nihon((c)いらすとや

昨日こんなニュースが出ました。

国勢調査で人口減少 調査開始以来初めて
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160226/k10010422431000.html

ここ数年,いや2000年に入ってからすでに取り上げられていた日本の問題がまさに数字として出た結果でした。

個人的にも日本の人口減少については考えるようになっていて,とくに2010年にWebSig1日学校を運営してから意識しはじめ,2011年の3.11,その後の仕事などから年々意識が強くなりました。

ちなみに国立社会保障・人口問題研究所の調査によればこの先も以下のような推移が想定されています。

人口ピラミッドデータ
http://www.ipss.go.jp/site-ad/toppagedata/pyra.html

サンプルとして2020年,2030年,2060年の構造をピックアップしてみると。

2020

2030

2060

年月が経つにつれて上部に面積の大きい部分が増え,総面積が減っているのがわかります。つまり,人口増加はせず,現状の人口がそのまま歳を取るということです。

この点についてはさまざまなところで議論されているのですが,個人的に気になっているのが,今の時代(大人数向け)の仕組みが,少子高齢化が進む日本に当てはまるかどうかということ。

具体的には,僕たち第2次ベビーブーム世代が60歳なり,70歳になったとき,高齢の人間はある程度のボリュームをキープしている一方で,今の自分と同年代(40歳前後)となる人口数の比率は(自分たちの世代の同時期と比較して)確実に減るわけです(移民などを受け入れない限り)。

となると,現状の大人数に合わせてつくったさまざまな仕組みというのが当てはまらなくなるという,今言われているいわゆるリソース減少(労働力減少)とは違った観点の課題が出てくると思っています。

ちょっと話が逸れますが,同じくこの先に起こりうるであろう課題として,最近「20年後に無くなる10の職種」とかそういう切り口の記事をよく見かけます。おそらくこれってIT/ネットの進化による人間の行動の置き換えに起因するケースがほとんどで,かなりの確率で起こることが多そうです。ただ,個人的にはメディアのあおりが強過ぎるような気がしていて,必要以上に悲観的に考えるより,当事者意識を持っていればある程度解決ができるんじゃないかと少々楽観的に考えています。

一方で,先ほど書いたような「今の大人数に合わせてできた仕組みをどう扱うか」というのは個人レベルでどうこうできることでもないと思っていて,一人一人の意識はもちろんのこと,それに加えて,組織的な見方で考えて行動しなければいけないかな,と。そして,その課題解決には,IT/ネットがすごくマッチすると思っていますし,それによって職業が減るのではなく,逆に新しい職種を生み出せるとも思っています。

そういったいろいろなことを考えている中で,個人的にポイントと考えているのが,
・コミュニティ
・アクティブ率

の2つです。

コミュニティというのは僕のブログでもちょいちょい書いていますが,自分とその周りの付き合い・関係性から生まれる集団の在り方のこと。会社だけとか,家の近くだけというコミュニティだけではなく,オンラインコミュニティによる新しいコミュニティの存在がすごく重要だと思います。

2016年現在,自分の周辺で考えてみると,自分の上の世代,たとえば両親にとってのコミュニケーション手段は電話が主で,今後そんなに積極的にメールやWebなどを使うことはないと思っています。次に,僕と同世代では,ネットバリバリの人間もいれば,一部ネットという人もいてけっこう混沌としたコミュニケーション環境になっているように思います。さらにその下の,たとえば学生世代は,それなりのボリュームでネットコミュニケーションがあたりまえになっていると感じています。

つまり,今はコミュニケーションの在り方と変化の過渡期であり,それぞれの世代である程度分断できているのですが,この先10年,20年で考えると,少子高齢化とともにオンラインコミュニケーション,さらにはオンラインコミュニティが主流になるんだろうな,と思います。このあたりについては,自分の体験とともにブログなり,何かの形でアウトプットしていきたいです。

そういうことを考えながら読んだこの2冊の本がとても参考になりました。

コミュニティを問いなおす ――つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)/筑摩書房


多縁社会―自分で選んだ縁で生きていく。/東洋経済新報社


もう1つのポイントと思っているアクティブ率。

これは,次の本に書かれていた「縮充」という,著者の山崎さんが提案する考え方が参考になりました。「縮充」とは,仮に総人口が減ったとしても,アクティブな人の数を維持あるいは増やすアプローチをすることで,大人数で成立していたさまざまな仕組みを継続して続けていけるという考え方です(山崎さんは人口減少を課題とする街を例に紹介していました)。

これって街だけの話じゃなくて,会社や組織,広くは国単位でもあてはめられそうな気がしています。

ふるさとを元気にする仕事 (ちくまプリマー新書)/筑摩書房


以上,ちょっと発散しましたが人口減少とネットコミュニティ&アクティブ率の関係について思うことを書いてみました。

ここ10数年,とくにIT/ネット関連のオンラインコミュニティの登場を自分の眼で観て,実際に参加したり,また,オンラインからオフラインのアプローチなどを体感してきた立場としては,このあたりをうまく形にして,さらに自分と違う属性の方(年上・同年代・年下)と共有できると,今,課題と言われている日本の少子高齢化のちょっとした課題解決に繋がるんじゃないかなーと,思っています。

その意味で,今,仕事で関わらせていただいている早稲田塾さんの塾育プログラム「シリコンバレーITプログラム」は自分にとっても非常に貴重な場で,まずはここをきっかけにイマドキの中高生たちと考え,取り組んで行きたいと思っています(こちらの内容についてはプログラム終了後にまとめます)。

今後も,日本の少子高齢化,IT/ネットなどは,日本で住む立場としてきちんと向き合わなければいけないことだと思っているので,引き続き,自分の考えを書いたり,実際にいろいろ行動していきたいと思います。