こちら、ずっと前にチカさんから頂いたリク『子供にメロメロな蓮様が、幼稚園戦争に参戦する姿を見たい!』を形にしたシリーズです。
幼稚園戦争…まだまだ全然先の話になってますが、のんびり亀更新にお付き合いいただければと思います。
週1で更新していきたいと思ってます。
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆My Sweet Home*Page3『しあわせの便り』゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
その日、朝からずっと蓮は様子がおかしかった。
そわそわと落ち着きがなく、控え室のソファーを何度も立ったり座ったりを繰り返し、化粧台をとんとんと人差し指で叩き続けたりする。
控え室の中をぐるぐる回り始めたところで、怪訝な顔をした社に止められた。
「れ…蓮くん?そろそろ落ち着いたらどう?」
「…え?嫌だなぁ社さん。俺は普通ですよ?」
「嘘だあぁぁ!!今、『はっ』ってなった癖に!顔も完全に『敦賀蓮』じゃなかったからな!?」
「大丈夫ですよ、仕事には影響させませんから。」
「それは当たり前だ!」
注意されてどさりとソファーにかけた蓮に向かって、社は一気に言葉をポンポンぶつける。
長年彼のマネージャーを勤めあげてきた有能な相棒は、感情を露にした事でずり落ちた眼鏡のフレームに手をかけながら一つため息を吐いた。
「いや…お前が仕事になればちゃんと顔を立て直すのは、今までの経験上大丈夫ってわかってるんだけどな。今日はまた一段と落ち着かないじゃないか。キョーコちゃんと何かあったのか?」
「ええ、まぁ……」
と、そこへ控えめなノックの音。
返事を聞く前に扉を開けて入ってきたのは、頬を少し赤く染めたキョーコだった。
「おはようございます、社さん。蓮…さん。」
「あ、おはようキョーコちゃん!どうしたの…」
「キョーコ!病院はどうだったの!?」
今まさに話題にしようとしていた人物の登場に社は少し驚いたが、それ以上に慌てた様子でキョーコに駆け寄る蓮に驚いた。
「えっ!?病院って…キョーコちゃんどこか悪いの?」
「あ、体調が悪い訳ではないんですよ!?私は元気ですから!」
「??でも病院って……」
「キョーコ、社さんはいいから。結果は?」
「蓮、おま……」
「蓮!そんな事言わないの。」
既に控え室のドアの前で蓮の腕の中に収められたキョーコが、自身を捕らえる蓮の発言に怒り出す。
例え見た目可愛らしくぷりぷり怒っているようでも、意外と本気で怒っている場合は自宅に帰った後も遺恨が残る。
それを嫌という程経験させられた蓮は、しゅんと項垂れて見せた。
「はい…ごめんなさい。」
「うん、社さんにもお願いしないといけない事出てくるでしょう?一緒に聞いてもらいたいわ。」
「あの~…何の話かさっぱりなんですけど。」
目の前で始まったイチャイチャに、話が全く見えない社が説明を寄越せと二人に問いかける。
「えっとですね、その……今、7週目なんだそうです。」
「本当!?」
「うん、もう心臓がぱくぱく動いてるのが見えたのよ。」
「やった…!嬉しいよキョーコ!!」
「きゃっ、苦しいわ蓮ったら…」
ぎゅうぎゅうと喜び抱き締めあう夫婦の前に、社の思考は一瞬機能が停止した。
病院……7週目……心臓………!?
「えっ!?キョーコちゃんもしかして、おめでた…!?」
社の思考が機能し、結論を導き出したのはそれから5分後。
興奮した蓮がキョーコをきつく抱き締めすぎ、お小言を食らっている最中だった。
「そうなんですよ!社さん聞いてください、俺が父親になるんですよ!」
「だから今日はずっと落ち着かなかったのか~♪…って、お前!そんな事一言も俺に相談しなかったじゃないか!」
「だってまだ病院に行って、しっかり確認する前でしたからね。キョーコの体調管理はばっちりですが『間違いだったら嫌だから』って、キョーコの方から口止めされていたんです。」
「はい…ごめんなさい、社さん。」
蓮の隣にいたキョーコが、申し訳なさそうにぺこりと頭を下げる。
社は慌ててキョーコに声をかけた。
「いや、いいってキョーコちゃん!そういう事はやっぱりすごく大事な事だからね!ハッキリしてからの方がいいよね、うん!」
「本当にすみません…」
頭を上げても尚謝るキョーコに、社は優しく声をかける。
「本当にいいんだよ、キョーコちゃん。蓮と幸せで、本当に俺も嬉しいんだから。おめでとう、キョーコちゃんはきっといいお母さんになれるよ。」
「社さん……」
キョーコの過去の実母との確執を何となく聞いてはいたものの、ここは素直に思った事を社は述べた。
仕事にも熱心で家庭的、友人も多く誰からも好かれるキョーコ。
そんなキョーコだからこそ、彼女と蓮のもとに生まれてくる子供は幸せになれると、そう社は確信している。
「俺も蓮のスケジュール面とか、色々協力できる事はするからね?どんどん言ってね!」
どんと自分の胸元を叩く社。
しかし、キョーコはまだ何か言いたそうだ。
不思議に思う社に、答えを与えたのは蓮だった。
「キョーコは社さんが俺に教えてくれた情報の件で、まだ少し怒ってるんですよ。」
「へ?」
「ほら、あの『新婚さんの定番の台詞』。」
「……あ!」
確かに社には身に覚えがあった。
新婚ほやほやでのろけ話が一層酷くなった蓮に、『じゃあこれはどうだ!』と言った言葉。
恥ずかしがりやなキョーコが言った事は勿論ないと思い、蓮をからかってやるつもりで出した話だったのだが……
「もう、あの台詞のせいでしばらく大変だったんですからね!?」
顔を真っ赤にしながら抗議するキョーコに、対する社は真っ青になった。
(おっ、俺いろいろ地雷踏んでたーーーっ!!)
「ごめんキョーコちゃーん!!機嫌直してください~~~っ!!」
トップ俳優の広めの控え室に社の謝罪が響き、キョーコの前には土下座スタイルの社がいたとかいないとか……
若手俳優の中でもトップを独走する『敦賀蓮』のマネージャーの業務は、色々と大変だ。
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あう、0時更新間に合わなかった!
でもネット環境は無事復活しました!!
ひょー!やった、1日がかりだよ!
ちなみに功労賞は妹です。
わからなくて全部妹に振りました←
さりげなく前回のお話が絡んでますw
ふへへ、結局のところきょこたん最強!
頭の上がらない社お兄さんです(*´ψψ`)
そして、体調管理しっかりしてればすぐに妊娠に気づく事も可能です
(妊娠に気付くのは2か月の後半から3か月に入る頃が一般的。そして母子手帳をもらってきていいよーと言われるのもこれくらいの時期)
某島ではきょこより先に蓮が気付く描写で書きましたが、普通の生活してたならきょこがちゃんと気付くと思うんですよねー。
なので書けてよかった!