こんばんは!マックです。
この週末は何も書く事が出来ませんでしたが、とりあえず既に出来上がってた素直~があったのでさくっとUPしちゃいます。
※このお話しは『仮面の二人』のおまけ話です(本編読んでないと話が繋がらないかと思います)
*ナツ風味の攻めきょこ×攻められ蓮という組み合わせがにがてな人
*S/M要素が嫌いな人
*オリキャラが蓮と少しでも絡むのは嫌な人
*腹黒い貴島さんが嫌いな人
これらの設定が嫌いな方はスルー推奨です。
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『お取込み中失礼しますね?』
にっこりと笑うキョーコが、カツカツとヒールの音を響かせて室内へと入って来た。
後ろから少し驚いた顔でキョーコの後ろ姿を見つめる貴島が入室する。
『田中の方から連絡が入っていたと思いますが、こちらがヒズリ先生へのお届け物です。』
部屋の真ん中に設置していた折り畳みテーブルの上にドンと資料の束を置くキョーコ。
ずっと口元は笑っているのだが…目が笑っていない事は誰が見ても明白だった。
秀人が驚いているのはそこだろうか…
こうやって怒るキョーコに何度か遭遇しているから驚きはしないのだが、いつも可愛らしく元気に微笑むキョーコを見ている人が初めてこのお怒りモードを見ると、大抵ビックリするんだよな。
蓮は戸惑った表情の貴島を見ながら、しかしキョーコの怒りの度合いを測っていた。
そう、キョーコはマジ怒りモードだ。
自分で仕掛けておいて何だが、ここまでキョーコが怒ると思っていなかった。
『ありがとうキョーコ先生。』
『いいえ?私は助手ですので。これも私の仕事です。』
『で、なんで秀人が一緒なの。』
『いやー、キョーコちゃんがクオンの所に行くって言ったから、俺もまた本借りようかなーと思って。』
『ふーん…じゃあ、リズ。先生達は少し話があるから、この話はまた今度って事で。』
『分かった。絶対だからね?』
『はいはい。』
「先生達」と言う言葉に貴島も含まれると判断したのか、少女は素直に蓮から離れた。
キョーコの脇をするりと通り過ぎる時、ちらりとキョーコを見たが…
キョーコは何も言わずにただただ蓮をじっと見ている。
少女は何も言わずに退出した。
「…出来れば秀人にも少し席を外してほしいな。」
「リズが出て行ったらいきなり日本語か。」
「お前が彼女を嗾けたんだろう?余計な事をしてくれる。」
「おいおい、何か勘違いしてるみたいだけど。俺は本当に本を借りに来ただけだよ?」
「本ならどれでも好きなのを持っていったらいい。俺はキョーコと話がある。」
「偶然ですね。私もヒズリ先生と少しお話があるので、貴島先生とはまた別の機会にラプンツェルの心理についてお話しできると嬉しいのですけど。」
「…キョーコちゃんがそう言うのなら仕方がないね。お暇しますよ。」
貴島はやれやれと言った風に手を広げて肩を竦めると、キョーコが置いた資料の隣にあった本を一冊持ち、扉を閉めて出て行った。
ぱたんと静かに閉められて外と遮断された室内は、蓮とキョーコがする呼吸以外何も聞こえない程静かだった。
そしてキョーコから発せられるピリピリと張りつめた空気が肌に刺さる。
重たい空気に耐え切れず、先に口を開いたのは蓮だった。
「…話があるんじゃないのかい?」
「そうね。とりあえず、研究室で女子生徒とイカガワシイ事をされるのはおやめになられるように進言しようかと。」
「未遂だし。」
「後輩として情けないのでやめていただきたいわ。」
二人っきりになっても堅苦しい敬語が入る所、そしてノンブレスで一気に言い切る所を見ると、キョーコの怒りは相当のようだ。
蓮は心の中でニヤリと笑うが、しかし予想以上の怒り様にどう収拾を付けようかと思考を巡らせた。
最悪は帰国まで二人きりで会う事は出来ないだろう。
それだけならいいが、日本に帰ってからの情報が一切入らなくなるかもしれない。
それは避けなくては―――
「誘われたんだ。君との時間が欲しい貴島が嗾けて…」
「言い訳はいりません。」
蓮の言葉をピシャリと遮る言葉は刺々しく、何を言ってもキョーコの心に届きそうにない事だけはすぐに伝わった。
だからと言って蓮も簡単に引き下がるわけにはいかない。
ただでさえ少ないキョーコからのコンタクト。
それを何か月もない状態で過ごすなど、今の蓮には考えられない。
ここは素直に反省の意を示しておこう。そうすれば少しは怒りを鎮めてくれるかもしれない。
蓮は素直に謝罪を口にすることにした。
「悪かったよキョーコ。」
「悪いと思っているのなら、まずその服を何とかしてください。だらしがない…」
「だらしないって…」
「胸元そんなに開けて何する気ですか。ネクタイもちゃんと閉めてください。」
カツカツと蓮の元へと歩み寄ると、大きく開いた胸元のボタンをプリプリと怒りながら閉めて行くキョーコ。
しかし、その動きは一番上まできっちりとボタンを留め、ネクタイに手をかけた所で止まってしまった。
「………キョーコ?」
蓮は止まってしまったキョーコの視線が自分の首元の上から離れないのが気になり、声をかけた。
しかし、それに対するキョーコの反応はない。
「キョーコ?どうかした?」
「…え?ああ。少し立ってくれるかしら?」
「…?」
2度目の呼びかけでハッと蓮の顔を見たキョーコは、ニコリと笑いながら蓮の腕を取り、革張りのデスクチェアーから立たせる。
そうして立たせた所で、キョーコは蓮のネクタイを再び自分の右手で掴み―――
勢いよくしゅるりと首から抜き取ってしまった。
襟元は厚めに作られているとは言え生地と生地が擦れ合い生まれた熱が伝わって来そうな程、そんな勢いで引き抜かれた事に驚いて蓮は動く事が出来ない。
蓮が動かないのを良い事に、キョーコは素早く蓮の横に回り、蓮の腕を取り上げたネクタイで後ろ手に縛りあげてしまう。
シルクの生地がきゅっと良い音を立てて結び目を作り上げたのを感じ取り、蓮はようやっと焦り出した。
「き、キョーコ?これは…」
「あら、わからない?ダメな先生ですね…?」
クスクスと笑い出したキョーコの表情は、昔蓮が予想外の出会いをした頃の「ナツ」の顔によく似ていた。
とても楽しそうに、艶やかな笑みを湛えている。
あの頃は母親や幼馴染に付けられた心の傷を見ない為に、これ以上広げない為に。
大人と賢く付き合って行く為に、彼女が身に着けた「ナツ」の仮面。
しかし、蓮の愛を知り、見守ってくれる人達の愛を知り、自分もまた愛を返す事を覚えた今の「ナツ」の仮面は、歳を重ねた事もあり孕む色気の度合いが違っていた。
遠距離恋愛が故、情..事の度にまるで初体験の少女であるかのように恥ずかしがるキョーコ。
それもまた新鮮な気持ちでその腕に抱く事が出来て、蓮も楽しかったのだが…
こんなに艶やかな表情を日常で出来るようになっているとは思わなかった。
美しく微笑むキョーコに心を奪われ、蓮はトンと軽く胸を押されただけでデスクチェアーへとそのまま崩れ落ちる。
「こんな真昼間から女子生徒とイカガワシイ事をしようとした悪い子には、お仕置きが必要よね…?」
蓮が座った事で少しだけ目線はキョーコが上になる。
心の底から愉快そうに笑うキョーコに、蓮は身体の奥から熱がじわりと生まれて行くのを感じ取っていた。
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明日は久しぶりに都会にでるんだー♪
像の前で待ち合わせ…って、私大丈夫なのかな←結構迷子癖あり
*スキビ☆ランキング * ←いつもありがとうございます^^