先日、技術評論社とKDDIの共催によるコンテスト「第1回 察知人間コンテスト」の審査員座談会を実施しました。
第1回 察知人間コンテスト
http://gihyoevent.jp/satch/
(審査員の面々)
このコンテストは、今まで専門家のための技術に見られがちだったARを、さらに普及すべく、もっと身近で体験できるARを増やそうという目的のもと開催されているものです。
ARとはなんぞやとか、コンテストの詳細についてはこのあたりをご覧ください。
第1回 2012AR最前線――察知人間コンテスト応募の第一歩
http://gihyo.jp/dev/serial/01/satch/0001
で、その座談会で話している中、ARを通じたECなどの話も上がって、「ヒトの購買行動の変化っていうのは、いろいろなところに見られるよね」という話題が出ていて、たしかにそうだなーと思いました。ということで、今回はテクノロジーの進化と購買行動の変化、ユーザの意識の変化について書いてみたいと思います。
■ARで試着
2、3年前、ちょうどiPhoneが普及し始めた頃はARというとエンタメ系のアプリやキャンペーンで使われることが多かったのですが、昨年頃から身の回り、実用途で利用されることが増えてきました。
その例の1つに、Zoffがリリースした「Zoff Mirror」があります。これはARを利用して、家にいながらもメガネを試着できるというARアプリです。
Zoff Mirror
http://www.zoff.co.jp/mirror/
YouTubeをご覧いただくとわかると思いますが、まさにテクノロジーで現実を拡張し、仮想的なものを(自分たち側にある)現実世界に引き込んでいる例と言えます。このサイトでは、試した後、オンラインで購入する仕組みまで用意されています。
つまり、店舗に行かなくても家でメガネが買えてしまうのです。
■技術の進化で高まるネットのリテラシー
もう1つ、これは聞き伝えによる例を紹介します。
東京ガールズコレクション
http://tgc.st/
東京ガールズコレクション(TGC)についてはご存知の方も多いと思います。
TGCでは、舞台に上がったモデルさんが紹介した服が、会場に来ている来場者によるオンライン購入で即売り切れになってしまうそうです。これを聞いたときに思ったのが「もし後ろの方の座席から見ていたら、それがどんなものかわからないけど、でも、東京ガールズコレクションというブランディングとそのモデルさんの紹介力で、買っちゃうんだなー」と。
正直、僕はオンラインで服や装飾品を積極的に買ったことが無いので、その感覚については違和感を感じているんですが、最近はすべてオンラインで購入できる(してしまう)方たちが増えているように感じています。それは世代的・年齢的な違いだけではなく、同年代の知り合いでもいます。
どうしてそうなったのか、定量的な理由はないのですが、確実にインターネットを軸にした技術進化が影響しているんだなーと、漠然と感じていて。
そのあたりのことについて、昨年秋に実施した「キーパーソンが見るWeb業界」の中で、有限会社エイスタディ代表の斎藤さんがこのようにおっしゃってました。
第19回 建築から見るWebと空間のデザイン
http://gihyo.jp/design/serial/01/key-person/0019
■直感で省略される行動
で、改めてここまでをまとめてみると……。
これまで、ヒトの購買フローというのが
お店へ行く→考える→接触(試着)する→買う
というものだったとすると、現在は3つ目の「接触(試着)する」というステップが必要なくなっているわけです。
言い換えると、何か買いたくなった場合は、考える→買うまでが直線的になっていて、モノを売る側にとっては、その間にある目に見えない何か、つまり間接的なきっかけ(例:擬似接触orクチコミ)を提供できるかが重要なんだな、と。そして、その「間接的なきっかけ」を生み出す手段として、ARしかり、携帯電話しかり、技術の進化が担ってきているわけで。
もちろん、「間接的なきっかけ」で購入することができるようになったのは「オンラインショッピング」などバーチャルな買い物に対する信頼感が上がっていることも大きな要因だとは思っています。
で、ちょっとまとめた飛躍をすると、購入行動に限らず、ヒトの行動ってどんどん直感的になっていると思っていて。たとえば、ガラケーと比較した場合のスマホの操作なんかも、ハードウェアキーを必要とせず、指の動きだけで操作ができてしまいますし。本質的には深く考えられていたとしても、行動としては反射的になっているんじゃないかと思ったりします。
とは言っても、直感的な行動っていうのはそのヒトの経験値や感覚に依存する部分が多いので、たとえば、今回話したオンラインショッピングでの成功を目指すには、その直感的行動の間にある“間接的なきっかけ”を、技術以外の要素をも絡めて考えなければいけないとも思っています。
というのを、ちょうどこの本を読んだばかりということもあり、まさに「ストーリー」の重要性がここにあると思いました。
ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング -よりよいデザインを生み出すストーリーの作り.../Whitney Quesenbery
今回のエントリは、あまりまとまらなかったのですが、最近、WebSigでECに関するイベントをやったりしていていろいろ考えることがあったので、まずはつらつらと書いてみました。この辺の話は、行動心理学とか勉強するともっと深く考えられるのかな。
第1回 察知人間コンテスト
http://gihyoevent.jp/satch/
(審査員の面々)
このコンテストは、今まで専門家のための技術に見られがちだったARを、さらに普及すべく、もっと身近で体験できるARを増やそうという目的のもと開催されているものです。
ARとはなんぞやとか、コンテストの詳細についてはこのあたりをご覧ください。
第1回 2012AR最前線――察知人間コンテスト応募の第一歩
http://gihyo.jp/dev/serial/01/satch/0001
で、その座談会で話している中、ARを通じたECなどの話も上がって、「ヒトの購買行動の変化っていうのは、いろいろなところに見られるよね」という話題が出ていて、たしかにそうだなーと思いました。ということで、今回はテクノロジーの進化と購買行動の変化、ユーザの意識の変化について書いてみたいと思います。
■ARで試着
2、3年前、ちょうどiPhoneが普及し始めた頃はARというとエンタメ系のアプリやキャンペーンで使われることが多かったのですが、昨年頃から身の回り、実用途で利用されることが増えてきました。
その例の1つに、Zoffがリリースした「Zoff Mirror」があります。これはARを利用して、家にいながらもメガネを試着できるというARアプリです。
Zoff Mirror
http://www.zoff.co.jp/mirror/
YouTubeをご覧いただくとわかると思いますが、まさにテクノロジーで現実を拡張し、仮想的なものを(自分たち側にある)現実世界に引き込んでいる例と言えます。このサイトでは、試した後、オンラインで購入する仕組みまで用意されています。
つまり、店舗に行かなくても家でメガネが買えてしまうのです。
■技術の進化で高まるネットのリテラシー
もう1つ、これは聞き伝えによる例を紹介します。
東京ガールズコレクション
http://tgc.st/
東京ガールズコレクション(TGC)についてはご存知の方も多いと思います。
TGCでは、舞台に上がったモデルさんが紹介した服が、会場に来ている来場者によるオンライン購入で即売り切れになってしまうそうです。これを聞いたときに思ったのが「もし後ろの方の座席から見ていたら、それがどんなものかわからないけど、でも、東京ガールズコレクションというブランディングとそのモデルさんの紹介力で、買っちゃうんだなー」と。
正直、僕はオンラインで服や装飾品を積極的に買ったことが無いので、その感覚については違和感を感じているんですが、最近はすべてオンラインで購入できる(してしまう)方たちが増えているように感じています。それは世代的・年齢的な違いだけではなく、同年代の知り合いでもいます。
どうしてそうなったのか、定量的な理由はないのですが、確実にインターネットを軸にした技術進化が影響しているんだなーと、漠然と感じていて。
そのあたりのことについて、昨年秋に実施した「キーパーソンが見るWeb業界」の中で、有限会社エイスタディ代表の斎藤さんがこのようにおっしゃってました。
「現在は、そのアイコンがオンライン、つまりWebに流れてきているわけです。たとえば、実店舗のマネキンを見るよりも、オンラインで、女優やモデルが着用している写真や映像を見たほうが、イメージがつかみやすいわけです。また、最近では、ARなどを使ったシミュレーションなどもオンラインショップでは取り入れられていますね」。
第19回 建築から見るWebと空間のデザイン
http://gihyo.jp/design/serial/01/key-person/0019
■直感で省略される行動
で、改めてここまでをまとめてみると……。
これまで、ヒトの購買フローというのが
お店へ行く→考える→接触(試着)する→買う
というものだったとすると、現在は3つ目の「接触(試着)する」というステップが必要なくなっているわけです。
言い換えると、何か買いたくなった場合は、考える→買うまでが直線的になっていて、モノを売る側にとっては、その間にある目に見えない何か、つまり間接的なきっかけ(例:擬似接触orクチコミ)を提供できるかが重要なんだな、と。そして、その「間接的なきっかけ」を生み出す手段として、ARしかり、携帯電話しかり、技術の進化が担ってきているわけで。
もちろん、「間接的なきっかけ」で購入することができるようになったのは「オンラインショッピング」などバーチャルな買い物に対する信頼感が上がっていることも大きな要因だとは思っています。
で、ちょっとまとめた飛躍をすると、購入行動に限らず、ヒトの行動ってどんどん直感的になっていると思っていて。たとえば、ガラケーと比較した場合のスマホの操作なんかも、ハードウェアキーを必要とせず、指の動きだけで操作ができてしまいますし。本質的には深く考えられていたとしても、行動としては反射的になっているんじゃないかと思ったりします。
とは言っても、直感的な行動っていうのはそのヒトの経験値や感覚に依存する部分が多いので、たとえば、今回話したオンラインショッピングでの成功を目指すには、その直感的行動の間にある“間接的なきっかけ”を、技術以外の要素をも絡めて考えなければいけないとも思っています。
というのを、ちょうどこの本を読んだばかりということもあり、まさに「ストーリー」の重要性がここにあると思いました。
ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング -よりよいデザインを生み出すストーリーの作り.../Whitney Quesenbery
今回のエントリは、あまりまとまらなかったのですが、最近、WebSigでECに関するイベントをやったりしていていろいろ考えることがあったので、まずはつらつらと書いてみました。この辺の話は、行動心理学とか勉強するともっと深く考えられるのかな。