7月6日から横浜美術館で開催されている『プーシキン美術館~フランス絵画300年』。

プーシキン美術館~フランス絵画300年
http://pushkin2013.com/

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-横浜美術館

今回,ウインダムさん主催の夜間特別観覧会に応募したところ,見事当選したので行ってきました。ブロガー向けイベントということで,ブロガーではない自分でもいいのかなと思いつつ:-p

ウインダムさんの企画では,今年の頭に開催された「【史上初!のWEBイベント『2013美術展を語る』】」にも参加しました。そのときの様子はこちらのエントリで。

クローズドなネット空間でのリアルタイムコミュニケーションが生み出す“体験”と“場”
http://ameblo.jp/tomihisa18/entry-11468674511.html

さてさて。

会期初日の7月6日の夜,しかも,自分が好きなポップアートではなくてフランス絵画という個人的には珍しい感じでの美術館鑑賞となりましたが,感想から言うとすごく良かったです!

ということで,今回は『プーシキン美術館展』鑑賞記をお届けします。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-プーシキン美術館展

■まずは見どころを写真とともに
ブロガー向けと謳っていることもあり,今回は特別に撮影がOK!これは,この夜間特別観覧会参加者特典として用意されているものなんですが,皆さん本格的なデジ一を使っている方もいれば,僕みたいにiPhoneのカメラを使う方,あるいは写真は撮らずに自分の眼で楽しむ方など,いろいろな方たちが参加していました。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-観覧会

せっかく写真を撮らせてもらえたので,まずは写真とともに今回の展示作品のご紹介から。

ちなみにこの展覧会は全4章構成。時代とともに章が分かれています。

第1章:17-18世紀 古典主義,ロココ
第2章:19世紀前半 新古典主義,ロマン主義,自然主義
第3章:19世紀後半 印象主義,ポスト印象主義
第4章:20世紀 フォーヴィスム,キュビスム,エコール・ド・パリ


それではさっそく。

まずはこちら。この展示会の主役でもある,ルノワールの『ジャンヌ・サマリーの肖像』(第3章)。柔らかいタッチ,可愛らしい色使いが印象的です。当時,こういうピンクを使うってことは相当インパクトが大きかったんだと思います。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-ジャンヌ・サマリー

もう1つ,こちらも主役と言えるドミニク・アングルの『聖杯の前の聖母』(第2章)。後述する横浜美術館主任学芸員松永さんのレクチャーで,事前にこの絵画が描かれた背景などを聞いていたので,そのあたりに意識を持ちながら観ることができました。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-聖杯の前の聖母

それからこちら。モネが描いた『陽だまりのライラック』(第3章)。これも事前のレクチャーで知ったのですが,印象派というカテゴリが生まれた1874年の前年~前々年に描かれているにもかかわらず,確実に「印象派」の特徴である,光の動き,変化の質感を表現しているのが特徴だとか。なるほど。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-陽だまりのライラック

その他,いくつかピックアップします。

『バレエの稽古』/エドガー・ドガ
『パイプをくわえた男』/ポール・セザンヌ
『医師レーの肖像』/フィンセント・ファン・ゴッホ
『エイアハ・オヒパ(働くなかれ)』/ポール・ゴーギャン

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-エドガー・ドガ 馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-セザンヌ

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-ゴッホ 馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-ゴーギャン

これらすべて第3章で,個人的に第3章ゾーンが一番の見どころだと思います。

ちなみに第4章に関しては撮影禁止とのことで,写真はないです。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-撮影禁止

マティスやピカソなど大御所の,作風が切り替わる前後の作品があるなど,こちらも見どころいっぱいです。

今回のプーシキン美術館展を解説したビデオ放映も。約9分にまとまっています。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-ビデオ

■ためになるレクチャー
今回の夜間特別観覧会。撮影して,こういう風にブログに書けるというのは1つの特徴ではあるのですが,個人的に良いなと思ったのが,鑑賞タイムの前に設けられた事前レクチャーです。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-松永さん

先ほどもちょっと触れましたが,横浜美術館主任学芸員の松永真太郎さんが講師となって『プーシキン美術館展』の基礎知識について,ポイントをかいつまんだ30分ほどのレクチャーを実施してくれました。

せっかくなので少し紹介させていただくと……

まずこの展示会自体が,実は2011年4月に開催予定だったのが,3.11による影響で,作品の発送が行えず(発送は2011年3月15日予定だったそうです),その後の協議で中止という発表になってしまったとのこと。
それから,改めてロシアサイドとの交渉が進み,今回の開催に至ったそうです。2年前と同じく,横浜,名古屋,神戸での開催が決まり,同じ内容,同じ作品で構成したそうです(美術館の都合で,名古屋開催が先になったそうです)。

このような開催の背景から,プーシキン美術館の説明,たとえば収蔵点数は全部で65万点!あるなど,ふだんあまり意識しないポイントをさらっと説明してくれるのがとても良かったです。ちなみに横浜美術館は一昨年1万点に届いたそうなので,この数字の比較だけでも,かなり大きな美術館だということがわかりました。

その他,今回の展示会の見どころ,主な作品の特徴や時代背景の説明などを端的にわかりやすく。


馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-見どころ

個人的に,振り返ってみてとくに素晴らしいと思ったのが,

「今回の展示は人物画が多いこと。これは狙いです。」

という,企画の狙いを教えてくれたこと。

これは,近代絵画はさまざまなテーマや手法があり,絵画をより理解するには,たとえば宗教であったり生活であったりが前提が求められがちな中,今回のプーシキン美術館展では,人物画を中心に集めることで,人の描かれ方を時系列に観ることができ,人という軸で,比較的わかりやすい構成を心がけたとのことです。

実際,作品を観ていく中で,10年,50年という時間の変化とともに,描かれる人の雰囲気や絵の構成が変わっていくのが意識的にわかり,なるほど!と思いました。僕みたいにフランス絵画の知識があまり無くても,この説明があるだけで,自然体で鑑賞できたと思います。

これまで,美術展などの基礎知識を得るためには自分で本を読んだり,ネットで調べていたのですが,毎回こういうレクチャーがあったらいいな,と思いました。

松永さん,ありがとうございました!

それから,参加者向けに配布されたプレスリリース。
こんなにしっかりしたプレスリリース見るの初めてかも。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-プレスリリース

■マト・マト・マトリョーシカ!
第4章まで観終わると,最後はグッズ売り場が。今回の展示に関連したさまざまなグッズ,定番の図録やはがきがたくさん売られていました。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-おみやげ

個人的にヒットしたのは,マトリョーシカの数!マトリョーシカのコーナーはところ狭しとマトリョーシカだらけ。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-マトリョーシカ大

こんなにいるとちょっと怖いな。夢に出てきそうw

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-マト 馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-マト

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-マト 馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-マト

それはさておき。

他にもパティスリー モンシェールとのコラボで,会場だけの限定発売のプティシェールや,紅茶など,ちょっとしたロシア&フランスワールドが広がっていて,観ているだけでも楽しかったです。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-コラボ

せっかくなので図録とKUSMI TEAをおみやげに買いました :-)

ということで,約2時間のレクチャー&夜間特別観覧会を満喫しました。

こういう企画があったらまた応募してみたいと思います。

あ,そうそう。大事なことを。

今回の『プーシキン美術館展 フランス絵画300年』は,以下の会期・場所で開催中です。
ご興味のある方はぜひ!

プーシキン美術館~フランス絵画300年
http://pushkin2013.com/

愛知美術館 2013年4月26日 ~ 6月23日(済)
横浜美術館 2013年7月 6日 ~ 9月16日
神戸市立博物館 2013年9月28日 ~ 12月8日


※今回の写真は,夜間特別観覧会参加者に対して特別に許可していただき撮影しています。

プーシキン美術館展公式ガイドブック (AERA Mook)/朝日新聞出版


最後に入口で記念に1枚。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-記念写真