こちら、ずっと前にチカさんから頂いたリク『子供にメロメロな蓮様が、幼稚園戦争に参戦する姿を見たい!』を形にしたシリーズです。

幼稚園戦争…まだまだ全然先の話になってますが、のんびり亀更新にお付き合いいただければと思います。

先週はついに更新できませんでしたが、週1で更新していきたいと思ってます。



゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆My Sweet Home*Page8『自慢したい』゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆







大物俳優と女優夫婦の間に女児が誕生したニュースは、瞬く間にお茶の間に流れ、そして妊娠の時同様温かく迎えられた。

将来子供の足枷にさせたくはないからと、蓮とキョーコは子供の名前や顔については出さない方向でいたが。
美男美女夫婦の間に生まれた女の子、やはり美人なのだろう…と憶測が飛び交った。






「ですからね?この鼻が少しつぶれてるところなんか可愛くないですか?」
「ええ…本当に可愛いですよねぇ。」



これで何度目になるのかもう数えられない蓮の言葉を、それでもにこにこ笑いながら聞いているのは緒方監督だ。


今日は幼馴染の麻生を誘って、出産祝いを蓮とキョーコの元へ届けに来たのだった。



「それに目がすごくパッチリしてるのは、絶対キョーコに似たからだと思うんですよ!」


「そうですね、京子さんはその目一つでも演技する印象的な女優さんですからね。」

「蓮?そろそろ子供自慢はおしまいにして、支度をしないと。社さんが迎えに来ちゃいますよ?」



ベビーベッドの側から一向に離れる気配のない蓮に、麻生と話をしていたキョーコは声をかける。



「せっかく淹れたお茶が、監督にお召し上がりいただく前に冷めちゃうじゃない。」


「あ、僕の事はどうぞ気にしないでください。」


「社さんに怒られても知らないわよ?」


「社さんは待たせても大丈夫だよ。」


「だーめ。せっかくの無遅刻記録を崩しちゃうパパなんて、愛子が嫌がりますよ~」



「……わかったよ。」



はあ、とため息を一つ吐くと蓮はそのまま緒方監督に一礼し、リビングを出て行った。



「うん、噂には聞いていたけど本当に凄いのね。『敦賀蓮の娘自慢』」



ソファーに腰掛け、ずっと成り行きを黙って見守っていた麻生が、くすくすと笑いながらキョーコに話しかけた。



「ああ、僕はそれと一緒に『愛妻自慢もすごい』と伺ってますよ。」



ベッドの柵に取り付けられたパステルカラーのメリーをゆったりと回しながら、緒方もくすっと笑う。



「もーっ、恥ずかしいからやめてって言ってるんですけどね…」


「いいじゃないの、それくらい。お互い多忙ですれ違ってばかりで、気が付けば新婚なはずなのに不満や愚痴ばかりと言う芸能人夫婦は多いのよ?」


「そうですよ京子さん。敦賀くんは10年越しの初恋を実らせて結婚までできたんですから、自慢したくてたまらないんですよ。」


「そのエピソードも恥ずかしいので、婚約発表の時に公開するのやめてって言ったんですけどね…」



今度はキョーコがはあ、と溜息を吐く番だった。


一つ溜息を吐くと、ベビーベッドの中を覗き込む。


手を差し出して抱っこをせがむ娘をそっと抱き上げ、あやしながら体を緒方と麻生の方へと向ける。



「二人だけの秘密だって言ったのにね、パパったら困ったちゃんですよね~?」

「でもあんなに可愛がってるんだったら、愛子ちゃんが思春期になったら敦賀くん大変ね。」


「敦賀くん、愛子ちゃんが『紹介したい人がいる』とか言い出したらどうするんでしょう。」


「そんなの許しませんよ。」



ドレッシングルームからいつの間にか戻ってきた蓮が、愛子をキョーコの腕からそっと取り上げた。



「愛子は嫁には出しません。」



お得意の似非紳士スマイルでにっこり笑う蓮に、キョーコは溜息を再び吐く。



「蓮…まだ愛子は生まれて1か月なんだけど。そんなに早く愛子の将来決めないでくれる?」


「じゃあ俺を超えるような奴でないと認めない。」


「敦賀くんは手厳しいわね、『敦賀蓮』を超えるような人物ってそうそう現れないわよ。」


「れーん!いつまで俺を待たせるんだー!」



いつの間にかリビングの入り口には社が立っていた。


監督と麻生に一礼すると、蓮とキョーコの元へつかつかと歩み寄る。



「ほら、お仕事ちゃんとしないと愛子に笑われますよ?」


「でも今夜も深夜帯にならないと帰ってこれないから、起きてる顔もっと見ておきたい…」


「今日まで頑張っておけば明日は休みだろう!?明日いっぱい見てくれ!」


「ですって。パパ、頑張って?」



キョーコは蓮の腕から愛子を受け取ると、娘の小さな腕を取り、小さく「バイバイ」と手を振らせた。



「…キョーコ、行ってらっしゃいのキス忘れてる。」


「えええ!?今は無理…!」


「じゃあ出かけられないなぁ。」


「………麻生さん、愛子をちょっとお願いします…」



言い出すとてこでも動かない事を理解しているキョーコは、愛子を麻生の手に預け、蓮の広い背中にそっと手を添えて玄関へと続く扉へと向かっていった。



こういう事を何度も経験している社は、一緒には付いて行かない。


キョーコに呼ばれるまで(正確には蓮が満足するまで…なのだが)はお邪魔をしないように気を使っているのだ。



「…社さん?も大変ねぇ。敦賀くんがあんなに甘えん坊だなんて、世間の誰も想像してないわ。」


「ありがとうございます。あれで仕事に対する姿勢は非常に厳しい奴ですからね、『敦賀蓮』のイメージはそう簡単には崩れずに済んでいます。」




「「でも、あそこまで親ばかだと…愛子ちゃんの反抗期がきたら、間違いなく仕事にならなさそうね(いでしょうね)」」




「はは…(泣)ガンバリマス。」




仲のいい幼馴染らしく、声が揃った二人の客人に、社は鳩尾を抑えながら乾いた笑みを浮かべた。




(キョーコちゃーん、愛子ちゃんで凹んだ時にはぜひ蓮を立ち直らせてくれ~!)




今は玄関先で、きっと蓮の気が済むまで貪られているであろうキョーコに向かって、社はそっと祈るのだった。





************




親ばかーんな蓮様登場。


愛妻家で親ばか…重量級の愛をクーからそのまま引き継いだ感じになればいいな~。


と言うか、似たもの親子なんだから絶対になるはず…!


と、必死に考えてみました。




…伝わるかは微妙ですが(汗)




そして最近PCの調子が悪いのか、何度も書き直しさせられて凹みます。


おかしい……今年の春買ったばかりなんだけど。
こんなに早く調子悪くなるとは(泣)