にその模様を簡単にご紹介します。

 

まず、僕と同じく本イベントにスピーカーとして参加されていた、株式会社タービン・インタラクティブ / 株式会社リチャージの代表取締役でもある志水哲也さんのお話から。もともとは名古屋を中心としたWebマーケティング、クリエイティブ、システムを受託する企業を経営されており、その後、「働きごこち」に着目し、2013年にリチャージを設立されています。

 

 

現在、タービン・インタラクティブ / リチャージ両社を合わせて3拠点(名古屋・東京・宮古島)がある中で、まさにテレワークを実践しているわけです。とくに、リチャージでの宮古島の展開は、IT/Web企業のテレワーク最前線の1つで、たとえば、業務そのものだけではなく、ライフスタイルとしてみた場合のテレワーク、具体的には社員の皆さんと地元の方たちとの価値観の差、その上で、外部から行った人が地元の人と暮らしながら働いていくには、といったあたりについては、まさに体感した本人たちでしか得られないお話で、臨場感もあり、参考になりました。改めてじっくりお話したいですし、ぜひ一度宮古島オフィスにお邪魔して、現場を体感させていただけたら嬉しいです。

 

志水さんと自分のセッションのあとは、AOIT理事長の大浦さん、さらに、イベントに参加していた株式会社ソニックガーデンの倉貫さんも急遽登壇し、4名で「テレワーク」を大きなテーマにしたトークセッションを実施しました。

 

倉貫さんは、現在オフィスを置かない、全社員リモートワークを実現している企業の代表でもあり、以前、WebSig24/7「Webディレクター必見!プロジェクトを成功に導く、オンラインツール活用トラノマキ2014」でご一緒した方でもあります。他にも10年ぐらい前には当時担当していた雑誌の記事企画でお世話になったりと、いろいろとご縁があります :-)

 

 

トークセッションは前半の個別セッションからの展開のほか、参加者からの質疑からトークを広げるフリースタイルでの実施でした。とは言え、トークのポイントはやはり、今回のイベントタイトルにもある「稼ぎ方」の部分。正直、僕も話す側ではなくて、聞く側に周りたいところですがw、稼ぐためには、やはり先行者になることは大事なのかな、と自分自身の体験や他のスピーカーのお話を伺って感じました。

 

それと、個人的に印象に残ったのが、倉貫さんがおっしゃっていた「業務ハック」というスタイル。この業務ハックとは、その名のとおり、業務をハックするわけですが、もう少し噛み砕いて言うと、「ネットやITを活用して既存の業務を効率化すること」です。言葉にすると、あたりまえのことなのかもしれませんが、実際問題、まだまだそれを実現できている状況が少なかったりもするわけで、とくに、IT分野ではない、確立された既存産業ほど、そういう可能性、いわゆるビジネスの伸びしろがあると思いますし、そこは、地域関係なく稼ぎどころにもなりそう。実際問題として、さまざまな産業でますます進化していくように思います(スキル的な観点だけではなくて、経験的な観点からも)。

 

また、これは僕の感覚ではありますが、業務ハックの幅(扱える広さ)は、東京よりも、それ以外の地域の方が、その伸びしろが大きいようにも思いました。ただし、規模感にかかわらず、その伸びしろを、東京から奪いに行くというスタイルではなくて、各地域地域で醸成され、成長できるようにするにはどうすべきか、東京で働く身としてはどうやって関係性を持てばよいのかなど、いろいろと考えさせられましたし、考えていきたいです。

 

■青森小惑星群計画テレワーク拠点オープニングイベント

もう1つレポートを。前日の2月9日には、弘前市のワークスペース・シフトにて、青森小惑星群計画テレワーク拠点オープニングイベントが実施されました。

 

 

 

このイベントは、総務省が実施した平成29年度予算ふるさとテレワーク推進事業にて採択された「青森小惑星群計画」のオープニング企画で、先ほど紹介した「⻘森流テレワーク −地方での稼ぎ方&暮らし方−」の会場にもなった、コワーキングスペース「Gravity CO-WORK」の設立や、「ワークスペース・シフト」整備の基盤にもなったものです。

 


森本登志男さんによる基調講演「地域活性化とテレワークのこれから」も面白かったです。

 

 

今度、森本さんの本も読んでみよう。

 

 

懇親会では、エンジニアの傍ら、料理人の顔を持つ古川さんご夫妻による手料理(めっちゃ本格的でした)が振る舞われるなど、テレワークだけではなく、働き方の多様性についても体験できたイベントとなりました。

 

 

 

こちらの様子は、翌日の陸奥新報さんでご紹介されていました。

 

 

以上、1年3ヵ月ぶりに訪問した青森・弘前。2泊3日という短い時間ではありましたが、自分自身が関わっている電子出版事業はもとより、その先について、考えるきっかけとヒントが見つかり、新しい方たちとも出会え、そして、また、皆さんと次のフェーズに向く次の一歩が踏み出せたように思います。

 

青森というと、そうそう頻繁に訪れるのは難しいかもしれませんが、今回のテーマでもあるテレワークの良い部分を活用しながら、継続して取り組みを進めていきたいと思います。

 

■おまけ

弘前、青森、それぞれで食べたランチが美味しかったのでこちらも記念に。

 

まずは弘前。豚バラ肉がトロトロに煮込まれたホットカレー。美味かった!

 

 

カレー&コーヒーかわしま

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続いて青森。こちらは焼き干しによるスープの出汁が最高でした。

 

 

くどうラーメン

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その他、夜の部(食べ物編)は後日改めてまとめる予定です :-)