入社してから3年前までずっと,僕は『Software Design』という,オープンソース/ネットワークに関連した技術情報誌の編集に携わってきました.ここでの仕事の経験の中でも,今の自分の財産になっているものの1つが「人脈」です.

●人脈の大切さ
「人脈を作る」って書くと,最初は「?」と思ったり,ちょっとやらしい感じがしますが,仕事にしてもプライベートにしても,人と人とのつながりがすごく大事だと,年々思うようになっています.そして,そういう気づきを与えてくれたものの1つにオープンソースソフトウェア(OSS)のコミュニティがあります.

●OSSコミュニティの取材で体験できたこと
今だから話しますが,僕は1999年4月に入社して,SD編集部配属を拝命したとき,OSSってまったくわからず,Linuxにも触ったことがありませんでした.まあ,その後の話は省略するとして,今の仕事が続けられたのが,OSSコミュニティに参加したことでした.当時は,OSSが盛り上がっていた時代でもあり,PostgreSQLやSamba,PHPなどの日本のコミュニティの立ち上げ,設立発表などを取材させていただくという,今振り返ると,とても贅沢な機会を得ていたように思っています.

その中でも,秋葉原で開催された「オープンソースまつり'99」が,僕の中で,一番最初に参加した,大規模なイベントであり,今でもとても印象に残っています.
(ここでJPUGの石井さん(@tatsuo_ishii),桑村さん(@kuwamura),また,小山さん(@koyhoge)などにお会いした他,僕の大学の同期ということが判明したmixi技術顧問小山さん(@0yama)といった方にお会いしています).
それは,学園祭のような雰囲気もあり,そのなかで,各種技術にコミットしている方たちが,積極的にそのプロダクト/サービスを紹介し,宣伝し,その周りに人が集まっていく……,そういうものでした.

-----追記(1/29)
それと,もう1つ大事な場を忘れておりました(汗
びぎねっと宮原さん(@tmiyahar)が開催しているオープンソースカンファレンスです.
2004年9月に第1回が開催されており,そこからこれまで50回以上,東京に限らず,北は北海道から南は沖縄まで,日本全国を縦横に所狭しと開催されている,まさに,場のお手本となっているイベントです.
ここで,僕もたくさんのかたに出会い,また,SD編集部の後輩たちを紹介させて頂きました.
そして,2011年,びぎねっとは10周年を迎えています.宮原さん,皆さん,おめでとうございます!
-----ここまで

その後,12年が経過しているわけですが,今もなお,各種OSSのカンファレンスやイベント,または,地域ごとの勉強会など,人が集まる場が日々生まれて,たくさんのつながりが誕生しています.
さらに,2005年以降は,ブログやSNSといった環境インフラの変化などから,そのつながりが指数関数的に増え,また,つながり自体に濃淡のある,新しいコミュニケーションの場が増えてきました.

また,人脈というのは,単につながって終わりではなくて,身近なところではそのつながりから雑誌の特集企画,書籍企画,イベント,あるいは,直接的には何も生まれなくても,日々の情報交換からプライベートな交流まで,自分の時間軸を,濃いものにしてくれています.

と,前置きが長くなったのですが,こういう「人と人がつながる場」っていうのが,僕の中では心地良くて,自分としては価値のあるものだと感じ始めて,数年前ぐらいから「場づくり」ということを意識し始めています.

●エンジニアの未来サミット
3年前に開催した「エンジニアの未来サミット」.これは,業務の一環でもあり,ビジネスとも連動していましたが,パネリスト/その場の参加者/ネットの参加者が一体となって,場を作り,新しいつながりが生まれましたし,僕自身,たくさんのつながりを得ることができました.

エンジニアの未来サミット
http://gihyo.jp/news/report/01/engineer/0002
※あとから聞いたんですが,ここでけんすう(@kensuu)さんとわだっぷ(@wadap)さんが,purprin(@purprin)さんが出会って,nanapiのきっかけになったそうです.こういうのは嬉しいですね:-)

さらに,エンジニアの未来サミットに関しては,昨年スピンオフ的な企画として,技評とサイボウズさんのコラボイベント「エンジニアの未来サミット for students」の開催にも至りました.
※竹迫さん(@takesako),皆さん,ありがとうございました!

エンジニアの未来サミット for students
http://cybozu.co.jp/company/job/recruitment/recruit/seminar.html

●WebSig24/7
それから,少しさかのぼって2005年から取材する側として参加させてもらっているWebSig24/7.これも僕の中では非常に大きな「場」でして,WebSig24/7があったから,今みたいに,Web側にどっぷり浸かれるようになったと思っています.ちなみにWebSig24/7を取材するきっかけになったのは,アークウェブの中野さん(@nakano)と『Web Site Expert』や『Web屋の本』の執筆をお願いしたことがきっかけで,そのつながりから,インテリジェントネット和田さん(@yoshihiro)やワンパク阿部さん(@1pacfiresoul)と知り合いになりました.
(ちなみに坂西さん(@ban)は先ほど紹介した小山さんと同じく,僕の大学の元同僚だったとのことで,意外なところでまたつながったりも).

そして,昨年はついに運営側としてWebSig24/7にコミットすることができ,11月には「WebSig1日学校」として,Webに関わる方に向けた,1日限りの学校を開校することができました.

WebSig1日学校
http://1ds.websig247.jp/

記事はこちら↓
WebSig1日学校~未来のあなたとWebを変える1日
http://gihyo.jp/design/serial/01/websig

●JPNewTech
さらに最近では.
昨年末に,ヌーラボ橋本さん(@hsmt),Abby米林さん(@yone098)にお会いした際,「エンジニアとデザイナーが一緒に集まれて,そこから何か新しい物,新しいサービスが生まれるきっかけを提供できる場を作りませんか?」とお声がけいただいて,僕自身,人のつながりの大切さ,そして,そこから生まれてくる価値というものを体感し,また,恩恵を受けていたので,それを提供することができる,という僕自身にとってもうれしいお誘いだったので2つ返事でお受けしました.

そして,今年に入って1月22日.
エンジニア・デザイナーなど,Webを中心にした,積極的に活動できる人たちを集めて活動するためのイベント「JPNewTech」のプレイベント,「JPNewTechプレパーティ」を開催しました.

未来のWebにつながるネットワーキングイベント―JPNewTechプレパーティ開催
http://gihyo.jp/news/report/2011/01/2501

このイベントに関しては,アクティブさを重視するために,当面はクローズド,招待制の形で運営していく予定になっています.これは,SNSが招待→オープンという流れになっているのに対して,逆行していると思われるかもしれませんが,逆に,招待してもらえるような日々の活動,日々の行動といったところに繋げられる可能性があるとも思っています.

公式サイト:
JPNEWTECH
http://jpnewtech.com/

ちなみに名称は,サンフランシスコのSF NewTechやシリコンバレーのSV NewTechを参考に,ネーミングしています.ちなみに,サンフランシスコのSF NewTechに関しては,元々はWeb Site Expertの連載をきっかけに,今では友だちでもあるbtrax, Inc.のBrandon(@brandonkhill)さんが主催サイドにいるとのことで,ここにも人のつながりの魅力みたいなものを感じます.

以上,長々と書いてしまいましたが,最近は自分が30代中盤を過ぎたこともあり,この先10年,20年を意識して,微力ではありますが,未来につながる「場」を作ることにも関わっていきたいと考えていて,その意思表明を兼ねて本エントリをアップいたしました.

よろしくお願いします.



Web屋の本 ~ Web2.0,ビジネスサイト2.0,Web屋2.0 (Web Site Ex.../中野 宗


未来思考 10年先を読む「統計力」/神永 正博