敦賀さんのお部屋で、今夜は社長さんからいただいたお茶を飲みながら、今朝の報道について説明を受けていた。

「…やっぱりそういう事でしたか。」
「うん…向こうの事務所にも抗議は出してるから、すぐにほとぼりは冷めると思う。」

今朝の熱愛報道は、やはりドラマの宣伝と女優さんの思惑が働いていたそうだ。
今放送されているドラマのスポンサーさんはかなりの大手だし、女優さんはそのスポンサーのお偉い方のお気に入りらしい。
業界最大手のLMEを多少敵に回しても、勝算はあると踏んでいたようだが…
敦賀さんが言うには、社長を怒らせればどんな相手でも敵にはならないそうだ。
普段のあのふざけたコスプレからは、ちょっと想像ができないけど…(キョーコさん、言い過ぎです)

「ごめんね?いつも不安にさせてるよね…」
「いえ…私なら大丈夫ですよ?大変なのは敦賀さんなんですから。」
「でも…やっぱり出来る事ならなるべく早く、交際宣言だしたいなぁ…」
「そっ!そんな事したら、私敦賀さんのファンに殺されちゃいます…っ!」

カップを持ったまましゅんとうなだれる敦賀さんが可愛い…!なんてうっかり思っちゃったのは内緒。
私だって本当は、敦賀さんが交際宣言だしたくて仕方がなくて…
だけど私の仕事のこととかも全部考えて、その上で「時機を見てから交際宣言を出す」という社長さんのを意向を尊重して、我慢してくれていることを知っている。
色々と待たせてしまっているのは申し訳ないな…

「あ、そうだ。アルマンディの撮影で、明後日からまた沖縄に行く事になったんだ。今度は3泊4日になるかな…」
「そうなんですか、今回は急ですね?」
「うん。スケジュール調節出来る日が他になかったらしくて…お土産買ってくるからね。」
「そんなに気を遣わなくていいですよ?敦賀さんはお土産差し入れしなきゃいけないところ多いじゃないですか!」

マメな敦賀さんと社さんは、スケジュール調節に関わってくれた人達にいつも差し入れを必ずしている。
その心遣いが、大御所様からもスタッフからも愛される理由。
トップスターと言われてるからって慢ることのない態度は、私も見習わないとね。
でも、それが逆に共演する女優さん達を虜にしていく原因でもあるのだけど……

ふと、今朝の夢を思い出してもやもやした気持ちが再び噴き出してくる。

「俺がキョーコに贈りたいんだから、気にしないで?」
「……あんまり高価な物だったら受け取りませんからね?」

今週会う予定だった日が全部潰れる事になる…
そう思ったら、急に寂しくなって敦賀さんの胸にぎゅっとしがみついた。
肺の中にふわんと広がる敦賀さんの香り。
もっと欲しくて、腕に力が入る。

「……キョーコ?どうしたの…」
「…ん。ちょっと……寂しいかなって。」

敦賀セラピーで本音がするんと口から出る。
やっぱり敦賀セラピーは危険ね…なんて思っていると、カップをいつの間にか脇に置いた敦賀さんにぎゅうっと抱き締め返された。

「お願いしてもいい?……出来ればキョーコを補充していきたいな…」



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やっと、やっと!
よそ様のように甘い雰囲気になりはじめたよ!!
やっとすぎるよ!

このまま本懐遂げられる…?
残念ながら(?)次は限定公開。

あ、お土産の件ですが。
トップ歌手として慢ってるどっかの誰かさんはしなさそうな事を、敦賀氏にさせようと思った結果こうなりました。
原作通りに行けば多分しないよ、敦賀氏も…