クイズ番組の収録は、お笑い芸人さんたちが盛り上がりすぎて予定よりもずいぶん遅くなってしまった。
時刻は既に22時を過ぎている。
私の他にいるアシスタント2人も深夜帯まで働けない年齢なので、最後は巻きで収録を終わらせた。
そして『早く着替えて帰ってね!』とスタッフさんに控え室に押し込まれた。
「今日も疲れたねー!」
「ほんとほんとーっ、なんであんな問題わからないかしら…」
「社会人になって勉強しなくなるとわからなくなるんじゃないですか?」
メイド服から私服に着替えていると、〈ココン〉とノックされ、先程の収録で足を引っ張っていた芸人さん数人が入ってきた。
「やあ、お疲れ様~!」
「「「お疲れ様です」」」
何があろうともこの業界の先輩は先輩。
3人できっちりと頭を下げ、ご挨拶をする。
「君たちホント可愛かったよーっ!収録延びちゃったお詫びに、良かったらこれからご飯一緒に行かない?」
「そうそう!おバカなお兄さん達が奢るよぉ~♪」
「えぇ~っ?どうしようかなぁ~?ミエ、どうする?」
「そうねぇ…イタリアンが食べたい気分かな~?」
『奢る』の一言にグチグチ文句を言おうとしていた二人は、急に勿体ぶるような態度でお兄さん達を焦らす。
その態度の変わりようにビックリだけど、二人ともグラビアアイドルの卵。
とにかく可愛いから、こう言うお誘いに困ることってきっとないのね!
大人の男の人の扱いに長けた雰囲気に、少しだけ羨ましくなる。
気が付けば二人はすっかり行くことになっていた。
「京子ちゃん……はその、なんつー格好してんの…?」
「へっ?私ですか?」
他人事のように聞いていた私は突然話を振られ、何事かと思うとお兄さん達は目をまん丸くしている。
「京子ちゃんのこのツナギですよねー?私達もどうかと思ってるんですけど…」
「うん、それ絶対着ないといけないの?」
顔をひきつらせながらお兄さん達は誘おうかどうしようかと言った雰囲気を醸し出している。
実はこの後、敦賀さんの家に行く約束をしてるからこのツナギなのよね…
「えと…京子ちゃんは一緒に行く……?」
固まった表情のまま、お兄さんが一人声をかけてくれる。
『一応声かけるか……』と言った心の声が駄々漏れですよ、お兄さん。
「いえ、私はこれから用事があるので失礼させていただきます。」
「そっかー!じゃあまた今度かなー?」
丁寧にお辞儀で返すと、ちょっとだけほっとした表情になったお兄さんズ。
………申し訳ありませんが、ホッとしたのはこっちの方です!
もし、敦賀さんにこのことがバレたら後が怖いんだもの!
「でもぉ、京子ちゃん。そんなカッコで行く用事ってなぁに?」
ミエちゃんと呼ばれた女の子に聞かれて、ギクッとする。
この子…敦賀さんのファンだって言ってたわよね…!?
「うんっ!のっぴきならない用件で……ね!
ほら、早く行かないとお店いい席取れないかもしれないでしょう?早く行った方がいいよーっ!」
「ああ、京子ちゃんの言う通りだよ!じゃあ早く行こう?」
「京子ちゃんはまたの機会にねー!」
あんまりしつこく聞かれてると自分がボロを出しそうなのと、敦賀さんがお迎えに来ちゃいそうで、さっさと二人を追い出すべくお兄さん達をせかしにかかる。
お兄さん達はこれ幸いと二人の荷物を持って、控え室を後にした。
「じゃあ、京子ちゃんも気をつけて帰ってね?」
「勿論よ!また来週ねー!」
「「またねー」」
誰もいなくなって静かになった控え室で、私は「ふぅ」とため息を吐いた。
「ほら!ツナギ着てればお誘いのお断りも簡単!
やっぱり頼りになるわぁ♪」
私なんかに声をかけてくださる奇特な方もたまにいらっしゃるけど、それでも大体これ着てればすぐ引いてくださるものね!
下手な断り文句よりもすっごく効き目があるわ。
〈コンコン〉
「『京子』、いるかい?」
その時、控え室の外からノックの音と敦賀さんの声が聞こえた。
「はあい、今行きますっ!」
私は既に纏めてあった荷物を持って、敦賀さんのお家へ向かうために部屋を出た。
************
ラブミーツナギでドン引きなお兄さんズ。
蓮………出る幕なかったね(汗)
でもしょーがないの。
ツナギとキョーコに焦点が行ってるお話だから……
時刻は既に22時を過ぎている。
私の他にいるアシスタント2人も深夜帯まで働けない年齢なので、最後は巻きで収録を終わらせた。
そして『早く着替えて帰ってね!』とスタッフさんに控え室に押し込まれた。
「今日も疲れたねー!」
「ほんとほんとーっ、なんであんな問題わからないかしら…」
「社会人になって勉強しなくなるとわからなくなるんじゃないですか?」
メイド服から私服に着替えていると、〈ココン〉とノックされ、先程の収録で足を引っ張っていた芸人さん数人が入ってきた。
「やあ、お疲れ様~!」
「「「お疲れ様です」」」
何があろうともこの業界の先輩は先輩。
3人できっちりと頭を下げ、ご挨拶をする。
「君たちホント可愛かったよーっ!収録延びちゃったお詫びに、良かったらこれからご飯一緒に行かない?」
「そうそう!おバカなお兄さん達が奢るよぉ~♪」
「えぇ~っ?どうしようかなぁ~?ミエ、どうする?」
「そうねぇ…イタリアンが食べたい気分かな~?」
『奢る』の一言にグチグチ文句を言おうとしていた二人は、急に勿体ぶるような態度でお兄さん達を焦らす。
その態度の変わりようにビックリだけど、二人ともグラビアアイドルの卵。
とにかく可愛いから、こう言うお誘いに困ることってきっとないのね!
大人の男の人の扱いに長けた雰囲気に、少しだけ羨ましくなる。
気が付けば二人はすっかり行くことになっていた。
「京子ちゃん……はその、なんつー格好してんの…?」
「へっ?私ですか?」
他人事のように聞いていた私は突然話を振られ、何事かと思うとお兄さん達は目をまん丸くしている。
「京子ちゃんのこのツナギですよねー?私達もどうかと思ってるんですけど…」
「うん、それ絶対着ないといけないの?」
顔をひきつらせながらお兄さん達は誘おうかどうしようかと言った雰囲気を醸し出している。
実はこの後、敦賀さんの家に行く約束をしてるからこのツナギなのよね…
「えと…京子ちゃんは一緒に行く……?」
固まった表情のまま、お兄さんが一人声をかけてくれる。
『一応声かけるか……』と言った心の声が駄々漏れですよ、お兄さん。
「いえ、私はこれから用事があるので失礼させていただきます。」
「そっかー!じゃあまた今度かなー?」
丁寧にお辞儀で返すと、ちょっとだけほっとした表情になったお兄さんズ。
………申し訳ありませんが、ホッとしたのはこっちの方です!
もし、敦賀さんにこのことがバレたら後が怖いんだもの!
「でもぉ、京子ちゃん。そんなカッコで行く用事ってなぁに?」
ミエちゃんと呼ばれた女の子に聞かれて、ギクッとする。
この子…敦賀さんのファンだって言ってたわよね…!?
「うんっ!のっぴきならない用件で……ね!
ほら、早く行かないとお店いい席取れないかもしれないでしょう?早く行った方がいいよーっ!」
「ああ、京子ちゃんの言う通りだよ!じゃあ早く行こう?」
「京子ちゃんはまたの機会にねー!」
あんまりしつこく聞かれてると自分がボロを出しそうなのと、敦賀さんがお迎えに来ちゃいそうで、さっさと二人を追い出すべくお兄さん達をせかしにかかる。
お兄さん達はこれ幸いと二人の荷物を持って、控え室を後にした。
「じゃあ、京子ちゃんも気をつけて帰ってね?」
「勿論よ!また来週ねー!」
「「またねー」」
誰もいなくなって静かになった控え室で、私は「ふぅ」とため息を吐いた。
「ほら!ツナギ着てればお誘いのお断りも簡単!
やっぱり頼りになるわぁ♪」
私なんかに声をかけてくださる奇特な方もたまにいらっしゃるけど、それでも大体これ着てればすぐ引いてくださるものね!
下手な断り文句よりもすっごく効き目があるわ。
〈コンコン〉
「『京子』、いるかい?」
その時、控え室の外からノックの音と敦賀さんの声が聞こえた。
「はあい、今行きますっ!」
私は既に纏めてあった荷物を持って、敦賀さんのお家へ向かうために部屋を出た。
************
ラブミーツナギでドン引きなお兄さんズ。
蓮………出る幕なかったね(汗)
でもしょーがないの。
ツナギとキョーコに焦点が行ってるお話だから……