久々にSocialカテゴリで。

今回は,アップデートして新機能が追加されたPathについて紹介します。

日本語のWikipediaには紹介がなかったので,英語のWikipediaを見てみたところ,
Path is a social networking-enabled photo sharing and messaging service for mobile devices, launched in November 2010. The service aims to be a place where users can share with their close friends and family.

となっています。

写真共有とメッセージングができるモバイル向けのSNSとのこと。特徴は「with their close friends and family」の部分,つまり,自分の身近な関係でのソーシャルネットが楽しめるサービスだということです。

ちなみに,Pathについてはこのブログの

- ソーシャル再考:ライトでヘビーなコミュニケーション
- ソーシャル再考:つぶやきとライフログとパッションログと
- ソーシャル再考:共有(シェア)すること

また,gihyo.jpの2012,2013年の新春記事

- 2012年のソーシャルネットコミュニケーション
- クローズドとアーカイブに注目――2013年のソーシャルネットコミュニケーション

などで紹介しているので,良かったらご覧ください。

■日本での動向
さてさて。
まずはこのニュースから。

Pathが本格的に日本に進出、盛り上がりをみせるクローズドSNSのこれからの行方
http://jp.startup-dating.com/2013/02/path-close-sns

このイベントは先日2月21日に開催されたもので,記事の中で「今回の日本への本格的な進出と並行して、もうじきPathがリニューアルを実施する、という話も。」と書かれています。

その後,マイナーバージョンアップなどを含め,いろいろと機能が追加され,3月7日,3.0.1がリリースされて本当に大きな機能追加(リニューアル)が見られました。
ということで,まずはそれぞれ気になった新機能をご紹介します。

■新機能その1:RePath
まずはこれ。たしか2月25か26日ぐらいにリリース。
名前のとおり,PathをRe(もう1回)ポストする,つまりシェア機能ですね。つながっているPathフレンドがポストした写真を,自分のフィードに再度ポストできるというものです。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-RePath

個人的には,これはPathのサービスコンセプトに大きく影響が出るんじゃないかなーと思っています。というのも,これまでのPathの魅力の1つはクローズド,すなわち非公開的な雰囲気にあったと思っていて,それを気に入っている方たちが(僕の周りでは)多く使っていたように感じるからです。

今回のRePath,たとえば,僕とAさんとBさんがいたとします。関係性として,

僕:AさんとBさんとPathでつながっている
AさんとBさんはPathでつながっていない

Aさん⇔僕⇔Bさん

という状態であった場合,僕がAさんの上げた写真をRePathすると,Bさんにも見えてしまうのです。これはクローズドという観点で考えると成立しなくなってしまいます。

(過去のエントリでも書いていますが)僕はネットに上げた/上がった時点で見えない/見られないものはないという前提で考えてソーシャルネットを使っているのですが(もちろん他のユーザが非公開で公開しているものを意識的に公開することはないですが),それでもPathには「つながっている人にしか見えない/見られない」という独特の世界観があったわけです。しかし,このRePathは,その世界観を完全に崩す破壊力があるなー,と。

ただ,その後10日ほど経ちましたが,僕の周りではRePathを使っている人はほぼ0なので,このまま使われなくなる機能かも,と思います。話がそれますが,こういうユーザドリブンで機能が成長/衰退するっていうのは,最近のWebサービス/ネットサービスの傾向じゃないかなー。
(ただ,使われない理由として,そもそもRePathを大々的に紹介していないのと,画像を長タップするとできるという操作方法に気づかれていないという可能性も)

■新機能その2:メッセージング&ステッカー
次にこれ,メッセージング(チャット)&ステッカー機能です。今回のエントリを書こうという動機にもなったものです。

まずは,以下,Pathフレンドでもあり,ふだんから仲良くしている@typesterこと,村瀬さんとのやりとり。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-メッセ1 馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-メッセ2

ご覧いただくとわかる通り,どこかで見たことのあるような画面です。そう,2012年大ブレイクしたメッセージングツール,LINEですね。スタンプではなくステッカーと表現しているあたりはアメリカっぽいですが,完全に日本(および周辺アジア)を意識してるな,と思いました。

面白いのは,先に紹介した左の画面のようにGoogleマップを利用して位置情報を掲載したり,右の画面のように音楽や本,映画など,Pathの標準機能で付いているポスト機能を連動させられる点。このあたり,メッセージングから入ったLINEとは違って,ソーシャルネットというソーシャルグラフを活かしたPathならでは特徴が最大限引き出せてるように思います。あと,当然後出しジャンケンの強みもw

それと地味に良さそうなのが,開封機能(右画面の緑色のチェック印)。これ,相手からメッセージが送られた後,「送信」と出ているところに表示されて,押すと開封状態が伝わるというもの。こうした配慮はアメリカのサービスっぽくなくて(スミマセンw),なかなかいいなーと思いました :-)

あと,ステッカーの販売も行われています。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-ステッカー売り場

さっそく1つ買ってみました。絵のテイストがアメリカっぽいのが新鮮。

■クローズドの世界観とソーシャルネット
ということで,最近のPathの新機能である,RePathとメッセージング&ステッカー機能について紹介しました。

僕が初めてPathを使ったのは2011年7月で,当時はたまに使うレベルだったのですが,2011年12月にPath 2.0になってUIが思いっきり変わってからかなり使い始めて今に至ります。

使い始めた当時は,URLリンクが埋め込まれなかったり,今回のRePathのような共有機能がないなど,かなり制限されていました(詳しくはこのエントリで)。その後,いろいろ機能追加が行われ少しずつオープンになりつつも,最大フレンド数制限があったり,また,ユーザ自身がPathはクローズドなソーシャルネットだというのを意識的に使っている方たちが多いので(少なくとも僕の周りでは),クローズドな世界観が保たれているように感じます。結局,ソーシャルネットもツールなので,それを使う人がどう使うかによって,世界観は醸成されていくんだな,と。

なので,今回の新機能についてもどのぐらい使われるのか,使われたとしてどういう世界観になっていくのかを注目しながら使っていきたいです。それと,今はまだマイナーなPathが,今後爆発的にユーザが増えていったらどうなるのかなども気になるところですね。

ちなみに,個人的に世界観が変わってきたなと感じるのが最近のFacebookです。流行りはじめの頃に比べると,自分のフィードに他の記事の「共有(シェア)」をするケースが多く見られるようになってきていて,たまに人気記事が出たりすると同じ共有が連続して表示されたりしています。それはそれでありなのですが,ちょっと物足りなくもあり。
なので,僕自身は,最近Facebookの利用頻度が減っています。これはFacebookが「共有の場としてのメディアでありソーシャルネット」になってきている裏返しなのかなとも思います。

一方で,Pathの使用頻度が増えているのは,僕は,クローズドだから生まれやすい一次情報とソーシャルグラフに,ソーシャルネットの楽しさを感じているからかもしれません。一次情報という点では,今年の新春企画に書いたように,ブログへの回帰にも通ずるところがあります。

■アーカイブ性を持つこと
最後に。

すでに前に紹介したエントリなどでも書いていますが,今後,Pathをはじめとしたソーシャルネットの展開として気になるのが,アーカイブ性です。ソーシャルネット内でアーカイブの特性をどこまで表現できるか,すなわち過去のポストに対する検索機能をどこまで実装するかがソーシャルネットのポイントの1つになるんじゃないかと。

たとえば,Pathなんかはポストのことを「moment」という英語で表現していることからもわかるように,瞬間/一過性の表現を行うツールでもあります。今後,それらを検索できるようになるとmomentの意味が変わるわけで,また,おもしろくなりそうです。このあたりは動向を見ながら,また,個別エントリを書く予定です :-)

ps
余談ですが,先日東京で行われたSF Japan Nightセミファイナルの取材の際,となりにドイツの記者が座っていて,ちょうど僕がPathを使っているところを見て「お,Path使ってるの?(的な英語w)」と聞かれたので,「うん,使ってるよ。僕の周りだと30人以上アクティブ」って答えたらかなり驚かれました。彼の友だちは2人しかつながっていないとのことで,どちらもノンアクティブだとか。

ソーシャルもうええねん (Nanaブックス)/村上福之