こんな台風の中ですが、ようやく買えたindigo la Endの「濡れゆく私小説」をレビューしたいと思います。

どこも売り切れていて探すのが大変でした。(単に田舎なだけな気もしますが)

 

全体的な感想ですが、前作のPULSATEは挑戦的な曲が多かったのに対し、今回は「あ、indigoの曲だ」とすっと入ってくる印象でした。indigoの幅を広げる作品ではなく、今まで広げてきた幅のまま深くしたような作品、という感じでしょうか。

もしindigoを誰かに進めるならキャッチーな藍色ミュージックか、この濡れゆく私小説がいいかなと思います。

 

1.花傘

イントロからこれはやばいことがわかる。

一昔前のポップスを彷彿させるようなメロディーのサビがいいですね。今までの1番の曲にないタイプじゃないでしょうか。

カーティスの重いギターソロもこの曲の背景の暗さを演出するのに一役買ってます。

 

この曲がこのアルバムの象徴といっても過言でもないくらいです。

 

 

「恋の宵立ちさせない傘が邪魔だなんて まだ思えないんだ」

「君はまだ僕の花傘 お墓参り行けなくてごめん」

 

この二つの歌詞フレーズだけでも、主人公の持つ強い未練は測りとれるでしょう。

 

 

 

2.心の実

 PVめちゃくちゃよかったですね。

一曲目とはうって変わり、軽やかなイントロから始まります。

 

AメロBメロのベースがしっかり主張してきて、軽やかなのに軽すぎないちょうどいい雰囲気となっています。

えのぴょんのファルセットもいつもより多く、「ぜったいこれ歌うのきついなあ」という印象です。そもそもindigoの曲は全部高くて歌えないんだけどね、特訓中です。

 

この曲も、歌っているのは前の恋人に対する未練なので、実は花傘と背景同じ説もありますが、「たまにはこんな歌詞もいいでしょ」と言い放つので

もしかしたら全く違うことを歌っているのかもしれません。そこらへんの考察はできないので他の方を参照してください。

 

フォックストロットは社交ダンスの一つらしいです。

 

 

 

3.はにかんでしまった夏

きましたね。indigoのロックです。ファルセットに頼らないストレートに歌うロックはめちゃくちゃ久々な気がします。一番最近でも夜汽車とか?

 

やっぱ歌詞がいいですよね。付き合ってやってあげてる、くらいだった気持ちがいつの間にか強い恋心に変わっていた、けど認めたくはないからひたすら抗っているという、プライドの高い「僕」の恋愛感情がたまりません。

 

「はにかんでしまった夏を 見逃さず睨んだ」この擬人法はどのように解釈したいいんでしょうか。はにかんでしまったのは僕なのか、君なのか、はたまた全く別のなにかなのか。

 

全体的にギターの主張が激しく、音圧がすごいですね。ノレます。

 

 

 

4.小粋なバイバイ

このアルバムではこれが一番好きです。(一回目)

サビでの小刻みなギター(もしかするとピアノ)とドラムがたまりません。二番サビ前の「テッテレ」と駆け足で向かうようなドラムから、ダッシュで駆け抜けるようなサビという流れも最高ですね。

 

そして歌詞が個人的に一番共感できます。

「吹きこぼれた後の やり場のない台所」はその情景がすぐ浮かぶ上に、登場人物の感情の動きも一気に説明しているというえのぴょんの表現力ですよ。

「結局あなた以外自信ないんだ 泣き損がいつもうれしいんだ」のフレーズもえげつないですね。この曲をリリックビデオにしたのは英断としか言いようがありません。

 

 

 

5.通り恋

アップテンポな曲が続いた後にここで一気に落としてくるという、憎い演出です。その分響きますよね。

 

後鳥さんも言ってたけど、この曲のベースはマジでヤバイです。耳を傾けて聴いて見てください。

サビ前でベースが「キュッ」と止まるのが好きな同士いますかね。

Cメロ前で一瞬ベース消えてピアノソロになるのもいいですよね。その部分をもうちょい聴きたい感。

 

「聞かれたら困る話だけど 歌に乗せたらいいよね」という言葉通り、一番二番サビでは「歌って」いますが、ラストはそんな声も枯れてしまったので「叫び」続けるという歌詞構成は流石えのぴょんって感じですね。

 

 

 

6.ほころびごっこ

このアルバムではこれが一番好きです(二回目)

もうPV公開されたときから好きなんですが、なぜ伸びない?ハンドマイクえのんかっこいいだろ?

 

出だしのコーラスの親和性は流石ですね。えつこさんいい仕事してます。

あとはサビのギターやボーカルは結構ゆったりですがドラムはテンポいいんですよね。言葉だとミスマッチのように聞こえますが、めちゃくちゃかっこいいです。

Cメロやギターソロ、後奏でのギターが重めだからか全体的にパンチの聞いた印象になってるのも良きです。

 

歌詞もいいですよね。草食系男子の一歩踏み出せない感じがよく表現されてると思います。「すれ違わない確信が持てないと 見返せない」ですよね、めちゃくちゃよくわかります。

「愛情ごっこで手を打とう そのうち本物になるかもしれない 最初は大体真似事よ ずっとそうなのかもしれないけど」はえげつないですね。

 

どんな恋愛が本物なのでしょう。真似事を抜け出せるのはいつなんでしょうか。

 

あなたの恋愛は真似事でないと言い切れるか、と問われているような気がします。

 

 

 

7.ラッパーの涙

マイナーコードの意味を調べたところ、暗い印象を持つコードのことなんですね。勉強になる。

この曲自体もたぶんそうなのでしょう。アップテンポなはずなのに寂しい印象があります。めちゃくちゃピアノの「テレレテッテー」が心地いいです。

タイトル通りラップパートがありますが、えのぴょんのラップはどっちかというと独白ですね。韻などラップを楽しむより、歌詞カードを見ながら歌詞の意味を考える方が楽しかったりします。

サビのメロディーがすごく好きです。一番の花傘のようなおとなしいながらも強いインパクトがあります。

 

正直なところ、歌詞が何について書かれているのかはわかりません。おそらく命の曲かな、とも思いますがいまいちピンとこないです。

 

 

 

8.砂に紛れて

これはだいぶ昔を思い出す曲だな、と。名もなきとかの頃が好きな人はこれ好きじゃないかとおもいました。

二番Aメロの音のいじり方が面白いですね。こういう加工、あんまりindigoではやってなかったような気がします。

 

めちゃくちゃ疾走感あるのにしっとりとしているのはもうindigoの専売特許ですよね。

 

本音が言えない、俗にいうツンデレの曲ですね。「言わない美学」というのはハルの言う通りにリンクしてると思います。PVの場所そういや砂漠でしたね。彼らには言わない=砂に隠すというイメージがあるのでしょうか。オンナは変わるとかにも砂って出てきますよね。

 

 

 

9.秋雨の降り方がいじらしい

タイトルの付け方がどことなくゲスっぽいなあと思ってたら曲調もそこそこゲスっぽい。けど間違いなくindigoの曲なんですよね。事実アルバムに非常にマッチしています。

 

今回はPVにしても違和感のない曲が非常に多いですよね。私はPVになるのこれだと思ってました。

 

まじで二番の間奏からの気持ち悪さからのアコギかってくらいのギターの軽さへの変貌がいいです。気持ち悪さはもちろん誉め言葉です。

一貫して出てくる「テテトテテテトテ」というメロディーがすっと入ってきますね。つい口ずさんでしまいます。

 

 

 

10.Midnight indigo love story

このアルバムではこれが一番好きです(三回目)

いわゆるEnd Roll Ⅱやeyeのような幕間曲のような役割ですが、それにしてはクオリティがえげつない。天使にキスを、のような中毒性です。

 

どんどんサビの重ね具合が進化していきます。どんどん重厚になっていき、「セリフみたいだ」で涙が出ます。

サカナがよくやってる合唱曲みたいな、まああれとは大分違うんですけど。そのような印象。山口さんも川谷さんも音作りが非常に精巧ですよね。

 

 

 

11.結び様

「僕はまだ君を愛さないことができる」のEDですね。これはドラマ見たほうがより楽しめるんじゃないかと思います。完全に劇中の二人の歌なので。ちなみに小粋なバイバイはこのドラマの挿入歌です。

 

カーティスの高い音のギターとピアノがマジで美しいです。あと珍しくドラムがスローテンポな気がします。

 

「僕はもう君を愛さないことにするよ この歌にだけ残す」からの「好きにならなきゃよかった」の連呼はマジで心に来ます。この曲の中でしか吐き出すことのできない思いを考えるとやばいですね。文句なしのこのアルバムのEDです。