待ちに待った特別展『深海2017 DEEP OCEAN』。先週7月11日に国立科学博物館で展示がスタートしたのでさっそく行ってきました。
 

深海2017-DEEP OCEAN-

http://shinkai2017.jp/


まず結論から言うとかなり見応えあり、前作とはまた違った構成の展示が多数あって、本当に行って良かったと思える特別展でした。

 


 

ということで、ネタバレがあまりない感じで個人的な感想と見どころをご紹介します。

ちなみに2013年のときの感想はこちら(mixi日記)に。


■全部で6つの章から構成
今回は全部で6つの章に分けて会場が構成されていました。

第1章:深海とは
第2章:深海と生物
第3章:深海と巨大災害
第4章:深海と資源
第5章:深海と地球環境
第6章:深海を調査する機器

前回と大きく違うと感じたのは、生物からのアプローチ以外の部分にもたくさんフォーカスを当てていたところ。3~6章はかなりアカデミックな内容が多数含まれていて、これだけ切り取っても(個人的には)十分楽しめる内容でした。

とは言え、やっぱりまずは第2章の「深海と生物」。

前回と同様に、ダイオウイカの標本の展示があったほか、世界最大級のサメと言われているオンデンザメの標本も展示されていて、たくさんの人が足を止めて見学していました。

 

 



それから各種甲殻類や深海魚などなど、あまり目にしたことのない生き物たちの標本も。こういうものを観ると、地球にはまだまだ人間が知らない部分がたくさんあるんだなーと思うのと、深海奥底にまた違った生物たちの世界があるんじゃないかというワクワク感が感じられました。
 

 


 

これは深海を調査・撮影するランダー(自立型ロボット)。

 

 

カメラはこんな感じの球体の中に入っていました。これで海底の映像を記録していくわけですね。

 


それと!

 

今回撮影禁止になっていたのですが、テキストのみでもぜひ紹介したいのが「セキトリイワシの不明種の標本」。会場にはその標本と採集した様子、現在の調査の進捗について展示されていました。

 

その不明種は、サイズ的には約140センチほど。調べてみたところ、セキトリイワシ科の魚類は水深1,000メートル以深に生息する深海魚で、この不明種は最近見つかり、まだどの種なのかわからないもので、現在調査と論文作成を進めている段階だそうです。そのため撮影禁止となっていましたが、はやくすばらしい論文とともに、世界に向けた大発見の発表につながってもらいたいものです。

個人的には、この展示を観るためだけにでもぜひ会場に足を運んでもらいたいと思うものでした。なんたって、こんな状況の標本なんてめったにないですからね!

その他、個人的に興味深かったのは入ってすぐにあった生物発光シアターや水深ごとの深海生物図鑑あたり。

 

 

 

それと、4Kシアターでは南極の深海の映像を観ることもできました。

 


 

ちなみに、それに限らず、会場内の映像関連はすべて撮影禁止。ですので、ぜひ会場で(これもまた1つ1つじっくり観るだけで楽しめました)。


さて、先ほども書いたように、第3~6章では、生物以外の観点からの深海について紹介されています。

第3章は深海と巨大災害、とくに、ここ日本では忘れることができない3.11について、深海部分では何が起きていたのか、その結果、何が起きたのかなどについて、当時の状況をもとに、説明がなされていました。

 


東日本大震災については、自分自身、少しでも知ろうと思って現地に足を運んだり、関連の記事や書籍、また、ときには実際の被災者の方のお話も聞いていた中で、改めてこのような津波のメカニズムについて触れることができたのは貴重な体験でした。

 

あまりうまい表現ができないのですが、少なくとも津波に関しては、もし起きてしまったら人力では防ぎようがないので(と今回の展示を観て思ったので)、とにかくまずは高い場所に逃げることが大事だと改めて思いました。



その他にもリアルタイムでの深海での震度計測とモニタリングなども見学することができ、これまた普段知ることができないもので、個人的に興味深かったです。

 

ちなみにこの下の展示は各種災害後の堆積物の様子。これらを調べることで、どんな自然の動き・災害があったのかを調査するとのこと。

 


あとは第4章の深海と資源。

 

 

ここ日本は資源が少ないとは言われていますが、領域境界にある各種島々の海には実は多数の資源が埋まっていると言われていて、だからこそ、領土問題のようなことも起きるんだろうな、と。このあたりは科学だけで観るのもおもしろいのですが、(ちょっと大きな話題になりますが)その先にある国家間の問題みたいなところは知っておいても良いと思いました。
 

これが深部探査船「ちきゅう」の模型と仕様。

 

 

 

第5章の深海と地球環境の変化では、先ほどの災害の章や資源の章の延長的な意味合いもあって、地球そのものの変化について、深海の調査から紐解くというアプローチの展示がされていました。

 

こちらについては、先ほどもあったような堆積物から調べるということでいろいろとわかるようで、先日読んだこの本にも通ずる部分があって、かなり興味深かったです。

 

 


最後の第6章の深海を調査する機器については、童心に戻って、機械の操縦席を見学できたり、縮小モデルが展示されていたりと、ロボット好きにはたぶんたまらないんじゃないかと。

 

 



それと前半に展示されていた江戸っ子1号。このプロジェクトには母校芝浦工業大学も参画していたこともあって気にはなっていたのですが、今回、実際に観ることができて良かったです。

 

江戸っ子1号

http://edokko1.jp/

 


ということで、ざっと駆け足で内容と個人的な見どころをまとめてみました。

自分自身、深海は大好きで、とくに人間が知らない世界がまだまだ残っていると言われている部分に惹かれます。今回の展示は、その不明な部分について、専門知識がなくても楽しめるレベルでアカデミックなまとめ方をしてくれているように思っていて、より一層興味を強く持ちました。

 

こちらにもこのように書かれていて、まさに深海の多様性を具現化した展示だったように思います。僕自身、前回とは「別物」と感じた展示内容でした。

 



ちなみに、前回の深海は夏休みの平日に有休を取って行ったにもかかわらず入場規制があったので、今回もメチャ混みかなと思いきや、開催直後かつ今回の展示は金曜・土曜は20:00まで延長開館ということの、土曜の時間帯に行ったので思ったよりは少なかったように感じました。

が、やっぱりゆっくり観られなかったので、9月中旬ぐらい、学生たちの夏休みが終わった後の平日昼間に休みを取ってもう1回行ってみようかな :-)

写真は土産物売り場で売っていた、デメギニスのぬいぐるみ。暗くすると光るらしいw