「突然アメリカから連れてこられたからね…今夜はここに部屋をもらってるんだ。」

お姫さま抱っこで社長の本宅へと移動した。
敦賀さんが泊まるお部屋は、ゲストルームが並ぶ階の一番奥。
その奥の部屋目指して、敦賀さんはスタスタと歩いていく。

「そう言えば、マリアちゃんが『社長さんとマリアちゃんからプレゼントがある』って…」
「うん、多分…俺の事なんだろうな。社さんが日本から戻ってきた後、妙に監督と色々話してたし…その頃から更にスケジュールキツくなったし。」
「そっ、そうなんですか!?それはごめんな」
「はいはい、謝らない。」

横抱きにされたまま謝るために頭を下げたところ、言葉はぴしゃりと遮られてしまった。

「俺だって、こうしてキョーコの誕生日に間に合う事が出来たんだから、これでいいんだ。…エンゲージリングも実は昨日できたばかりで、渡すのは年明けになると覚悟してたしね?」
「そうなんですか……」

今は私の左手で輝くそれを、そっと見る。
ダイヤが一周縁取っているフルエタニティのリングは、少し暗い照明の廊下でもきらきらと光っている。

「念の為、早めに作りに行って良かったよ。まさかキョーコから逆プロポーズされるとはね……」
「やっ、だからあれはプロポーズとか考えてないって言ったじゃないですか!」
「まあね…あれだけオアズケして逃げ回ってた張本人の言葉とは思えないよね…っと、ドア開けるからしっかり掴まって?」

いつの間にか部屋の前に着いていて、ドアを開けようとしていた。
首にぎゅっとしがみ付くと、敦賀さんは私が落ちないように自分の身体へと押し付け、ドアノブを回すとするりと部屋へ滑り込んだ。

薄暗い広い部屋には大きなソファーとローテーブルの応接セット、ローテーブルと揃いの雰囲気のチェスト。
更にその奥に敦賀さんの部屋のより大きいベッドがあった。
迷わず真っ直ぐベッドに向かい、端にそっと下ろされる。

「………いい?今日は何されても逃がさないけど。」

静かに敦賀さんが覆い被さってきた。
真っ直ぐなその視線は、真剣で色気を湛えてて…少しだけ不安の色を映していた。
不安…?敦賀さんも怖いの?

「本当はちょっとだけ怖いです。でも……敦賀さんの事知りたい。だから教えて?敦賀さん………」

すっと両腕を伸ばすと、そのまま敦賀さんは上体を下ろしてくれて、久しぶりにキスをした。





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あは、引っ張りすぎた。
次限定。


と思わせて、お昼におまけでやしろびじょんを公開。
文字数は全然おまけじゃないんだけど、一応本編関係ないから、オマケ☆