●2011年のWebサービスと技術を大展望
先週の土曜日、「2011年のWebサービスと技術を大展望」に参加してきました。

Devcon 2011 Vol.2 卯年に跳ねるのは何?
2011年のWebサービスと技術を大展望

http://www.pasonatech.co.jp/devcon_2/

今回は、企画およびスピーカーのセレクト、そして、プログラム最後のモデレーターとして参加しています。
今回は、自分の立場視点で、イベントを振り返ってみたいと思います。
スピーカー陣は、以下の豪華顔ぶれです。

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-パネルディスカッション風景

- 石塚さん(ロックユーアジア株式会社 COO、@ryonations
- 山路さん(グルーポン・ジャパン株式会社 CTO、@yamaji
- 和田さん(株式会社ロケットスタート CTO、@wadap
- 堀内さん(株式会社gumi 取締役最高技術責任者、@horiuchi


4名とも、個人的につながりのある方で、イベント前から非常に進めやすいと思っていましたが、結果はもちろん進行しやすく。また、意外なことに、この4名はお互い初対面同士という方が多くて、新しい“場”の提供ができたんじゃないかと思っています:-)

馮富久のブログ - Tomihisa Fuon's Blog-モデレーターを務めました
(モデレーター姿)

●イベントの進行
今回、事前に用意していたテーマは以下のとおり。

- 2010年の振り返り(ソーシャルメディアとスマートフォン)
- Webサービスにおけるインフラの重要性(クラウド、非クラウド)
- エンジニア目線から見たFacebookへの期待
- 2011年注目しているサービス・テクノロジー
- サービスを支えるエンジニアに必要なスキル・考え方

レポートに関しては、gihyo.jpのこちらの記事をご覧ください。

#5 パネルディスカッション─2011年Webサービスはどうなる?エンジニアはどうする?
http://gihyo.jp/news/report/01/devcon2011_v2/0005

ここでは、参加した立場から見たイベントの振り返りと、記事には取り上げられなかったトピックをまとめたいと思います。

●2010年はソーシャルアプリ元年
最初のお題は「2010年の振り返り」。これに関しては、人気アプリを開発し続けるロックユーアジア石塚さん、gumi堀内さんが異口同音に「2010年はソーシャルアプリ元年だった」とコメントしたのが印象的でした。

たしかに、いろんなアプリが出たし、僕自身、mixiアプリのブラウザ三国志とか、最近ではFacebookのCityVilleとか遊んでるなー。この記事をご覧の皆さんも、たとえばサンシャイン牧場とか、怪盗ロワイヤルとか、いろいろなアプリで楽しんでいるんじゃないでしょうか。

その中でも、ソーシャルアプリプロバイダーの先駆けでもあるRockYouの設立メンバーでもある石塚さんの「アメリカでは2007年ごろからソーシャルアプリが普及し開発が続いていますが、日本は(2010年から始まったにもかかわらず)この3年の間を一気に埋めて、今ではアメリカと同じぐらいのソーシャルアプリの市場、そして開発のクオリティとスピードを持っています」というコメントが印象的でした。

このあたりは、そもそもとして、創る側、遊ぶ側ともゲーム大国日本の土壌があるからかもしれませんね:-)

●エンジニアから見たFacebook
もう1つ、旬なテーマとして取り上げたのが「エンジニアから見たFacebook」。
先日のブログでも紹介したとおり、映画『ソーシャルネットワーク』の大ヒット、さらにアフリカ~中東で起きている反政府運動・革命のインフラとしても注目を集めているFacebook。
せっかくなのでユーザ視点ではなく、エンジニア視点ではどう見ているのか、というコンセプトで聞いてみました。

世界最大のトラフィックを生み出し始めているサービスだけあって、技術的影響力、インターネットへの貢献も多々あります。中でも、ログ収集サーバ「Scribe」やNoSQLデータベース「Cassandra」は、Facebookが自社開発を行い、オープンソースとして公開されています。

こういう活動はFacebookに限ったことではなく、今、世界で注目を集め、ユーザを獲得している多くのWebサービス企業は、自社で開発した技術を“オープンソース”という形で公開して、さまざまな形で貢献しています。このような、オープンソースから生まれるエンジニアドリブンの共有と参加のスタイルは、インターネットが持つ魅力であり、強みですね。

普段、TVや新聞といったメディアではこういう話が出ることは少ないのですが、ぜひともたくさんの方に知ってもらい、インターネットのさらなる普及に繋がればいいなと思っています。

あと、Facebookに関しては石塚さんの「Facebookの本来の魅力は、自分のためだけのソーシャルグラフを作り出せること。これはアメリカと比較して感じることですが、日本の場合(おそらくTwitterの影響もあり)フレンドを増やすことが目的になっていて、ソーシャルグラフ・タイムラインが荒れてしまっているユーザが多いように感じています」というコメントも印象的でした。この,ソーシャルグラフの話題については、別のエントリで改めて書いてみます。

●クラウドファンディング、メディア、位置情報――注目のWebサービス
個人的に一番楽しみにしていたお題がこれ。

「2011年注目しているサービス・テクノロジー」。

今回のパネリストは、業界でも最先端を行く、いわゆる“アーリーアダプター”に属する人たちばかりです。どういう視点で何に注目しているのか、モデレーターと言うよりは、一聴講者の立場で聞いていました。
そこで出てきたのが、

- クラウドファンディング(Campfire Grow):堀内さん
- Demand Media:和田さん
- Craigslist:山路さん


といったサービスや技術。

・クラウドファンディング
それぞれを簡単に説明すると、クラウドファンディングというのは、ある気になるサービスに対して、ユーザみんなが投資していくというもの。ざっくりというと「1億人から1円集めれば1億円になるよね」というのを、Webサービスとして提供するものです。海外では「Kickstarter」が有名で、日本でも2011年に入り、家入さん(@hbkr)の「Campfire」や、「Grow!」などが登場してきました。

最近は、Facebookの「いいね!」やmixiの「イイネ!」のようにライトなコミュニケーションが取りやすい環境が整備されています。ですので、ちょっと良いなと思ったサービスに、投げ銭的な形で投資できるプラットフォームが回り始めれば、金銭的メリットに加えて、クリエイター自身が「応援されている」と感じられるモチベーションから、新しいWebサービスがもっともっと生まれてくるかもしれません。

・Demand Media
次のDemand Media。これは、インターネットユーザが“求めている”情報を、独自のアルゴリズムで抽出し、そのユーザに対してコンテンツを提供するというもの。コンテンツの生成には、専用のライターを抱えています。このように、ユーザニーズにマッチするコンテンツづくりは今後のトレンドの1つになるかもしれません。
個人的には「Instapaper」なんかも、自分で探さずに自動で欲しいコンテンツを集めたい、というユーザ欲求に合わせたサービスなんだろうな、と思います。
ただ、あまりこういうのが進化し続けると、人間の「探す」「考える」という行為が薄れていき、人としてやばいんじゃないかともw
こういう話題で思い出すのが,2004年に公開されたEPIC。
これは,GoogleとAmazonが合併して「Googlezon」という会社が生まれたらという仮定に基づくジョーク
ムービー。詳しくはこちらを↓

EPIC 2014 日本語字幕版



・Craigslist
最後のCraigslist、これは1995年にサンフランシスコのCraigさんが開設したローカル情報を交換するためのサイトが原型となっているサービスで、そのコンセプトと同じく、地域限定でユーザコミュニティを生み出し、その中で情報を交換していくというもの。基本的には、手数料がかからず、ユーザ同士で自由に情報を交換したり、物品の売買が行えるもので、アメリカ、最近では中国などでも流行っています。山路さん曰く「新しいサービスと言うよりは、ようやく日本に入ってきそうな気配を感じています」とのコメントでした。
一方、日本に関しては「現状mixiのコミュニティが同じような機能を果たしていることもあり、まったく同じコンセプトでは流行らないかもしれないですね」という意見も。
ただ、このコンセプトを一歩進めて、地域限定+位置情報を絡めることで、新しい価値が生まれるんじゃないかと思っています。
“地域限定”という点では、山路さんが所属するグルーポンなんかは、まさに有効活用しているわけですし。

これら3つについては、引き続き要チェック!ですね。

他、僕個人からは、foursquareロケタッチ、またFacebookのチェックインやmixiチェックなどの位置情報サービスが、エンタメからビジネスに転換する可能性があるんじゃないかとコメントしてみました。
これについてはおおむね賛同をもらえつつも、石塚さんから「おそらく日本はとくにプライバシーの点で普及しづらいですよね。アメリカのように、いきなりネットで繋がったり、実名で交流する文化があまりありませんから。現状では、何かしらの匿名性と位置情報のバランスが必要だと思います」と、まさに、位置情報系サービスの一番の課題である「プライバシーの保護」と日本が持つ国民性に関する貴重な意見をもらうことができました。

●エンジニアに必要なスキル
最後の「サービスを支えるエンジニアに必要なスキル・考え方」では、

- 英語力
- 問題解決力


この2つが重要だということでまとまりました。
で、思ってみたんですが、これってエンジニアに限ったことではなく、ビジネスマンとしても重要なポイントですよね。
英語力に関してはグローバルな展開のためだけではなく、インターネットというクロスボーダーな世界が進む中、共通コミュニケーションを取るための1つのスキルになります。
もう1つの問題解決能力、これに関しては和田さんが「まず何事についても興味を持つことが大事」とコメントし、また、石塚さんが「トラブルが起きたときに悩むのではなく楽しむぐらいの気持ちが重要」など、本当にためになるコメントをしてくれました。

まず、コミュニケーションスキルを身に付けること、そして何事も当事者意識を持つことポジティブシンキングでいることは大事ですね。
会場に向けたメッセージではありましたが、僕自身、このコメントを受け止めつつ、無事イベントを終えることができました。

●体験をまとめて書くこと
最後に。

今回、アメブロでは初となる、自分が出演したイベントのレポート的な内容を、振り返りと考察を交えながらアップしてみました。こういう風に、文章に起こして残すというのは「自分の頭の中を整理」できることに加えて、「未来の自分に向けた知の貯金」(ちょっと大げさな表現かなw)になっていると思っています。

もちろん何でもかんでも書き残していたら時間が無くなってしまいますが、自分の中で少しでも何か残ったもの、もしかしたらこの先振り返るかもしれないと思ったもの、についてはこれからもどんどんアップしていく予定です。

あ、そういう意味では!

5年ほど前に、今はクローズしてしまったソーシャルサービスに、ソーシャル関連の記事を書いたことがあり、先日ハードディスクから発見しました。(自分で言うのも何ですがw)なかなか面白いことが書いてあったので、近々、アメブロで再度アップするとともに、今の自分の考察と比較してみたいと思います:-)

ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である/いしたに まさき