今日3月19日が「ミュージックの日」ということなので,今回は「音楽」を切り口にソーシャルネットについて書いてみます。

ミュージックの日
http://www.muj.or.jp/modules/muj0/index.php?id=24


■PicoTube.tvとMusicParty
まずは最近僕がハマっている&気になっている音楽サービスをご紹介します。

・PicoTube.tv
http://www.picotube.tv/ (サービス終了していたのでリンク削除:2020年3月)
馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-PicoTube

1つ目はPicoTube.tv。こちらは,YouTubeの動画をリストアップして流せるサービス。自分が好きな楽曲を自分のスペース(PODと呼びます)で流すことができるだけではなく,人のPODに入ってその人の選曲を聞いたり,共通のPODでみんなで音楽を流し合うといったことができるサービスです。ちょっとしたVJ(このサービスではPJ:PicoTube Jockeyと呼びます)気分が味わえます。
ソーシャル的な要素としては,お気に入りのPJのファンになったり,流れている曲にAWESOME(いいね!)したり,SKIP(よくないね!)したり,といったことができます。
あと,自分のキャラクターをアバターで選ぶことができて,PTS(選曲に対してもらったAWESOMEの数)に応じて,選べるアバターが増えていくという仕掛けもあったりするので,自分の選曲を人に見せる自己顕示欲を満たしつつ,評価を楽しむ参加感を強く味わえます。
山下さんの会社ヴェッテルが開発・提供しているサービスで,TechCrunch Tokyo 2011スタートアップバトルの最優秀賞を受賞しました。おめでとうございます!

・MusicParty
http://www.kayac.com/musicparty/ (サービス終了していたのでリンク削除:2020年3月)
馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-MusicParty

2つ目。こちらは,カヤックのサービス。開発者の@typesterこと村瀬さんに,呑み屋でご紹介いただき,最初に見たときから「これはいいな!」と思って。
利用想定シーンとしては,複数人のドライブなど,閉じた空間かつ密な空間で,その場所でお互いのiPhoneに入っている楽曲をシェアして流すことができるというモノ。僕は車を持っていないので車では試せてないけど,たとえば,ホームパーティとかカジュアルなMTGとか,あるいはこれからの季節バーベキューとか屋形船とか,いろいろなシチュエーションでの利用が考えられます。
ポイントは,iPhoneをワイヤレススピーカーと位置付けているサービスなので,楽曲そのものをコピーせずに,Bluetoothによる無線接続で音楽をシェアできる利便性の高さです。なので,オフィスでシェアしてイヤホンで聞くといった使い方も想定できそう。
あ,そうそう。村瀬さんからも言われたのですが「使う前にBluetoothの設定はONにしておいてください」とのこと。たしかに,バッテリ消費を増やさないためにOFFにしている人はけっこう多いと思うのでご注意ください。かくいう僕も最初使ったときOFFにしていてつながりませんでしたw

どちらのサービスも,今年のSXSW2012に出展して注目を集めていたそうです。
詳しくはこちらの記事を↓

SXSW2012、日本のスタートアップによる音楽系サービス5選【本田】
http://techwave.jp/archives/51734758.html

■音楽が持っている“共有感”
さてさて。

音楽って,多くの人が小さいときから身近で体験し触れている行動です。そして,どこかで聴いた曲が良いなと思えば「能動的に探して受動的に聴く体験」を提供してくれる行動でもあり,また,それらを友人同士で貸したり借りたり歌ったり……と,「(能動的かつ受動的に)聴く+シェアする」という複数の要素が1つにまとまっている行動なんだな,と。最後に挙げたシェアという体験が含まれていること,すなわち音楽が持っている“共有感”は,まさに今のソーシャル時代にドンピシャな気がしていて。

これまで,MySpaceやLast.fm,mixiミュージックなどいくつかの音楽系ソーシャルネットが流行ってきたのも,(ユーザ側に)そういった本質的な体験があるからこそなんじゃないかな,と思っています。

一方で,去年注目を集めたTurntable.fmのように,著作権絡みで日本で使えなくサービスがある中,今回紹介した2つは,YouTubeという日本で公的に使えるサービスを使ったり,iPhoneそのものをスピーカーとして位置付けて使ったりと,問題部分をうまく解消しつつ,それ以上に共有感を高められているなーと感じました。

ちなみに,言わずもがなですが,この共有感をリアルで実現しているのがライブなわけです。好きなアーティスト,アイドルを核に,ファンが周りに集まって,ファン同士の活発なコミュニケーションや自発的なコミュニティが生まれていく,といったものです。ビジネスとしてはファンクラブのようなものもありますね。

それが今は,今回紹介したサービスをはじめとしたソーシャルネットという仮想空間が用意され,多くのユーザが仮想空間上でも共有感を持てるようになっています。しかも,楽曲という,日本では(法的に)扱いづらいコンテンツを,さまざまな合法な仕組み・仕掛けによって誰もが自由に使える時代にもなってきていて。

僕自身,ライブのリアルな共有感はとても好きで,ちょくちょく行ったりしますが,ソーシャルネットにはライブでは持ち合わせていない良いところがあると思っています。それは,物理的距離・時間を無視できる点。同じ場所にいなくても「音」という体験を,他のユーザの皆さんと共有できるところです。こういう感覚を体感できるのは,本当にソーシャルネットのおかげだなと思っています。
あともう1つソーシャルのイイところは,思わぬギャップを体験できる点。「え?こんな人がこんな曲聴いていたの?」とか「そうそう,BOOWYっていいよね」みたいな,普段の付き合いだけでは知りえなかった面を共有できるからです。

■共有感の先にある購買欲
もう1つ。

音楽の共有感の先には「購買」という行動があると思っていて。つまり,共有したことによって得られた体感値が,“所有欲”,につながればそれは“購買欲”になるわけです。しかも,今ではAmazonやiTunesといったように,オンラインでその購買欲をすぐに満たせるサービスがありますし。
(僕自身,PicoTubeを使ってから,そこで聴いた他のユーザが選んだ曲をいいなと思ったり,懐かしいと思ったりしてAmazonでポチっとしました)

このあたりの,音楽サービスから始まるソーシャルコマースについては,何か新しい波が来るんじゃないか,と引き続き注目していきたいです。

ということで,今回は音楽とソーシャルをテーマに書いてみました。で,書いてみて思ったんですが,たぶんこれは時代が進むとともにまた新しいものが出てきそうなので,あらかじめタイトルに年号と季節を入れておきましたw 次はいつ,このテーマのエントリを書こうかな:-)

ps
MusicPartyはぜひ近いうちにいろんな人と試してみたい。
ので,呑み会とかでどんどん紹介していこうw