貴島が美人系に弱いことは知っているが、社がこんなに顔を赤くさせるところを見るのは初めてかもしれない。
ボーッと立ち尽くしたままの社とは対照的に、歳上のお姉様にもよくナンパしている貴島が声をかける。

「テレビに時々出てますよね?舞台女優の『琴南奏江』さんて…いやぁ、実物もこんなに綺麗だなんて!ぜひお話を聞かせていただけませんか?」

ナンパ慣れしている貴島はさりげなく琴南さんの肩を抱くが、あっさりと琴南さんに手を払われてしまった。

「悪いけど私、年下に興味なんてないの。青臭いし面倒だし。一端の大人のオトコになってから口説きに来なさい。」
「…ううーん、琴南さんてツンデレタイプかなー?そういう素敵なお姉様に叱られるのもまた勉強になるんでぇー……」

その言葉に貴島は一瞬怯んだものの、なおも食い下がっていく。
しかし、社と俺は大ダメージを負ってしまった。

(年下は青臭くて面倒………)

自分に釘を刺されてる気分になった。
「一浪している」と言っていた最上さんは、今年20歳になるハズだ。
もしかしたら、もう20歳の誕生日は来た後かもしれない。
対する俺は16歳になって半年…
この3歳以上あるはずの年齢の差が、大きくのしかかる。

(ますます敵わない…)

リックは最上さんより年上だし、働きながら大学にも通う立派な『大人のオトコ』だ。
最上さんが「素敵ね」なんて言おうものなら、俺は引くしかないのではないかと思う。

「おーい、そこ!ちゃんと働けよー!社!ごみ捨てどうしたよ?」

バックヤードから店長のお声がかかる。
が、社は琴南さんの発言がよほどショックだったのか、微動だにしない。

「……しょうがない、代わりに行ってくるよ。」

貴島とリックに社を頼み、ごみ捨ての為にその場を離れる。
フロアーとカウンターのゴミを纏めながらちらっと最上さんを見ると、リックと一緒に何かを話ながら社を見ていた。
貴島は琴南さんに未だアタック中……
楽しそうな最上さんを見ると、気分が余計落ち込んでくる。
纏めたゴミを持ちながらため息を一つつき、そっとスタッフ専用の扉から裏口へと出た。



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ちょーっと短いけど、キリがいいのでここまで☆
あらら?な感じに凹んじゃった蓮くん。
年下は面倒とか言ってるモー子さんですが、実はご近所さんな飛鷹くんをいいオトコに育てようかと秘かに画策してたり^^;
(でもパステルでは触れません!それは面倒だ。)
マックは社×奏でも飛×奏でもどっちでもいい派です。