どうしても頭が働かないので、先にこっちをUPします……
※この話は、夜はホステスな才女きょこたんと、同じく夜はホストの准教授蓮の組み合わせです。
完全パラレルです。
そしてそのうち必ず桃色描写来ます←無駄にハードルだけが上がってます
その手の話が苦手な方はお気をつけくださいね。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
「……ヒドイ顔。」
トイレの鏡に写り込んだ自分の顔にくまが出来かけてるのを見つけて、思わずため息に苦笑が混じる。
普段は空き教室で作ってきたお弁当を、一人もそもそと食べるのだが。
今朝は料理する気分になれなくて、珍しく学食にいた。
都内にありつつもそれなりに広い敷地内には2ヶ所学生食堂があり、2限が終わる時間帯からどちらの学食も盛況だ。
しかし人気の日替り定食やカレーなどを見ても、今日はあまり美味しそうと思えない。
いつもならば「食は大事!」と、主菜副菜のバランスがいい焼き魚の定食を選ぶところを、今日は売店で買った小さめの菓子パン2つで済ませ、早々に席を立った。
(だって……無理よ、あんなの)
初めてだった。
さすがにもういい年だし、『ファーストキスは結婚式で王子様と』だなんて言わない。
だけど、あんな突然奪われるとは思ってもいなかった。
しかも『落第点』『下手くそ』……
今まで言われたこともない言葉を面と向かって言われた。
負けず嫌いなせいで、自分からも蓮にするはめになって……
結果、一晩中蓮の事を考えて眠れなかったのだ。
(あんなの、ない……)
ひとまず同じゼミの子達の女子トークから得たキスの仕方は付け焼き刃。
あんな、女の扱いに慣れた蓮の目をうまく誤魔化せたのだろうか。
本当は蓮の前で、擦れた『ナツ』のふりをしなければいいだけの話なのだが……
一昨日初めて見たホスト『クオン』としての蓮の姿、その腕にしなだれかかる綺麗にめかしこんだ女。
そして慣れた様子で女の腰に手を回していた蓮の様子から受けたショックが大きすぎて。
どうしても素直に『最上キョーコ』でいられない。
今もまた、口を簡単に濯いでリップクリームを塗り直そうとして……
昨夜の蓮の唇の感触を思い出してしまう。
蓮の唇は想像していた以上に柔らかかった。
何かコロンを付けていたのだろうか、体が最大限近づいた時ふわりといい香りがしていた。
ピリッとしたジンジャーとライムの香りが爽快感があって、でもその後に微かに感じる『大人の男』……
ずっと勉強一筋で来たので、香水の事など詳しくわからない。
だけど、あの香りは確かにホスト姿の『クオン』に似合っているとキョーコは思った。
(あれもプレゼントされた物なのかしら)
リップクリームを塗らずに蓋を閉め、ふにふにと自分の唇を指先で遊びながらそんな事を考えてみる。
すると、何だか無性に腹が立ってきた。
「………遊び人、決定ね。」
むぎゅ、と一度強く指先で押すと、リップクリームの蓋を再び取り、必要以上に押し付けながら塗った。
*
午後一の講義は、教授の都合で突発的に休講になった。
どうやらゼミ生の中に、卒論提出期限に間に合わなさそうな人が出たらしい。
色々相談に乗るのも大変ね、と思いながら教室から出ると、同じゼミの石橋光が走って側に寄って来た。
「キョーコちゃん、おはよう!…って、あれ?こんにちは??」
「別にどっちでも大丈夫だと思うわ。」
わたわたとしながら挨拶をする彼の姿に、キョーコはクスリと笑みを浮かべる。
明るく誰にでも気さくに話しかける光は、ゼミの中でもムードメーカー的存在だ。
『学内1の才女』などと言われてとっつきにくい印象しか持たれないキョーコを名前で呼び、こうして気軽に声をかけてくる。
キョーコはそれがありがたかった。
「あれ?田中先生の講義、休講!?」
「うん、そうなんですって。」
「あちゃ~!それならもうちょっと寝てたかった!!」
『あああ』と額に手を当てて天を仰ぐ光に、キョーコは大袈裟だなと思いつつも心が和む。
きっと、こういう素朴で飾らないところが彼のいいところなのだろう。
自分もこうなれたらいいのに…と密かに思っているのは内緒だ。
「今からでも遅くないんじゃない?光くんの家すぐそこでしょ?帰って二度寝したら?」
「んー…そうしたいけど、バンドの練習も夕方からあるしなぁ。今から寝たら遅刻だもんな。」
「あぁ。慎二くんとか、時間にうるさそうよね…」
「そうなんだよ!あいつは時間に正確でさぁ…」
ゼミの男の子達の溜まり場になっているとよく聞くので、光の家が大学近くなのはキョーコでも知っていた。
そして、そんなメジャーじゃないはずの『石橋』という苗字がゼミに3人もいる為、キョーコも他のゼミ生も彼らの事は名前で呼んでいた。
「うう、布団でぬくぬく寝たいけど寝坊は出来ないから、俺軽音部で軽く寝るよ…」
「そうね、それがいいかもね。」
「キョーコちゃんと会えて、今日は俺ラッキーだったな♪」
「…?ラッキーなの?」
「うん、今日のキョーコちゃんちょっといつもと雰囲気違うよね。何だろう…何だか可愛くて結構好きかも。」
「かっ…!」
『可愛い』だなんて滅多に言われない為思わずそちらに気を取られて、続いた『好き』と言う言葉はキョーコの耳には届いていない。
しかし聞き慣れない『可愛い』の威力は抜群で、キョーコの顔は一気に赤くなる。
「わあぁ!俺、今結構恥ずかしい事言ったかな?言ったよね!?ごめんねキョーコちゃん、忘れて~~っ!!」
慌ててその場を走り去っていく光を、キョーコはただ呆然と見送っていた。
光が何故慌てて走り去ったのか…
彼がキョーコに対し、密かに恋心を抱いているからなのだが。
自分に好意を寄せる人などいないと信じきっているキョーコは、全く気が付かない。
そしてガラス張りのその廊下でのやり取りを、別の校舎から覗き見ていた人物がいた事にも、キョーコは気が付いていなかった。
************
まー、ここで違う人物だったら話は進まない。
※この話は、夜はホステスな才女きょこたんと、同じく夜はホストの准教授蓮の組み合わせです。
完全パラレルです。
そしてそのうち必ず桃色描写来ます←無駄にハードルだけが上がってます
その手の話が苦手な方はお気をつけくださいね。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
「……ヒドイ顔。」
トイレの鏡に写り込んだ自分の顔にくまが出来かけてるのを見つけて、思わずため息に苦笑が混じる。
普段は空き教室で作ってきたお弁当を、一人もそもそと食べるのだが。
今朝は料理する気分になれなくて、珍しく学食にいた。
都内にありつつもそれなりに広い敷地内には2ヶ所学生食堂があり、2限が終わる時間帯からどちらの学食も盛況だ。
しかし人気の日替り定食やカレーなどを見ても、今日はあまり美味しそうと思えない。
いつもならば「食は大事!」と、主菜副菜のバランスがいい焼き魚の定食を選ぶところを、今日は売店で買った小さめの菓子パン2つで済ませ、早々に席を立った。
(だって……無理よ、あんなの)
初めてだった。
さすがにもういい年だし、『ファーストキスは結婚式で王子様と』だなんて言わない。
だけど、あんな突然奪われるとは思ってもいなかった。
しかも『落第点』『下手くそ』……
今まで言われたこともない言葉を面と向かって言われた。
負けず嫌いなせいで、自分からも蓮にするはめになって……
結果、一晩中蓮の事を考えて眠れなかったのだ。
(あんなの、ない……)
ひとまず同じゼミの子達の女子トークから得たキスの仕方は付け焼き刃。
あんな、女の扱いに慣れた蓮の目をうまく誤魔化せたのだろうか。
本当は蓮の前で、擦れた『ナツ』のふりをしなければいいだけの話なのだが……
一昨日初めて見たホスト『クオン』としての蓮の姿、その腕にしなだれかかる綺麗にめかしこんだ女。
そして慣れた様子で女の腰に手を回していた蓮の様子から受けたショックが大きすぎて。
どうしても素直に『最上キョーコ』でいられない。
今もまた、口を簡単に濯いでリップクリームを塗り直そうとして……
昨夜の蓮の唇の感触を思い出してしまう。
蓮の唇は想像していた以上に柔らかかった。
何かコロンを付けていたのだろうか、体が最大限近づいた時ふわりといい香りがしていた。
ピリッとしたジンジャーとライムの香りが爽快感があって、でもその後に微かに感じる『大人の男』……
ずっと勉強一筋で来たので、香水の事など詳しくわからない。
だけど、あの香りは確かにホスト姿の『クオン』に似合っているとキョーコは思った。
(あれもプレゼントされた物なのかしら)
リップクリームを塗らずに蓋を閉め、ふにふにと自分の唇を指先で遊びながらそんな事を考えてみる。
すると、何だか無性に腹が立ってきた。
「………遊び人、決定ね。」
むぎゅ、と一度強く指先で押すと、リップクリームの蓋を再び取り、必要以上に押し付けながら塗った。
*
午後一の講義は、教授の都合で突発的に休講になった。
どうやらゼミ生の中に、卒論提出期限に間に合わなさそうな人が出たらしい。
色々相談に乗るのも大変ね、と思いながら教室から出ると、同じゼミの石橋光が走って側に寄って来た。
「キョーコちゃん、おはよう!…って、あれ?こんにちは??」
「別にどっちでも大丈夫だと思うわ。」
わたわたとしながら挨拶をする彼の姿に、キョーコはクスリと笑みを浮かべる。
明るく誰にでも気さくに話しかける光は、ゼミの中でもムードメーカー的存在だ。
『学内1の才女』などと言われてとっつきにくい印象しか持たれないキョーコを名前で呼び、こうして気軽に声をかけてくる。
キョーコはそれがありがたかった。
「あれ?田中先生の講義、休講!?」
「うん、そうなんですって。」
「あちゃ~!それならもうちょっと寝てたかった!!」
『あああ』と額に手を当てて天を仰ぐ光に、キョーコは大袈裟だなと思いつつも心が和む。
きっと、こういう素朴で飾らないところが彼のいいところなのだろう。
自分もこうなれたらいいのに…と密かに思っているのは内緒だ。
「今からでも遅くないんじゃない?光くんの家すぐそこでしょ?帰って二度寝したら?」
「んー…そうしたいけど、バンドの練習も夕方からあるしなぁ。今から寝たら遅刻だもんな。」
「あぁ。慎二くんとか、時間にうるさそうよね…」
「そうなんだよ!あいつは時間に正確でさぁ…」
ゼミの男の子達の溜まり場になっているとよく聞くので、光の家が大学近くなのはキョーコでも知っていた。
そして、そんなメジャーじゃないはずの『石橋』という苗字がゼミに3人もいる為、キョーコも他のゼミ生も彼らの事は名前で呼んでいた。
「うう、布団でぬくぬく寝たいけど寝坊は出来ないから、俺軽音部で軽く寝るよ…」
「そうね、それがいいかもね。」
「キョーコちゃんと会えて、今日は俺ラッキーだったな♪」
「…?ラッキーなの?」
「うん、今日のキョーコちゃんちょっといつもと雰囲気違うよね。何だろう…何だか可愛くて結構好きかも。」
「かっ…!」
『可愛い』だなんて滅多に言われない為思わずそちらに気を取られて、続いた『好き』と言う言葉はキョーコの耳には届いていない。
しかし聞き慣れない『可愛い』の威力は抜群で、キョーコの顔は一気に赤くなる。
「わあぁ!俺、今結構恥ずかしい事言ったかな?言ったよね!?ごめんねキョーコちゃん、忘れて~~っ!!」
慌ててその場を走り去っていく光を、キョーコはただ呆然と見送っていた。
光が何故慌てて走り去ったのか…
彼がキョーコに対し、密かに恋心を抱いているからなのだが。
自分に好意を寄せる人などいないと信じきっているキョーコは、全く気が付かない。
そしてガラス張りのその廊下でのやり取りを、別の校舎から覗き見ていた人物がいた事にも、キョーコは気が付いていなかった。
************
まー、ここで違う人物だったら話は進まない。